Hut8がHODL戦略継続 9月にビットコイン売却せず
9月業績報告 HODL戦略を維持
米ナスダック上場の暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Hut8は10日、9月のビットコイン(BTC)マイニング業績を発表した。111 ビットコインを採掘し、1日あたりの平均生産速度は約3.7ビットコインになったとしている。
また、9月にはビットコインを売却していないと述べた。9月30日時点のビットコイン保有高の合計は約381億円相当となる9,366 BTC で、そのうち7,269 BTCは担保になっていないものだと説明している。
Hut8は、ビットコイン半減期により、ビットコインの希少性が維持される可能性を念頭に置いて「HODL(手元に保有しておく)戦略」を続けているところだ。
2023年第2四半期(4~6月)の決算報告によると、同期の売上高(BTC採掘量)は約21億円(1,920万カナダドル)で前年比約27億円(2,460万カナダドル)減少していた。減少の背景としては、採掘難易度上昇や、電力供給の問題などでビットコイン採掘量が減ったこともある。
半減期とは
ビットコインなど仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。仮想通貨にはインフレを防ぐために「発行上限」が定められているものが多く、一定周期で訪れる半減期の度に、新規発行量が半分に減る仕組みになっている。供給量が減ることで希少価値が大幅に上昇し、価格が高騰しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントでもある。
▶️仮想通貨用語集
採掘量が減少する中でも、Hut8はHODL戦略を続けている形だ。米大手仮想通貨取引所コインベースの子会社Coinbase Creditと約74億円(5,000万ドル)の信用枠を締結していることも、この戦略を支えている。
この信用枠は、定期融資の形でHut8に提供されている。Hut8のジェイミー・レバートンCEOは信用枠により、財務上の柔軟性が高まり、ビットコイン半減期に入っても、柔軟にビットコインの財務管理戦略を維持できると述べていた。
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USBTCと合併、事業多角化へ
Hut8は、9月中にカナダの最高裁判所から、米マイニング企業US Bitcoin Corp(以下、USBTC)との合併について最終承認を得たことについても改めて言及した。
Hut8とUSBTCは全株式の対等合併により、「Hut8 Corp」と言う名称に変わり米国に拠点を置く予定だ。新会社の時価総額は約1,470億円(9億9,000万ドル)と見積もられている。
Hut8のレバートンCEOは次のようにコメントした。
株主投票の結果や、カナダのブリティッシュコロンビア州が合併計画を承認したことにより、当社は引き続き新たなHut8に向けて前進できる。
Hut8はハイパフォーマンス・コンピューティング、ホスティング、インフラストラクチャ運用管理など、多様化した法定通貨の収益源により利益を獲得していくことを目指す。
収益源が一つだけのビットコインマイナーであれば、次の半減期に問題に直面すると考えられる。事業多角化は、このような問題に対処するものだ。
USBTCの持つ拡張可能なマイニング施設、大規模なコンピュータ・ホスティング事業などにより、収益源の多様化が期待されているところだ。
Hut8は7月、人工知能(AI)とハイパフォーマンス・コンピューティングへの新たな需要に対応するため、昨年11月以来稼働を停止していたオンタリオ州のマシン約6,400台を、米テキサス州に移している。
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