バイナンス、ブラジルとカザフスタンで事業拡大
ブラジルとカザフスタンで事業拡大
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは3日、ブラジルに2つの事務所を開設した。ブラジルでの事業を拡大し、ラテンアメリカ地域で仮想通貨の普及を進めたいとしている。また、中央アジアに位置するカザフスタン政府とも覚書を締結した。
ブラジルに2つの拠点
バイナンスは、金融の中心地であるサンパウロと、南東部の大都市リオデジャネイロにオフィスを開設。同社のブラジルチームでは現在、カスタマーサービスとサポートを中心に150人以上が働いている。
バイナンスは3月、ブラジルの証券会社シンポール・インベストメントスの買収手続きを行うと発表。現在、同国の中央銀行がこの買収案を査定しているところだ。シンポールは、ブラジル中銀とブラジル証券取引委員会(CVM)の認可を受けた証券会社である。
バイナンスは2020年に、ブラジル当局から、未登録の事業者であると警告され、2021年にブラジルでの先物取引を停止していた。シンポール買収は、規制遵守を強化してサービスを拡大するための動きになる見込みだ。
さらにバイナンスは9月、ブラジルの元中央銀行総裁であるヘンリケ・メイレレス氏を、グローバル事業のアドバイザリー委員会に迎えている。
カザフスタン政府と覚書締結
バイナンスは、カザフスタンでも事業拡大を進めているところだ。バイナンスのCZ(Changpeng Zhao)CEOは3日、カザフスタンの金融監視庁と覚書を締結したと発表した。
覚書締結は、仮想通貨の流通や、不正金融の分野での協力と相互支援を目的としている。不正金融への取り組みでは、違法に入手された仮想通貨やマネロン・テロ資金調達を目的とした資産の特定や、その凍結などを対象とするものだ。
CZ氏は、この取り組みはバイナンスが実施している「グローバル法執行トレーニングプログラム」の一環だと述べた。このプログラムは「サイバー犯罪や金融犯罪に対してグローバルに共に戦う」ためのもので、フランス、ドイツ、イタリア、英国、ノルウェー、カナダ、ブラジル、パラグアイ、イスラエルでもすでに実施された。
バイナンスは5月に、カザフスタンのデジタル開発・革新・航空宇宙産業省とも覚書を締結している。こちらについては、銀行セクターのインフラを仮想通貨市場内に統合する機会を探り、分散型台帳技術の開発や適用を促進していくことが目的だ。
また8月には、カザフスタンのアスタナ国際金融センター(AIFC)で仮想通貨取引やカストディを提供するための原則的な承認を当局から得ている。AIFCは、金融サービスのための魅力ある環境を整え、証券市場を促進し、世界からカザフスタンへの投資を誘致することを目指して立ち上げられた金融センターである。
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は、アスタナで開催されたDigital Bridge 2022フォーラムで、「バイナンスはカザフスタンに地域全体のためのハブを構築していく」と述べている。
CZ氏は、「カザフスタンは、中央アジアにおいて仮想通貨導入と規制における先駆者であることを示してきた」とコメントした。
中国政府が2021年にマイニング事業含め仮想通貨に対する取り締まりを強化したことから、カザフスタンは一部仮想通貨マイニング事業者の移転先となった。
英ケンブリッジ大学傘下のCCAF(Cambridge Center for Alternative Finance)の統計によれば、22年1月時点で、カザフスタンのビットコイン(BTC)のハッシュレートは世界3位(約13%)である。
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します