コインベース、「当局からの情報提供要請が倍増」
仮想通貨に対する当局の関心を反映か
米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは12日、各国の政府機関や当局からの情報提供要請に関する報告を行った。今回は2021年10月1日から2022年9月30日までを対象期間としており、要請の件数は、前年に比べて66%増加している。
情報提供要請の43%は米国からだった。コインベースは、情報提供の要請が増加した理由について、以下のように説明した。
昨年に同様の報告を行ったが、それ以来、こうした要求は2倍以上になっている。増加の背景には、コインベースの事業拡大と、仮想通貨業界に対する法執行機関や当局の関心が全体的に高まっていることがあると考えられる。
コインベースは現在、世界中で1億800万人以上の顧客にサービスを提供しているところだが、各国の当局から、民事、刑事、その他の調査事項に関連して、顧客の情報を提供することを求められる場合がある。
コインベースは、規制や法にかんがみて適切であれば、こうした要求に応じる義務があり、対応してきた。
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刑事関連が95%以上
コインベースによると、今回の報告期間中(2021年10月1日~2022年9月30日)には合計12,320件の情報提供要請があり、前年比で66%増加した。
米国以外からの要請が全体の57%を占めており、前回のレポートより6%増加している。2022年には、初めてコインベースに情報提供を要請した国が21か国存在しており、アルゼンチン、ブラジル、ブルガリア、中国、チェコ、台湾などが挙げられる。
その中で、法執行機関からの要請の80%は、米国、英国、ドイツ、スペインからのもので、5位(フランス)以下を大きく引き離していた。
また、法執行機関からの要請は、特に、スペイン(前年比940%増)、ベルギー(同400%)、イタリア(同281%)、オランダ(同163%)、オーストリア(同141%)、アイルランド(同118%)の6か国で増加していた。
要請は、犯罪に関して、刑事に関する当局からなされたものが95%以上を占めていた。特にヨーロッパで、捜査当局の関心が仮想通貨に向けられていることを示唆している。
コインベースは、情報提供を慎重に行っていることについても説明した。
要請が広範すぎる、あるいは漠然としたものである場合は、その対象範囲を絞り込んで回答するよう努めており、場合によっては、一切の情報を提供しないこともあると述べる。
さらに、個々の顧客の情報を提供するのではなく、できるかぎり匿名化または集計されたデータを提供することを目指しているとも続けた。
トルネードキャッシュへの取締り
過去一年の間に、当局の監視が強化された例としては、仮想通貨ミキシングサービスのトルネードキャッシュが、北朝鮮のハッカーグループに利用されているとして米財務省から制裁指定されたことがある。
米国が制裁指定した8月には、オランダの捜査機関が、トルネードキャッシュに関わったエンジニアをマネロン助長容疑で逮捕。業界からは「プライバシー技術のコードを書いただけで逮捕されるのは行き過ぎている」と批判の声も上がった。
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