シンガポール中銀、ステーブルコインの規制枠組み発表
ステーブルコインに課せられる要件を発表
シンガポールの中央銀行にあたるシンガポール金融管理局(MAS)は15日、ステーブルコインの最終的な規制枠組みを発表した。
今回の枠組みは、シンガポールで発行される、シンガポールドルあるいはG10通貨の価値と紐づけられた、単一通貨ステーブルコインに適用されるものだ。
G10通貨とは
国際的な金融市場でのトレードや為替取引、国際取引の決済などに最も使用されている通貨のこと。米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、英国ポンド(GBP)、日本円(JPY)、豪ドル(AUD)、ニュージーランドドル(NZD)、カナダドル(CAD)、スイスフラン(CHF)、ノルウェークローネ(NOK)、スウェーデンクローナ(SEK)が挙げられる。
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MASは、規制対象となるステーブルコインは次のような要件を満たす必要があるとしている。
- 価値の安定性:裏付け資産には、構成・保管・監査などに関する必要事項が課せられる
- 資本:発行者は、破産のリスクを軽減し、必要に応じて事業を適切に縮小できるように、最低限の資本金と流動資産を維持する必要がある
- 額面での償還:発行者は、償還要求があってから5営業日以内に、ステーブルコインの額面通りの価値を保有者に返さなければいけない
- 開示:発行者は、価値安定化メカニズムや保有者の権利、監査結果などの情報を開示する必要がある
こうした枠組みに従うステーブルコインのみが、「シンガポール金融管理局(MAS)が規制するステーブルコイン」だと名乗れるようMASに申請できる格好だ。
そうすることで、ユーザーの方でも、MASが規制するステーブルコインを、他のステーブルコインから区別することが可能となる。MASは、ユーザーが規制対象外のステーブルコインを使用する場合は、そのトークンのリスクについて十分に知った上で判断する必要があると述べた。
また、トークンを「MAS規制のステーブルコイン」であると偽る者は、罰則の対象となり、MASの発行する投資家への警告リストに掲載される可能性がある。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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米国とEUの状況
ステーブルコインの規制枠組みは、各国で検討されているところだ。米国議会でもステーブルコイン法案の審議が始まっているが、共和党と民主党の間で意見が対立し、成立の見通しが不透明になっている。
民主党は、連邦準備制度理事会(FRB)に徹底した監督権限を与えるべきとする一方で、共和党は州レベルの規制当局にある程度権限を付与するべきだと主張している格好だ。
決済大手PayPalが米ドル建てステーブルコイン「PYUSD」をローンチしたことを受けて、両陣営は改めてステーブルコイン規制の必要性を強調している。
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また、EUは6月、暗号資産(仮想通貨)に関する包括的な規制案「MiCA」を正式承認した。ステーブルコインに関する内容は2024年7月に発効する予定である。
顧客資金を裏付けるための十分な現金の保有、リスクや価格安定化メカニズムなどの開示、流動性確保、監査を実施すること、トークン保有者への償還を保証することなどを規定する内容だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します