FTX USのCEOが語る「仮想通貨取引を増加させる2つの出来事」とは
何が仮想通貨の取引量増加をもたらすか
米国の暗号資産(仮想通貨)取引所FTX USのブレット・ハリソンCEOは23日、仮想通貨市場の取引量増加を引き起こす可能性がある出来事を2つ挙げた。フォーチュンとのインタビュー記事で見解を述べた。
ハリソン氏は1つ目は、「仮想通貨の価格が再び上昇すること」だとした。さらに2つ目は、「仮想通貨取引所に対する規制が本当に明確になったとき」だと述べた。
ハリソン氏は特に、米議会のデビー・スタバノウ上院議員らが提出した法案について言及した。この「2022年デジタル商品消費者保護法」は、米CFTC(商品先物取引委員会)の仮想通貨規制における権限強化を求めるものである。
CFTCに「デジタル商品現物市場の独占的管轄権」を与え、その分野で消費者保護、市場の健全性、イノベーションを促進することを狙いとする法案だ。
この法案を提出したスタバノウ議員は15日時点で、「法案は今後数週間以内に可決する見込み」だと楽観的な予測を示している。
ハリソン氏は、この法案について「市場が求めている明確さを提供できる」と評価し、次のように見解を述べた。
もし仮に、法案が通過し、CFTCがビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を監督するようになり、当社(FTX US)もデジタル資産取引所として登録できるようになったとしよう。
その場合、仮想通貨を直接取り扱いたいすべての機関、ヘッジファンド、ファミリーオフィスのミューチュアルファンドなどは、政府によって明確に認可された取引所でそれが可能になる。このことは大きい。
また、米国が規制を明確化すれば、他の国々も続く可能性があると指摘した。現在は「米国がどのように行動するかを観察し、米国の規制にあわせて自分達の規制を形作りたいと考えている地域」が多くあるとする形だ。
ハリソン氏は、SECとCFTCが省庁間協定を結ぶことも提案した。個人の考えとしては、すでに仮想通貨デリバティブを規制して、その分野の専門知識を持っているCFTCに、すべての仮想通貨を監督する権限を与えることに賛成だと話す。
その場合SECは、仮想通貨の登録や上場のプロセスで協力し、インサイダー取引などに関する追加の市場監視を行うことができると続けた。
SECとCFTCの監督権限
米国では仮想通貨などのデジタル資産を有価証券と定義して、既存の証券法の下で取り締まりを図るSEC(証券取引委員会)と、商品(コモディティ)として監督を試みるCFTCの間で水面化の監督権争いが続いている。
SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は、大半の仮想通貨が有価証券に該当するとの見解を維持しており、執行部ディレクターも9日、「証券取引法違反があった場合、法的措置を取り続ける」と述べた。これに対して、歴史的にはCFTCの方が友好的な政策を見せてきた傾向がある。
関連:米SEC執行部「仮想通貨について法的措置を取り続ける」
ゲンスラー委員長は、8日、ビットコインなど証券に分類されない仮想通貨の監督権限をCFTCへ与えることを支持する姿勢を示した。
一方で、イーサリアム(ETH)のPoS移行大型アップグレード「マージ」が完了したタイミングで、「ステーキングが可能な仮想通貨」は証券である可能性が高いとも発言。SECがそれらを監督できることを仄めかしたのではないかとして注目を集めていた。
関連:米SECゲンスラー委員長「PoS系仮想通貨が証券該当の可能性」
PoSとは
保有(ステーク)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。「Proof of Stake(保有による証明)」の略。仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します