10月には赤字状態となる可能性
破産申請した暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)の財務状況がさらに悪化していることが、米弁護士事務所Kirkland & Ellisが裁判所に提出した資料から確認された。
セルシウスは今年7月上旬に米国裁判所にて破産(チャプター11)を表明。2022年2Q(4月〜6月)における相場の急落に伴い、顧客資産の入出金停止を表明した後、債務不履行に至っていた。
現在は、債権者への支払いを実施するための方法を模索中。同社は破産申請時、保有資産43億ドルに対して、負債が55億ドルに達していることを報告していた。
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今回のKirkland & Ellisの資料は、現地時間16日の公聴会に先立つ形で公開されたもの。
資料によれば、セルシウスの財務状況はさらに悪化している。8月時点でのセルシウスの現金残高は約170億円(1億3,000万ドル)と算出。営業、資本、リストラクチャリングといった各種支出を考慮すると、今年10月には残高が底をつき、約53億円(4,000万ドル)の赤字となることが予測されている。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
▶️仮想通貨用語集
ビットコイン関連の負債総額は約3,300億円に
Kirkland & Ellisは、セルシウスの保有する仮想通貨と関連する負債額に関するレポート(7月29日付)も提出した。
セルシウスは現在、約450億円(3億4,800万ドル相当)のビットコイン(BTC)を保有しているが、ビットコイン負債の総額は3,300億円(25億ドル)に達している。イーサリアムは約7億ドル相当を所有している一方で、負債額は17億ドル。ステーブルコインUSDCの負債額は9億4,500万ドルだ。
同社の独自トークン「CEL」については、約2億8,000万枚(負債額としては約3億2,000万ドル)が凍結されている。セルシウス側の保有量は約7億6,000万ドル相当となっており、現段階では保有量が上回っている。
関連:セルシウスのカストディ口座ユーザーら、集団訴訟に向けて準備
セルシウスの破綻に関しては、米国証券取引委員会(SEC)が調査を進めており、8月上旬にはカナダの規制当局との連携捜査も行われていることが報じられた。
地元紙の報道によると、ケベック州のAMF(金融市場庁)やオンタリオ州証券委員会(OSC)が、調査に参加しているという。
また同社のカストディ口座ユーザーが、弁護士を雇用し、集団訴訟に向けての準備を進めていることも確認されている。この集団に参加する利用者の数は2日時点で約400人に達している。