カナダHIVE、ETHマージに備えマイニング戦略を変更へ
イーサリアム「マージ」に備えるHIVE
カナダに本拠地を置く上場暗号資産(仮想通貨)マイニング企業HIVE Blockchain Technologiesは6日、イーサリアム(ETH)の代わりに、どの仮想通貨を採掘できるかなどを検討しているところだと明かした。月次報告の一項目として述べた。
背景としては、イーサリアムの大型アップグレード「The Merge(マージ)」の最終段階「Paris」が9月10日から20日の間に起こると推定されていることがある。
「マージ」が完了すると、現在のメインネットと今後コンセンサス形成を担っていく「ビーコンチェーン」が統合され、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムが、マイニングによる現行のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からステーキングによるプルーフオブステーク(PoS)へ切り替わる。
このため、マイナーはPoSになったイーサリアムについて採掘を行うことができなくなる。HIVEはその後の対策を考えている形だ。
マージの第一段階「Bellatrix(ベラトリックス)」は日本時間9月6日夜に予定通りビーコンチェーン上で起動。これにより最終段階「Paris」が9月中旬に実施されることがより現実味を帯びるようになった。
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PoSとは
「Proof of Stake(保有による証明)」の略。仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
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BTC採掘やクラウドコンピューティングを検討
HIVEは、イーサリアムの採掘に通常使用されるグラフィック・プロセッシング・ユニット(GPU)で採掘可能な他のコインについて分析を開始しており、今週からベータテストを実施していると説明。HIVEは次のように述べた。
当社の技術チームは、イーサリアムがPoSに移行した場合、6.5テラハッシュのイーサリアム採掘ハッシュレートを生み出す能力を、GPUで採掘可能な他の様々なコインで最適化する戦略を導入している。
なお、テラハッシュは1秒間に1兆回の計算を行う能力だ。
HIVEによると、同社のGPUフリートは、同社の水力および地熱データセンターの容量の16%にあたる約21.5メガワットを構成している。
そのうち、約14.8メガワットは主にAMD Radeon RX580のGPUカードである。この分を、新世代のASICを使用したビットコインマイニングに変換した場合は、400~440ペタハッシュ(PH/s)のマイニングを行うことができるようになる見込みだ。ペタハッシュは、1秒間に1000兆回の計算能力である。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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また、21.5メガワットのGPU電源容量の残りは、6.7メガワットの新世代NVIDIA GPUで構成されている。これは、クラウドコンピューティングやAIアプリケーションなどにも使用することができるもので、HIVEはクラウドコンピューティングのテストを実施しているところだと述べた。
Hut 8も準備
HIVEの他、カナダの上場マイニング企業Hut 8も、イーサリアムのマージに備えているところだ。Hut 8は8月、同社データセンターに180台のNvidia GPUを導入した。現在これらのマシンはイーサリアムを採掘しているが、必要に応じて人工知能、機械学習などのサービスを顧客に提供できるよう設計される予定だと述べている。
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