セルシウスがカストディ企業を提訴、23億円相当の仮想通貨返還求める
Prime Trustにカストディ資産の返還求める
暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)は23日、カストディプロバイダーPrime Trust(プライムトラスト)に対して、23億円(1,700万ドル)相当の暗号資産(仮想通貨)返還を求める訴訟を起こした。
プライムトラストはセルシウスと提携して、米ニューヨーク州とワシントン州に居住するセルシウス利用者向けに、カストディなどのサービスを提供していた企業だ。
セルシウスの申し立てによると、両社は2021年6月に関係を解消し、その時点でプライムトラストは163億円(1億1,900万ドル)相当の仮想通貨を返還したが、まだすべての資産が返還されたわけではない。
関係が解消された時点で、プライムトラストは、セルシウスがユーザーアカウントの活動を閲覧するためのAPIについてアクセス遮断していた。
しかしセルシウス側は、約398ビットコイン(BTC)、約20万CELトークン、3,740イーサリアム(ETH)、約230万USDコイン(USDC)が未返還だと見積もっており、これらは合計約23億円(1,700万ドル)の価値があるとしている。
セルシウスは、プライムトラストに数か月の間、これを返却するよう働きかけてきたが、プライムトラストは当該資産を保有し続けているという。
セルシウスは今回、プライムトラストに対して、未返還の資産、およびセルシウスユーザーが両社の提携解消後にプライムトラストに預けた仮想通貨についても引き渡すよう要求している。また、損害賠償も求めている。
破産法で管理される資産
セルシウスは、今年4月以降の相場の急落に伴い、顧客資産の入出金を停止し、債務不履行に至った。7月上旬には米国裁判所にて破産申請(チャプター11)を行ったところだ。
訴状によると、セルシウスが破産申請を行った時点で、プライムトラストは、破産関連の手続き下で認定される資産や、その収益を所有、保管、管理しているとみなされる。
この資産は、セルシウスが破産法に基づいて使用、売却、リースできる財産であり、法律上も引き渡すことが義務付けられると申し立てる形だ。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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現在の状況
セルシウスについては、米弁護士事務所Kirkland&Ellisが裁判所に提出した資料から、今年10月には資産残高が底をつき、約53億円の赤字になることが予測されている。
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米司法省の連邦管財官事務所は18日、セルシウスの事業について独立した検査官を任命して調査することを求める書類を裁判所に提出した。セルシウスの「ビジネスモデルおよび運営、投資、融資取引、顧客口座の性質」について不透明なところがあるため、これらの詳細を明らかにすることが必要だとしている。
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ただこの要請について、セルシウスの無担保債権者委員会は反対。調査コストが発生することで、セルシウス債権者が取り返せる金額が少なくなってしまうことを懸念する形だ。
同委員会は、セルシウスの破産申請についてのQ&Aを公開。現時点ではまだチャプターイレブンに基づく再建計画は提示されていないが、計画書が提示された暁には、アカウント保有者および無担保債権者はその内容を検討することになるだろうとしている。計画を受け入れるか否か投票する機会を持てる可能性があるとも続けた。
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