CoinPostで今最も読まれています

FTXサムCEOが提唱した仮想通貨規制草案に反論相次ぐ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サムCEOの「業界標準」に批判が集中

20日に大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTX.US (米国版 FTX)が公開した、仮想通貨の規制草案に業界からの批判が相次いでいる。「考えられるデジタル資産業界標準」としてサム・バンクマン=フリードCEOが起草したが、たたき台的な役割のものだとして、広く業界からの意見を求めていた。

その中で、ShapeShiftの共同設立者であるエリック・ボーヒーズ氏は、サムCEOの提案について長文の考察を発表。いち早くサムCEOの規制案を批判したバンクレスの共同創設者ライアン・ショーン・アダムス氏は、ボーヒーズ氏の意見への賛同を表明した。

FTXのSBF(サムCEO)の仮想通貨規制案に対するエリック・ボーヒーズのこの回答は、もし私に能力があったなら、書いたであろうものだ。

サムCEOへの三つの提案

ボーヒーズ氏の考察は、規制と業界標準の違いから、不正資金のブラックリスト化、米財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁措置への対応方針、資産の証券性、顧客保護、情報開示、分散型金融など、多岐にわたっている。

これらを総合し、ボーヒーズ氏はサムCEOに対し、以下の三点について提案した。

  • ブラックリスト:合理的なブラックリストに限定する
  • OFACの制裁措置への準拠を再考する
  • 分散型プロトコルと仲介者を想定した法案の分離

関連:FTXのサムCEO、仮想通貨規制の「業界標準」を提唱

ブラックリストの合理的な活用法

ボーヒーズ氏は詐欺や盗難防止などのために民間企業がアクセス可能な「合理的なブラックリストの作成」と、「すべての市場関係者(アプリやプロトコル層など)に強制的に課される不合理なブラックリストの作成」では、一線を画すよう求めた。

ボーヒーズ氏は、取引所を運営する中で、他の大手取引所やウォレットと協力し、不正資金を特定しブラックリスト化するなど、貢献してきた経験があると説明。しかし、重要なのは、独自のアプリケーションレイヤーで、自主的にブラックリストを実装したことであって、ブロックチェーンのレイヤーにおける取引を阻止するために、プロトコルや法律を変えたわけではないと強調した。

リアルタイムで作成・更新され、いかなる当事者でもアクセス可能な、サムCEOが提案するブラックリストは、FTX独自のソフトとアプリケーションレイヤーで使用される場合は、全く問題ないとボーヒーズ氏は指摘。しかし、米国など自由な国においては、ブロックチェーンやコード自体(スマートコントラクトなど)が、ブラックリストの強制を法的に義務付けるような法律を作ってはいけないと警告した。

「ブロックチェーン自体が不正な資金をブロックしてくれれば、ずっと簡単だが、それは破滅への道だ」と同氏は述べ、ブロックチェーンのベースレイヤーにおける不変性が、真の仮想通貨の存在意義だと主張した。

OFACの制裁リスト

ボーヒーズ氏はサムCEOが、仮想通貨業界に米財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁リストを尊重すべきだと提案したことに対し「不適切だ」と批判した。その理由として、OFACの制裁リストには、犯罪を犯した人物だけではなく、例えばイランなどの「国全体」が含まれていることを問題視している。そして、大多数のイラン人はアメリカ人同様、犯罪者ではないと指摘した。

ボーヒーズ氏は「OFACは尊敬には値せず、無効とすべきだ」と主張。「開かれた自由な経済」を擁護する人物は、何百万人もの善良な人々に対する「あからさまな金融差別」を支持すべきではないと、サムCEOに訴えた。

DeFiは金融のフロンティア

ボーヒーズ氏はサムCEOの提案の中でも、特に問題があるのが分散型金融(DeFi)へのアプローチだと指摘した。その中で、サムCEOが「分散化されたコードは言論であり、規制されるべきではない」と認識している点は高く評価している。しかし、コードと人間とのやり取りの手段に対して、あらゆる規制を提唱している部分を危惧している。

例えば、DeFiのスマートコントラクトを閲覧したり作成したりするサイトに「ライセンス」が必要だとサムCEOは提案。この提案により、DeFiのフロントエンドのアクセスポイントの、法的準拠に対する負担が増大し、単純に計算しても「年間6桁」の額になるだろうとボーヒーズ氏は予測している。

そしてライセンスやコンプライアンス・プログラムに資金を費やすことの可能な「資金力のある企業のみ」が、金融ソフトウェアの構築が許可されることにつながると警告した。

ボーヒーズ氏は、「仲介者と顧客の関係のみを想定している銀行機密保護法」と関連する規制で、分散型プロトコルを規制するのは適切でないと主張。サムCEOに仲介業者を想定した法案から、DeFiを除外するように訴えた。

DeFi(分散型金融)

DeFi(分散型金融)とは、「Decentralized Finance」の略で、ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。

▶️仮想通貨用語集

サムCEOの立場

FTXはカストディアンであり、顧客の資金と個人情報を余裕する金融仲介業者として、政府の規制を受けている。ボーヒーズ氏は米国で中央集権的な取引所であるFTXを運営しているサムCEOの立場には、理解を示している。

ボーヒーズ氏は適切な規制の必要性には同意し、またハッキングへの対処法などに関するサムCEOの提案は合理的であると評価した。その上で、「オープンで自由な経済という原則の管理者」としての自覚を持ち続けるように、同氏に呼びかけた。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
12/01 金曜日
12:52
BAYCバーチャルバンド「KINGSHIP」、大手ゲーミングプラットフォームRobloxでデビュー
高級NFTコレクションBAYC(Bored Ape Yacht Club)キャラのバーチャルバンド「KINGSHIP」をフィーチャーした「KINGSHIP Islands」が、大手ゲーミングプラットフォームRobloxでプレイ可能になった。
12:40
ビットコイン38000ドル台復帰で年初来高値更新うかがう、ビットコインETF巡る報道続く
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインETF承認期待やFOMCの金利据え置き予想を背景に、BTCが高値更新を目前にしている。日足でアセンディングトライアングルを形成しており、ブレイクすれば4万ドルの心理的節目が視野に入る。
11:26
ビットコイン先物ETF「BITO」、運用資産額が過去最高値更新
米国初のビットコイン先物ETF「BITO」が運用資産で歴史的高値を更新。今年のBITOへの純流入額は11月24日時点で4億3,800万ドルであり、特に11月10日までの2週間で2億2,400万ドルが流入した。現物ビットコインETF承認への期待が高まり、BTC市場への機関投資は9週連続で純流入を記録している。
10:45
ビットコイン取引手数料で4億円超の過払い アントプールが返却へ
アントプールは、あるユーザーが過大に支払った83ビットコインの手数料を返却すると発表した。
09:45
大和証券ら4社、イーサリアムでST発行へ
大和証券グループは、パブリックブロックチェーン上でセキュリティトークンを発行するPOCを実施すると発表。基盤には仮想通貨イーサリアムのブロックチェーンを活用する。
08:30
NYダウ今年の高値更新 10月PCEがインフレ鈍化示唆
米株指数NYダウは本日+520ドル超と大幅続伸。11月には今年の高値を更新し2022年1月以来の高値をつけた。一方、仮想通貨ビットコインの11月の上昇率は8.8%だった。
07:30
バイナンス、新たな機関投資家向けソリューション提供へ
仮想通貨取引所バイナンスは、機関投資家向けの新たなソリューショーンを発表。開発の目的やプロジェクトの現状を説明している。
07:15
韓国Upbit、仮想通貨「SPACE ID」新規上場 一時30%高
韓国最大手仮想通貨取引所Upbitは30日、銘柄SPACE ID(ID)をBTC建て通貨ペアとして新規上場した。上場ニュースを受けてIDは一時30%急騰。
06:30
米SEC、フィデリティのイーサリアムETF上場申請で審査開始
米SECは新たに、フィデリティの仮想通貨現物イーサリアム(ETH)のETF上場申請について、パブリックコメントを募集し始めた。
05:30
約6億ドル分のビットコイン買い増し、マイクロストラテジー
米マイクロストラテジーは30日夜、再びビットコインを買い増ししたことを発表した。
11/30 木曜日
18:11
トークンブリッジ「Wormhole」 330億円を調達、Web3市場で今年最大規模
ブロックチェーン間互換性技術を手掛けるWormholeが330億円を調達。Web3エコシステムにおける今年最大級の動きとなり、ブレバン・ハワードやJump Tradingなど著名投資家が参加。ハッキング被害からの回復力も示し、新たな製品投入に期待が高まる。
16:03
「DOGE-1」月探査プロジェクト、SpaceXロケットで実現へ一歩前進
暗号資産(仮想通貨)ドージコインで資金調達した「Doge-1」月探査ミッションは、SpaceXロケットでの打ち上げを年明けに予定。プロジェクトを率いるジオメトリック・エナジー・コーポレーションが、規制承認の進捗を明かした。
14:30
Web3ゲーム「Big Time」、Bithumbに新規上場
暗号資産(仮想通貨)取引所BithumbがBIGTIMEとSTMXの新規取扱を発表。BIGTIMEはWeb3ゲームで、先月に米Coinbase(コインベース)に上場を果たした。韓国市場への進出が注目されている。
13:50
米フォーブス誌、24年版「30歳未満の30人」で仮想通貨関連で9名を金融リーダーに選出
米フォーブズ誌が選ぶ「30歳未満の30人」の2024年北米金融部門で、仮想通貨・ブロックチェーンに関連のある専門家9名が受賞することとなった。また、フォーブズは、13年の歴史で選出を後悔している10人を「恥の殿堂」として発表した。
13:20
ドイツ規制当局、ビットコイン・グループに資金洗浄対策を命令
ドイツ連邦金融監督庁は、ビットコイン・グループに対してマネロン対策の不備を是正することを命じた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア