はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

ヴィタリックが語る イーサリアムがPoSに移行する理由 

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

PoS移行の動機

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、2日に公開されたインタビューで、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行する理由について見解を語った。

また、PoSネットワークで大量保有者にさらに報酬が与えられる「富の集中化」や、ETHエコシステムで自身の存在が単一障害点とみなされる風潮について言及。

ブテリン氏の見解によると、PoS移行により51%攻撃にかかるコストが格段に上がるため、ネットワークのトランザクション検証者(バリデーター)に支払う報酬当たりのセキュリティ水準は遥かに向上する。

セキュリティを確保するためにブロック生成者に支払う報酬を「1ドル」に抽象化すると、採掘マシンと電気代を要するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のマイナーは、資本コスト(初期費用)に約 0.33 ドル、操業(ランニング)コストに0.67 ドル支払っている。

一方、PoSのバリデーターは最初に所定のトークンを購入してステーキングする必要があるため資本コストが0.9ドルで、維持費の負担が少ないので操業コストはせいぜい0.1ドル。

同じ1ドルの報酬でも、より資本(初期)コストがかかるPoSは、51%攻撃のリスクに対して「20倍以上のセキュリティを確保できる(GPUマイナーの場合)」と、ブテリン氏は独自の試算に基づいて主張した。

関連:2部構成のイーサリアムマージ|9月6日予定の「Bellatrix」アップグレードとは

PoWとの比較

不必要に大量の電力を消費する(PoW)コンセンサスシステムは環境に悪いだけでなく、毎年数十万のBTCまたはETHを発行する必要がある。もちろん、最終的には発行額がほぼゼロになり、その時点で問題はなくなるが、ビットコインは別の問題に直面する。

将来的にBTCの採掘報酬が無くなると、ビットコインのセキュリティは完全に手数料に依存することになる。しかし、ブテリン氏は「ビットコインの手数料は1日約4,200万円(30万ドル)で、直近5年間であまり伸びていない」として「ビットコインは数兆円規模のシステムを安全に運用するのに必要なレベルの手数料収入を生み出せていない」と指摘した。

また、イーサリアムのPoSでは、バリデーターの不正を検出するとそれらが保有するETHを自動的に没収する「スラッシュ(罰則)」メカニズムがある。

特定のブロック生成者がネットワークの過半数を占め、取引を改ざんする「51%攻撃」が起きた場合、PoWではフォークによるアルゴリズム変更とそれに伴うASICマシンの無力化によりチェーンが不安定化するリスクがある。一方、PoSは不正なバリデーターを排除してすぐに回復できる利点があるとブテリン氏は指摘した。

イーサリアムの単一障害点

ブテリン氏はまた、PoWとPoS(イーサリアム)の共通点としてマイナーやバリデーターのような存在が、ネットワークのガバナンスに大きな影響力を及ぼすことは無いと指摘。ガバナンスは改善提案(BIPやEIP)を通じて行われる独立したプロセスである。

コンセンサスメカニズムはネットワークの正当なチェーン形成を助ける取り決めにすぎず、「プロトコルに違反するブロックは結局は拒否される」として、より大量の資産保有者がPoSネットワークを制御できるかのような見解は誤りだと述べる。

関連来たるイーサリアム「マージ」、8つの誤解とは

分散型のリキッドステーキングサービスや、仮想通貨取引所を初めとする中央管理型のステーキングサービスにETHのデポジットが偏る傾向について、「懸念はあるが、人々は誇張しすぎている」と指摘。「来年から出金が可能になれば状況が改善されるだろう」と述べた。

自身が創業したSquare(現Block)の専門部門で、ビットコイン(BTC)のレイヤー2ネットワーク「ION」に分散型ID(DID)サービスを構築するなど、ビットコイン信者で知られるジャック・ドーシー氏は以前、イーサリアムには「単一障害点」があると指摘したことがある。

ドーシー氏は直接言及していないが、外から見れば2013年に若干19歳でイーサリアムを生み出したブテリン氏はイーサリアムの「顔」であり、ロードマップや開発関連において多大な影響力を示しているかのように見える。

こうした周囲が抱く印象についてプテリン氏は、過去2年間でコードはおろか高レベルなリサーチでさえ自身の手を離れていると指摘。多くの素晴らしいリーダーシップが育ち、自身の影響力を減らすことに成功したと語った。

関連:「Web5」プラットフォーム、ジャック・ドーシー氏のビットコイン事業「TBD」が発表

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
05:50
ストラテジーのセイラー会長、6900億円相当のビットコイン売却の噂を否定
ストラテジーのマイケル・セイラー会長が47000BTCの売却憶測を否定した。オンチェーン上の動きは保管業者の入れ替えによるもので、実際に購入ペースを加速させていると説明。
11/14 金曜日
21:20
CourtYard(コートヤード)でトレカをNFT化|使い方を初心者向けに徹底解説
トレーディングカードをNFT化して取引できるCourtYard(コートヤード)の使い方を解説。アカウント開設からPolygon上での取引方法、ガス代準備、リスクまで初心者向けに図解で詳しく紹介します。
21:00
ビットコインウォレットのおすすめは?種類・選び方・アドレス作成手順まで解説
ビットコインウォレットの種類や違い、安全な選び方を徹底解説。ハードウェア・ソフトウェアの比較からアドレス作成、セキュリティ対策まで初心者にもわかりやすく紹介します。
17:19
米ビットコイン現物ETF、過去2番目の規模の純流出 リスクオフが加速
11月13日、ビットコイン現物ETFは8.7億ドル(約1,340億円)の純流出を記録し、過去2番目の規模に。イーサリアムETFも3日連続で流出。FRB当局者の慎重発言を受け、仮想通貨と米国株が同時に下落。専門家は健全な調整との見方も。
16:46
Aptos Labs CBOが語る日本戦略|独占インタビュー
Aptos Labs CBO Solomon Tesfaye氏独占インタビュー。日本の大手金融機関との協議、ステーブルコインUSD1の展開、グローバル戦略を語る。
16:32
ビットコインのみ投資へ 欧州初のルクセンブルク国家ファンドがETF経由で1%配分
ルクセンブルク財務相が、国家ファンドFSILが他の仮想通貨ではなくビットコインのみに1%配分したことを明言。欧州初の国家レベルでのビットコイン投資となる。
15:06
ヴィタリック、分散化の原則を強化する「トラストレス宣言」を発表 中央集権化に警鐘
イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏らが「トラストレス宣言」を発表。検証可能性や検閲耐性など6つの核心要件を定義し、利便性優先による中央集権化リスクに警鐘を鳴らした。トラストレスこそがイーサリアムの本質であり、信頼できる中立性を達成する唯一の方法だと強調している。
15:06
JPYC、米サークル社オンチェーンFX網のパートナー通貨に採択
JPYCが米CircleのオンチェーンFX網「StableFX」で日本円パートナーに採択。USDCとの即時交換に対応し、国際送金・決済インフラで円建てステーブルコインの役割が拡大する見通し。
13:35
日本円ステーブルコインJPYC、発行額2億円突破
JPYC株式会社は、日本円建ステーブルコイン「JPYC」の累計発行額が2億円を突破したと発表。正式発行から約18日間での達成。保有者数は約3.1万人に達し、JPYC EXの口座開設数も6,000件に到達した。
11:57
「ビットコイン、株高に反応鈍く下落時は増幅」Wintermuteが非対称性を指摘
Wintermuteの最新レポートによると、ビットコインはナスダック指数と0.8の高相関を維持するも、株高局面で反応が鈍く下落時のみ敏感に連動。この負のスキューは2022年以来最高水準で、通常は市場底値圏で見られるパターン。資金の株式市場シフトと流動性低下が背景に。
11:49
大手銀BNYメロン、ステーブルコイン準備金のためのMMFを立ち上げ
大手銀BNYメロンがステーブルコイン発行者向けのマネー・マーケット・ファンド「BSRXX」立ち上げを発表。ジーニアス法対応の準備金ファンドとなる。
11:04
21シェアーズ、仮想通貨指数ETF2本を米国上場 投資会社法適用は米国初
21シェアーズが投資会社法(1940年法)準拠の仮想通貨インデックスETF2本を米国で上場。TTOPとTXBCは、ビットコイン、イーサリアム、ソラナなど主要デジタル資産への分散投資を提供。機関投資家向け「ゴールドスタンダード」のETF構造を採用。
10:33
ビットコインが今月3度目の10万ドル割れ、フラッシュクラッシュ後の資金戻り鈍化
ビットコインは今月3度目となる10万ドル割れを記録し、低調な値動きが続いた。背景には、FRBが利下げに慎重な姿勢を示していることに加え、東証などを運営する日本取引所グループ(JPX)が仮想通貨トレジャリー企業に対して規制を示唆する報道が流れ、市場心理を冷え込ませたことが挙げられる。
09:54
グレースケールのIPO登録書類が公開 トランプ政権下で上場申請続く
仮想通貨資産運用企業グレースケールは、IPO登録届出書を米SECに提出。市場が構築されれば株式のトークン化も検討していく意向を示した。
09:32
米国でXRP現物ETF上場、初日取引高は90億円を記録
カナリー・キャピタルの仮想通貨XRP現物ETFが米国で上場。初日取引高90億円を記録した。2025年に上場したETF中でトップの数字となった。政府機関再開でさらなる承認も期待される。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧