はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

170億円の不正流出を引き起こしたハッカー、「有益な取引戦略」と弁解

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ハッカーに約70億円支払い

デリバティブ取引所Mango Marketsで価格操作を行い資産を抜き出したハッカーは16日、自らの行為は「有益な取引戦略」で、合法なものだったと述べた。

同ハッカーはソラナ(SOL)基盤の人気取引所Mango Marketsから12日、170億円相当の暗号資産(仮想通貨)の不正流出を引き起こした。翌日、ハッキングを行った人物としてアブラハム・アイゼンバーグ氏が特定された。

Mangoのコミュニティは15日、約100億円(6,700万ドル)を返還する代わりに、残りの約70億円(4,700万ドル)を報奨金としてアイゼンバーグ氏の手元に残すことを投票で承認した。

オンチェーンデータによると、投票開始後まもなく、アイゼンバーグ氏は約1.2億円(約800万ドル)相当のトークンを返済。その後、残りの資金も、ソラナとイーサリアム(ETH)のネットワークを介してMango Marketsに返却したことが確認されている

ハッカーの主張

不正流出が発生した際、アブラハム氏は約15億円(1,000万ドル)の資金を用意して、価格オラクルを操作。Mangoトークンの価格を約45円(0.30ドル)から約135円(0.91ドル)へと3倍に膨らませることにより、アイゼンバーグ氏が保有する担保の価格を上昇させ、プロトコルから通常より多くの資金を借りた。

一方で、この操作が原因となり、Mango Marketsは債務超過に陥った。プロトコルが不正な債権を返済できず、他のユーザーのポジションが清算される危機に直面した。

オラクルとは

ブロックチェーン外のデータを、スマートコントラクトなどブロックチェーン上に取り込む役割を果たすサービスの総称。

▶️仮想通貨用語集

ハッキングを行ったアイゼンバーグ氏は、「先週私は、非常に収益性の高い取引戦略を運用するチームに参加していた」として価格操作により資金を引き出したことを認めた。その上で、次のように述べている。

たとえMangoの開発チームが、今回の結果を完全に予想していなかったとしても、我々の行動はすべてプロトコルを設計通りに使用しており、公開市場における合法的な行為だったと思う。

残念ながら、この取引が行われたMango Marketsでは、保険金がすべての清算額をカバーするには不十分であったために、債務超過に陥ってしまった。このため、他のユーザーは自身の資金にアクセスすることができなくなった。

また、すべてのユーザーが出来る限り早く自分の資産にアクセスできるようにすることや、Mango Marketsの資本を増強することを目的として、Mango側と和解交渉を行ったと続けた。

アイゼンバーグ氏は、価格操作の結果得られた資金の一部を返還することについて、「バイナンスなど中央集権型取引所における自動デレバレッジの仕組みと似たものだ」と主張している。「利益を上げているトレーダーから利益の一部を取り戻すことで他のユーザーを保護する措置」と説明する格好だ。

大手仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは、今回の不正操作を分析し、Mango Marketsには主に以下の脆弱性があったとしていた。

  • Mango Marketsの永久先物市場がオラクルが提供する価格フィードの生データを参照していたこと
  • 流動性の低いトークンを、無条件で資産借り入れの担保として認めていたこと
  • 巨大なポジションを抱えるユーザーポジションのリスクを放置したこと

関連160億円相当が不正流出のMango Markets、浮き彫りとなった3つの脆弱性

事後対応に疑問符

一方で今回、アイゼンバーグ氏が手元に保持する金額については仮想通貨コミュニティから疑問の声も浮上。その反面、ハッキングが起きた際には、刑事責任を追及しないことや報奨金と引き換えに、ハッカーが不正に得た資金の一部を維持することを認める事例が業界全体で増えている傾向がある。

関連DeFiプラットフォームTransit Swapのハッキング犯 流出額の7割以上を返還

ハッカーの取り分としては不正に得た資金の10%程度であることが多いが、アイゼンバーグ氏は今回のハッキングで得た資金の40%以上を手元に保持することになる。

なお同氏は今年2月にも、自身が関わっていたFortress DAOにおいても不正な価格操作を行って約21億円(1,400万ドル)を詐取したと非難されている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/02 木曜日
06:02
米政府閉鎖で仮想通貨ETF承認手続きが停滞、再開時期は不透明=報道
米国政府が予算案の合意に至らず閉鎖に入り、SECによる数十種類の仮想通貨ETF承認プロセスが停止している。政府再開の見通しは立っていないようだ。
05:40
プライバシー銘柄「Zcash」、一週間で約2倍急騰 その背景は
プライバシー銘柄の仮想通貨Zcashが10月1日に急騰し、120ドルを超えて3年ぶりの高値を記録した。著名投資家らがビットコインに対する保険としての役割を強調している。
10/01 水曜日
18:59
リミックスポイント、SBIグループ2社と連携強化
リミックスポイントがSBI VCトレードとビットポイントジャパンと包括連携。約1,350BTCを保有する同社のビットコイン取引・保管・運用を一元的にサポートする体制を構築。
18:02
メタプラネット、ビットコイン購入で新資金調達戦略を発表
メタプラネットが新成長戦略「PHASE II」を発表。永久型優先株による資金調達でビットコイン保有を加速し、Bitcoin.jpを軸にプラットフォーム事業も拡充する。
17:53
J-CAM、イオレと暗号資産金融事業で提携 暗号資産の知見とAI技術の融合へ
暗号資産レンディングサービス「BitLending」を運営するJ-CAMが、東証グロース上場のイオレと暗号資産金融事業で戦略的提携を発表。暗号資産の運用知見とAI技術を組み合わせた新プロダクト開発へ。
17:30
メタプラネット、通期予想を上方修正
メタプラネットは2025年12月期通期予想を上方修正。営業益は88%増の470億円に達し、ビットコイン・インカム事業が収益を牽引した。
15:04
大和証券、暗号資産担保ローンの紹介を開始
大和証券は全国の本支店で、Fintertechの暗号資産担保ローン紹介を開始。ビットコインやイーサリアムを担保に円資金を調達可能に。
14:24
自称「IQ276」の投資家、ビットコイン100倍を予測し全財産転換へ
自称世界最高のIQ記録「276」を保持するキム・ヨンフン氏が、ビットコインは10年で100倍に上昇すると予測し、自身の全資産を投入したと発表した。同氏の経歴とその主張の実現可能性を検証する。
13:28
米SEC、株式トークン化規制実現で協議中 証券取引所グループから懸念の中=報道
米証券取引委員会が株式をブロックチェーン上で取引可能にする規制変更を協議中と伝えられる。ナスダックがトークン化証券を申請する一方、証券業界は監督強化を要請している。
11:40
リップル社のデビッド・シュワルツ最高技術責任者が年末退任へ
リップル社のデビッド・シュワルツCTOが2025年末に退任することを発表した。仮想通貨XRP台帳のコーディングに貢献した同氏は、取締役として引き続き関与していく。
11:20
SBI Ripple Asia、東武トップツアーズとの提携を発表
SBI Ripple Asiaは、新たな決済プラットフォームの構築に向け、東武トップツアーズと基本合意書を締結。独自トークンの発行に仮想通貨XRPのブロックチェーンXRPLを使う。
11:17
bitFlyer、後藤真希さん起用の新TV CMを全国放映開始
暗号資産取引所大手のbitFlyerが、歌手・タレントの後藤真希さんを起用した新CM「暗号資産知らなかった篇」を10月1日から全国で放映開始。記念キャンペーンも実施中。
11:10
「テザー社は過去最大の利益企業になる可能性」Bitwise幹部
Bitwiseの最高投資責任者は、テザー社が過去最大の利益企業になる可能性があると試算。定期公開するメモで今回は仮想通貨が目指す市場規模の大きさについて論じている。
09/30 火曜日
19:30
ビットコインで利回りを狙う|Lombard(ロンバード)・LBTCの始め方
Lombardを通じてビットコインを利回り資産として活用する方法を解説。LBTCの仕組みや始め方に加え、注意点やリスクも整理しました。
19:11
USDHがハイパーリキッドの成長を加速させる理由
USDHはなぜハイパーリキッドを強化するのか?仕組みから収益循環、HYPEへの影響までわかりやすく解説します。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧