イーサリアム共同創設者ブテリン氏がDeFiフロントエンドの規制を提案 「ハッカー対策ではKYCは無意味に等しい」
DeFiフロントエンドのKYCは無意味
イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は10月30日、分散型金融(DeFi)の規制について、一連のツイートで自身の考える有効な解決策を提案した。
暗号資産(仮想通貨)規制について、もっと自分の意見を公に喋ったほうがいいかな。他の人がCTから攻撃されるのを放っておいて、実際に自分の首を突っ込まないのは不公平な気がする。
ブテリン氏が言及しているのは、先月20日に大手仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマン=フリードCEOが提唱した「デジタル資産業界標準」をめぐる議論だ。特にDeFi分野へのアプローチに問題があるとして、多くの業界関係者から批判が集中した経緯がある。
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ブテリン氏は基本的に、仮想通貨領域内部での自由を尊重するが、仮想通貨プロジェクトが「主流に到達する」ことを厳しく規制する方向性は、「仮想通貨領域内部の仕組みに干渉する」規制よりも、現時点ではまだ害が小さいと考えていることを明らかにした。
その上で、DeFiへのアクセス地点であるフロントエンドで、本人確認手続き(KYC)を行うという方法は、あまり意味がないと主張。次のように説明した。
それはユーザーを苛立たせるだけで、ハッカーに対しては何の役にも立たない。すでにハッカーはコントラクトと交信する特別なコードを書いている。取引所が、KYCを実施する合理的な場所であるのは明らかで、それはすでに実行されている。
KYC
KYCとは、”Know Your Customer”の頭文字をとったもので、サービス利用者の本人確認手続きを総称した言葉。銀行などの金融機関や仮想通貨取引所などに口座開設する際に行われる手続きを指す。
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有効な規制とは
ブテリン氏は、規制政策には消費者保護と違法資金の移動の阻止という二つの目標があるが、後者に関してはDeFiではなく、大規模な仮想通貨決済全般に問題が集中していると指摘。効果的なDeFiのフロントエンド規制として、以下の三つを提案した。
- レバレッジの制限
- コントラクトのセキュリティ監査に関する情報の提供(透明性を要求)
- 資本の最低基準ではなく、知識ベースのテストによる利用制限
さらにゼロ知識証明(ZKP)を用いて要件を満たすような規制が策定されることを望むと、付け加えた。
ZKPは、規制の政策目標を満たすと同時にプライバシーを保護するための多くの新たな機会を提供する。我々はこれを大いに活用すべきだ。
エコシステムには成熟する時間が必要
ブテリン氏はまた、物議を醸し出すかもしれないと前置きした上で「大規模な機関投資家の資本を熱狂的に追い求めるべきではない」との考えを示した。同氏は多くの仮想通貨ETF(上場投資信託)の承認が遅れていることは「ちょっと嬉しいことだ」と告白している。
仮想通貨がより大きな注目を集める前に、エコシステムが成熟するための十分な時間が必要だというのがその理由だ。技術による解決を重視するブテリン氏ならではの論理だろう。
コミュニティ主導の規制政策
仮想通貨の規制政策に関する論争の火付け役となったFTXのサムCEOは10月28日、仮想通貨ポッドキャスト「Bankless」でShapeShiftのエリック・ボーヒーズ共同設立者と2時間にわたる討論を行った。その2日後、サムCEOは、何が重要で正しい政策なのかについて、基本的にボーヒーズ氏と業界の意見に同意すると述べた。
「効果的な戦略であるかどうかは別として」、(1)経済的自由、(2)投資に関する差別的、階級差別主義的な基準を無くす、(3)DeFiのための自由、という点で合意するという。
「暗号ツイッター、ハンドルを握れ」とサムCEOはツイートし、コミュニティ主導で引き続き規制政策に対する議論を盛り上げていくよう、呼びかけた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します