「ビットコイン現物ETF」SEC初承認の誤報めぐり、暗号資産相場大荒れ模様に
マクロ経済と金融市場
16日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比314ドル(0.93%)高、ナスダック指数は160ポイント(1.2%)高で取引を終えた。
FRB(米連邦準備制度)の追加利上げ懸念が後退したことや米主要企業の決算発表への期待が背景にあるものと見られる。
一方、イスラエル軍とパレスチナ・ガザ地区を実効支配する武装組織ハマスの衝突は深刻さを増しており、市場関係者はイランなどイスラム諸国の介入に神経を尖らせるなど、地政学リスクの高まりは懸念材料だ。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比1.62%高の1BTC=28,366ドル(約424万円)に。
日本時間16日22時過ぎ、米国証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物上場投資信託(ETF)を初承認したとの報道を巡り27,700ドルから急騰。一時30,000ドル(約440万円)を付ける場面があった。
しかし、SECやブラックロック関係者により、フェイクニュース及び誤報であったことが判明するとBTC価格は急落。デリバティブ(金融派生商品)市場では、乱高下に伴い200億円相当のショートポジションと80億円相当のロングポジションがロスカット(強制清算)されるなど、一時的に荒れ模様となった。
承認確率は過去最高に
最大手資産運用会社ブラックロックの申請するビットコイン現物ETFなど、市場期待の高い金融商品の最終承認期日は2024年初頭の1〜3月に迎えることになるが、いずれにせよ、「ビットコイン現物ETFの承認は時間の問題」との見方は有識者間で強まっている。
投資信託型ファンド「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」の現物ビットコインETF転換がSECに非承認とされたことを受け、運用会社のグレースケール・インベストメンツが起こした裁判では、米SEC(証券取引委員会)が劣勢に立たされているからだ。
今月14日には、グレースケールの主張を支持した裁判官の判決について、SEC側は控訴申請を行わないことが判明した。
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SECの判断については、21年11月に承認して証券市場に上場を果たした「ビットコイン先物ETF」と、現在も非承認のつづく「ビットコイン現物ETF」に整合性が取れなくなり始めており、“外堀り”を埋められつつある。
例えば、野村資本市場研究所が今年9月に分析したレポートでは、「ビットコイン先物ETFの審査において、CMEビットコイン先物市場と監視協定を結んでいることを承認根拠としたのであれば、ビットコイン現物ETFの上場先の監視協定の相手としても認められるはず」という算段があったのではないかと解説している。
また「暗号資産(仮想通貨)の大半は有価証券に該当する可能性が高い」との姿勢を鮮明にする米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長について、米議会の公聴会で、金融イノベーションの観点から米国における資本市場の足を引っ張っているとして厳しい質問攻めに遭ったことは記憶に新しい。
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23年6月にはSECの再編とゲンスラー委員長の解任を目的とした法案が提出されるなど、ここ最近のSECの執行措置は越権行為および過剰規制に該当するとして反発する議員からの圧力も強まりつつある。
SECの委員長の任期は通常5年間であり、21年4月に就任したゲンスラー委員長は2026年春で任期満了を迎える見込みだが、2024年11月5日には大統領選を控えており、次期大統領の政策転換や民主党と共和党の政権交代などが発生した場合、米国およびSECのスタンスにも少なからず影響を及ぼす可能性は十分考えられる。
また、これまでの経緯からしても、仮に今回ビットコインETF(上場投資信託)が非承認だったとしても、ブラックロックらは非承認理由を踏まえて組成し直したものをすぐに再申請することになるだろう。
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Meituは撤退か
画像加工アプリなどを提供する中国のテクノロジー大手Meitu(美図)が、AI(人工知能)関連事業に主軸を移すため、保有する暗号資産(仮想通貨)の売却を検討していることがわかった。中国広東省の大手新聞、星島綱(Xingdao Daily)が報じた。
香港証券市場に上場するMeituは2021年、事業戦略の一環で1億ドル(150億円)相当を投じ、765BTCと31,000ETHを購入した。
しかし、2022年以降の暗号資産相場暴落に伴い、投資した資産の取得価値を大幅に毀損したことから、会計上の減損処理を余儀なくされた経緯がある。
一方、直近の決算発表では赤字から黒字転換を果たした。収益増にはMeitu Design Studioなどの購読者増などサブスクリプションモデルが寄与したという。
「現時点では暗号資産の具体的な売却計画は未定」としながらも撤退を示唆した格好であり、市場で売却される場合は一定の売り圧力となり得るか。
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