日本政府が閣議決定、仮想通貨マネロン対策強化へ

今国会での成立を目指す

日本政府は14日、マネーロンダリング対策を目的として、外国為替法などに関連する6つの法律の改正案を閣議決定した。時事通信などが報じた。

暗号資産(仮想通貨)の交換を行う事業者に対しては、利用者の氏名などの情報を確認し事業者間で通知する義務を課す。

マネーロンダリングに関連する罪の法定刑も引き上げられ、大量破壊兵器の拡散に関わると国連が指定した組織や個人に対しては、国内での資産凍結が可能となる。

閣議決定された改正案は、今国会に提出される予定だ。

政府は以前からマネロンに関する規制強化や対策の準備を進めており、22年9月末には、日経新聞がマネーロンダリング対策として仮想通貨交換業者に新たな送金ルールを導入することを報道していた。

一連の政府の取り組みには、FATF(金融活動作業部会)が提唱するトラベルルールが背景にある。これは、同部会が提唱するマネロン等防止のための国際的な電信送金に関する決まり。

国内では、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が自主規制として、加盟団体に対策を要請。コインチェックやGMOコインなど、主な国内取引所は4月前後から対応を開始していた。

また、10月からは本施行が開始されており、新たに「受取人の住所に関する情報および取引目的等に関する情報の取得」が求められるようになっている。

なお、JVCEAに対しては、金融庁が21年12月に、警告を行っていたことが明らかになっている。関係筋によると、マネロン防止対応の遅れが懸念され、JVCEAの審議方法、意思決定のプロセス、現状の背景、役員の責任などが明確ではないことが指摘されたという。

トラベル・ルールとは

仮想通貨取引について、サービスプロバイダー(VASP)に送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することを求めるルール。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。

▶️仮想通貨用語集

関連:日本政府、仮想通貨交換業者に新たな送金ルール導入へ マネロン対策を徹底=日経

マネロン対策を策定する国際組織

FATFは、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う組織。審査は仮想通貨に特化したものではなく、対象国全体のAML・CFTを評価する形で行う。

日本に対しては、2021年に第4次となる対日相互審査を実施。総合的な評価は「実質的な不合格」とされ、仮想通貨を含めたリスクの高い分野に対処しようとしていると評価された一方、全体的にまだ改善の余地があると指摘されていた形だ。

当時、同部会は日本が取り組むべき課題として、取引モニタリングの実施、資産凍結措置、継続的な顧客管理などを挙げていた。

関連:10月より本施行のトラベルルール、国内取引所の追加対応まとめ

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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