大手ヘッジファンド「Three Arrows Capital」、ビットコインのポジションを強制清算か=FT報道
ビットコインの貸付で清算か
シンガポールの大手暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンド「Three Arrows Capital」は、仮想通貨貸借サービス大手BlockFiの追加証拠金(マージンコール)に応じることができず、ポジションを強制清算されたことが分かった。情報筋の話として「Financial Times」が17日に報じた。
Three Arrowsの具体名を出して報じたのはFinancial Timesだが、BlockFiのZac Prince最高経営責任者(CEO)も「ある大手顧客の過剰担保ローンについて我々は最近、最良の判断を下して清算を行った」とコメント。この「大手顧客」がThree Arrowsだと見られている。
Three Arrowsについては今週、債務超過の危機に瀕しているとの疑惑が浮上した。CoinPost提携メディア「The Block」によると、最近の仮想通貨相場の大幅急落の影響で、同社が業界トップのレンディング企業に抵当に出していた計520億円(4億ドル)もの証拠金が清算されたという。その後もThree Arrowsは、複数のレンディングプロバイダーで保有する債務の調整に追われていると報じていた。
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Financial Timesは清算の金額は報じていないが、情報筋の話として「2020年にBlockFiに戦略的投資を行ったThree Arrowsは、BlockFiからビットコイン(BTC)を借りていた。しかし、追加証拠金の要求に応じることができず、両者の合意のもとで清算を実行した」と説明している。
BlockFiのPrince CEOは「今回の清算が他の顧客の資産に影響を与えることはない」と強調。そして、「今回の相手企業に実際に清算を行ったのは、当社が初めてだろう」とコメントした。
Three Arrowsの影響
Three Arrowsは、アバランチ(AVAX)やポルカドット(DOT)、イーサリアム(ETH)も大量に保有し、市場のピーク時には約1兆円(100億ドル)規模を運用していたとされる。
同社はBlockFiに加え、Genesis、Nexo、Celsiusといった業界最大手の融資会社から資金を借り入れていると見られ、債務不履行が起きた場合に、これらの企業の自己資本が損失を被るなどの影響は以前から指摘されていた。
Three Arrowsのトラブルは、貸付サービスを提供する「Finblox」にも波及。Three Arrowsから出資を受けていたというFinbloxは16日、「我々は現在の市況とThree Arrowsに関する報道を注視している」と述べ、声明を発表した。
そして、「リスクを分散したり、プラットフォームの完全性を維持したりするために対応を行う」とし、報酬分配の一時停止や出金上限の変更などを実施すると説明している。
なお、Three Arrowsの投資先である仮想通貨オプション取引所Deribitも17日に、純債務を有する少数の口座はあるが、仮に債務不履行でも当社は財務的に健全であり、事業活動に支障をきたすことはないと考えている、と声明を出した。
Three Arrowsのポートフォリオ
上述した大量清算の報道がある中で、今後Three Arrowsがポートフォリオにある大量な仮想通貨資産を売却する懸念は高まっている。
以下がDefinalistがまとめたThree Arrowsのこれまでの一部の出資プロジェクトと出資額だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します