米大手メディアCNN、NFT事業から撤退へ 「ラグプル」批判の声も
1年弱でNFT事業撤退へ
米メディアCNNは11日、独自のNFT(非代替性トークン)マーケットプレイス「Vault by CNN」の退散を発表した。
CNNは11日の発表で「Vault by CNNに別れを告げる時が来た」と説明。今後コミュニティーを発展および維持することはなくなったものの、NFTコレクションは引き続きVaultのマーケットプレイスで取引可能だと明かした。
また、詳細は決定していないものの、関係者によればNFT購入者への補償として暗号資産(仮想通貨)FLOWトークンやステーブルコインを配当する案も浮上。当初のミント(発行)価格の2割を返却するという。
なお、NFT事業を退散する要因について具体的な言及はなかった。
NFTとは
NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンを指す。ゲームや音楽、アート作品、各種証明書など幅広い分野で活用されている。
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Vault by CNNとは
CNNは米国を代表するリベラル系の大手メディア。Vaultは2021年6月にCNNがローンチしたプロジェクトで、過去にテレビで放映した歴史的行事を「Moments」としてNFT化するもの。基盤技術にはDapper Labが提供するブロックチェーンFlowを採用。
同企画では米大統領の当選が判明した際の画面やベルリンの壁の崩壊、初のスペースシャトルの発射など歴史的瞬間(モーメント)をNFTとした。コンテンツの商権はCNNが保有して、NFT保有者はポスターのようにNFTを鑑賞することができる。
NFTはDapper Walletを利用して、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨や法定通貨でも購入可能だ。
Flowは高速トランザクションと低コストの取引量を誇るブロックチェーン。NFTブームの先陣を切ったNBA Top ShotやCrypto Kittiesを手掛けたDapper Labsが開発しており、国内ではDAZNとミクシィの提供するDAZN MOMENTSも同ネットワークを採用している。
「ラグプル」批判の声も
CNNのNFT事業退散を受け、コミュニティからはCNNのNFT計画をラグプルと批判する声も少なくない。
CNNは今回の発表で「Vaultは当初6週間限定のプロジェクトだった」と説明している反面、2022年4Q(10月〜12月)や2023年まで及ぶロードマップ構想を公式サイトで公開。ユーザーからは将来的に新たな機能を追加する可能性を示唆した点を非難している。
また、NFT保有者向けの特典でも近日公開(Coming Soon)と将来性を示唆する表現が含まれていた。
なお、CNNは独自のストリーミング配信プラットフォーム「CNN+」を22年3月末にローンチしたが、4月末にプロジェクトを一転して打ち切った経緯がある。具体的な詳細は明かされていないものの、Axiosの報道では初期登録者を元にした試算では、収益面でのリスクと報酬が見合わなかった可能性が想定された。
ラグプルとは
英語で「Rug Pull」と表記される出口詐欺のこと。開発者が初期投資家を誘い込んでNFTを売りつけた後、プロジェクトを放棄したり、NFT販売で得た資金を持ち逃げする行為。
DeFi(分散型金融)プロジェクトの開発者や運営側が、密かに仮想通貨のプールから流動性を引き抜いて持ち逃げするなどの事例がある。
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