イーサリアム共同創設者ブテリン氏、Dencun後の改善点を語る

イーサリアムの今後の改善点

暗号資産(仮想通貨) イーサリアム(ETH)の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は28日、新たなブログ記事にて、Dencunアップグレード後のイーサリアムについて技術的な提案を行った。

イーサリアムでは13日に大型アップグレード「Dencun」が完了し、EIP-4844(プロトダンクシャーディング)が実装された。

イーサリアムのブロックに添付する一時的なデータパケット「BLOB(ブロブ)」の導入により、レイヤー2のネットワーク手数料(ガス代)が大幅に引き下げられたところだ。

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ブテリン氏は、Dencun後に、スケーリング(規模拡張)に関する根本的な問題は解決したと指摘しつつ、今後は、各ブロブを最適化するロールアップ機能の改善などの作業がまだ必要だと述べている。

ロールアップとは

メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリング・ソリューションのこと。

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DASの実現に焦点

ブテリン氏は、まずイーサリアム開発の次の段階では、データ可用性サンプリング(DAS)の実現に焦点が当てられる可能性が高いと述べた。

背景として、ロールアップ中心のロードマップの重要な部分としては、個別のデータ可用性スペースというアイデアがあったとしている。このスペースは、イーサリアムのブロック内の特別なセクションで、ロールアップなどレイヤー2プロジェクトのデータを保持する部分だ。

EVM(イーサリアム仮想マシン)からはアクセスできないため、ブロックとは別に、データ可用性サンプリング(DAS)と呼ばれるテクノロジーを使用して検証できる。

これにより、各ノードは少数の小さなサンプルをランダムにチェックするだけで、データが正しく公開されたことを検証可能だ。ブテリン氏は、これが実装されると、ブロブのスペースが大幅に拡張される可能性があると述べている。

また、まずPeerDASと呼ばれるDASの簡易版が適用される可能性が高いとも続けた。これを使用すると、ブロブ全体ではなくデータの8分の1など部分的にダウンロードできるため、より多くの単独ステーカーがネットワークのセキュリティ保護に参加できるとしている。

ブテリン氏はDASの他に、レイヤー2の重要な改善分野も指摘した。例えば、トランザクションのバイトサイズを減らすためのデータ圧縮技術や、Plasmaによりデータを例外的な状況でのみレイヤー1に投稿することを挙げている。

また、実行関連の制約とセキュリティを継続的に改善していく必要があるとも続けた。

ブテリン氏は最後に、イーサリアムはより完全な独立した「分散型技術スタック」にアップグレードされたとして、次のように述べている。

イーサリアムは「集中型テクノロジー」の大部分を完全に置き換えるものであり、そうしたテクノロジーにはない機能も提供する。私たちは、こうした広範なエコシステムを念頭に置いて開発していく必要がある。

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