仮想通貨のマネロン対策を強化
日本政府は、マネーロンダリング対策として暗号資産(仮想通貨)交換業者に新たな送金ルールを導入することがわかった。日経新聞が報じた。
ユーザーの情報を企業間で共有するよう義務づけて、銀行と同水準の規制で犯罪者の資金移動を追跡できるようにすることが主な狙い。早ければ2023年春にも導入される見込みで、10月3日に召集が予定される臨時国会に、犯罪収益移転防止法の改正案を提出する計画だという。施行は2023年5月を目指している。
今回のルールはステーブルコインにも適用。犯罪収益移転防止法だけでなく、マネロンに関連した法律を一括して改正する計画で、ロシアなどの制裁対象者の送受金を防ぐことも目的である。法改正によって、違反した企業に行政指導や是正命令を発動できるようにする。
トラベルルールの導入
この規制強化の動きの背景には、FATF(金融活動作業部会)のトラベルルールがある。
トラベルルールとは
FATFが提唱する、マネロン等防止のための国際的な電信送金に関するルールのこと。仮想通貨のサービスプロバイダー(VASP)には取引の際、送金者と受取人の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することが求められる。対象となるVASP間の仮想通貨送金で、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
▶️仮想通貨用語集
FATFは昨年8月、仮想通貨を含めた第4次対日相互審査報告書を公表。この時、日本は実質的な不合格とされた。日本は仮想通貨を含めたリスクの高い分野に対処しようとしていると評価もしたが、全体的にまだ改善の余地があるとFATFは指摘。今後取り組むべき具体的な優先課題として、取引モニタリングの実施、資産凍結措置、継続的な顧客管理などを挙げていた。
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また今年7月には、金融庁が昨年12月に日本暗号資産取引業協会(JVCEA)に警告を行ったことが報じられた。関係筋によると、金融庁は特にマネロン防止の対応が遅れていることを懸念しており、JVCEAの審議方法、意思決定のプロセス、現状の背景、役員の責任などが明確ではないと指摘したという。
一方でJVCEAは今年の4月1日から、自主規制規則でトラベルルールを導入。これに合わせて、日本の交換業者は対応を開始した。今月末からは新たに「送金目的」を取得・保存するなどのアナウンスも行われており、10月のルールの本施行に向けて交換業者も対応を継続している。
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