米当局、詐欺と価格操作の疑いでMango Marketsハッカーを逮捕

150億円の不正流出事件

米検察当局は26日、デリバティブ取引所Mango Marketsをハッキングして不当に利益を得たとしてアブラハム・アイゼンバーグ被告をプエルトリコで逮捕した。

同被告は、故意に同取引所における先物契約を不正操作したとして、商品詐欺と不正な価格操作の疑いで刑事告訴されている。

10月12日、Mango Marketsで147億円(1億1,000万ドル)の不正流出が発覚。

原因はMANGOトークンの永久契約(パーペチュアル契約)に対するハッカーの自己売買だった。大量の永久契約を自身に売ることで、契約の価格を1時間で1,300%上昇させ、その後ポジションを担保に借入を行うことで、プラットフォームから巨額の資金を引き出した。

ハッカーはその後、資金の大半を返還するのと引き換えに、犯罪捜査を要請しないようMango DAO(自律分散型組織)にコミュニティ提案を提出し、不正に入手にした3,200万MANGOトークンを使って可決させた。

最終的にMangoコミュニティは、ハッカーが約90億円(6,700万ドル)を返還する代わりに、報奨金として約60億円(4,700億ドル)を支払うことを承認。ハッキング被害者に対する資金返済計画を発表した。

自称「応用ゲーム理論家」のアイゼンバーグ被告は、ハッキングの発覚から4日後、「非常に収益性の高い取引戦略を運用するチームに関与していた」と自ら名乗り出た。価格操作により資金を引き出したことを認める一方で、プロトコルを設計された通りに使用した自身の行為は「有益な取引戦略」であり、公開市場では合法なものだったと主張していた。

関連:170億円の不正流出を引き起こしたハッカー、「有益な取引戦略」と弁解

不正操作を繰り返す

アイゼンバーグ被告が不正な価格操作により、資金を詐取したのはMango Marketsだけではない。

DeFiレンディング大手のAaveで11月に、その基本構造の隙を突く攻撃により約2.3億円(170万ドル)の不良債権を抱える事態が発生。その攻撃の実行者がアイゼンバーグ被告であることが、各種データから指摘された。

関連:DeFi融資大手Aave、設計が悪用され約2.4億円の貸し倒れ

また、同被告は今年2月にも、自身が関わっていたFortress DAOにおいても不正な価格操作を行って約19億円(1,400万ドル)を詐取したと非難されている。

アイゼンバーグ被告の行為は暗号資産(仮想通貨)コミュニティでも議論の対象になっていたが、今回司法の手が伸びたことで、Mango MarketsのDiscordサーバーでは喜びの声が上がっているようだ。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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