はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム共同創設者ブテリン氏、きたる”量子コンピュータ”時代に備えたハードフォークを提案

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

量子コンピュータがもたらすリスク

暗号資産(仮想通貨) イーサリアム(ETH) の共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は9日、近い将来、量子コンピュータがもたらすリスクに対処する方法として、リカバリー(回復用)ハードフォークの実施を提案した。

従来のコンピュータの約1億倍の処理能力を持つと言われる次世代の「量子コンピュータ」は、現在広く利用されているあらゆる暗号技術を容易に解読できる可能性があり、インターネットのセキュリティ基盤に重大な脅威をもたらす可能性があるとの指摘もある。

この点についてブテリン氏は、最新のブログで量子コンピュータの主なリスクに言及。安全だと考えられているデジタル・ウォレットやトランザクションの暗号化が復号化される可能性を指摘した。

「量子コンピュータを使用すると、楕円曲線の乗算が可逆になるため、トランザクションの署名によって公開鍵が明らかになり、さらに秘密鍵の公開も可能になる」と、同氏は説明。ほとんどのユーザーが脆弱性を持つことに繋がり、量子コンピュータを使用することで、ユーザー資金への不正アクセスや窃盗も可能になる。

しかしブテリン氏には対応策としてのアイディアがあり、このような状況を憂慮していないようだ。

実際、我々はこのような状況に対処するため、非常にシンプルなリカバリーフォークを作成するのに良い位置にいる、と私は主張する。

「ほとんどのユーザーの秘密鍵は一連のハッシュ計算の結果である」ことを認識すると、ブロックチェーンをハードフォークし、ユーザーが新たなウォレットソフトをダウンロードすることで、多くの損害を防ぐことが可能だとブテリン氏は主張した。

回復用ハードフォークの手順

量子コンピュータ時代で発生し得る緊急事態から回復するために、ブロックチェーンをハードフォークするEIP(イーサリアム改善提案)として、ブテリン氏は以下の方法を提案した。

  1. 大規模な攻撃の最初のブロック以降のすべてのブロックを巻き戻す
  2. 従来の外部所有アカウント(EOA)基盤のトランザクションを無効にする
  3. スマートコントラクトウォレットからのトランザクションを許可する新たなトランザクションタイプを追加する
  4. STARK証明の提供が可能になる新たなトランザクションタイプ、もしくはオペコード(opcode)を追加する

証明に成功すると、ユーザーのアカウントコードが新しい認証コードに切り替えられ、その時点から、スマートコントラクトウォレットとして使用可能になる。

このようなハードフォークを実装するためのインフラは、原理的には明日にでも構築し始めることができるが、量子コンピュータの緊急事態が実際に発生した場合を見越して、イーサリアムのエコシステムを最大限に備えることにつながる。

ハードフォーク

主にブロックチェーンのアップグレードを意味する言葉として利用される。前後で互換性を保てない仕様上、プロトコルルールに適応するためにすべてのノードが最新バージョンのソフトウェアにアップグレードする必要がある。コミュニティ内で合意形成できずに分岐(フォーク)する場合、仮想通貨も分岐して新たなコインが誕生する。過去には、ビットコインがハードフォークしてビットコインキャッシュが生まれた。

▶️仮想通貨用語集

緊急性のない場合

上記の方法は、量子コンピュータ時代の到来が「突如として」起こった場合を想定したものだとブテリン氏は言う。

量子コンピュータのリスクを防止することが、Winternitz署名やSTARKなどの耐量子暗号学の目標であり、現在様々な取り組みが進んでいる。アカウント抽象化が導入されると、ユーザー自身が、耐量子署名のスキームを使用するように切り替えることが可能になると同氏は説明している。

関連:Starknet(STRK)がコインベースに新規上場、ポリゴンラボとも提携

関連:イーサリアムの投資家はDencunアップグレードの影響を注視すべき=Fidelityレポート

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/18 木曜日
16:50
「社会のジレンマを突破する」日本初のステーブルコイン発行ライセンス取得、JPYC岡部典孝氏が語る|独占インタビュー
JPYC株式会社が日本初の日本円建てステーブルコイン発行ライセンスを金融庁から取得。代表の岡部典孝氏が語る100万円制限の実態、3年後10兆円の発行目標、プログラマブルマネーがもたらす金融革命とは。
13:40
ウォーレン米議員ら、トランプ政権の仮想通貨特命官に対する倫理調査を開始
エリザベス・ウォーレン米上院議員ら8名の民主党議員が、トランプ政権のAI・仮想通貨特別顧問デービッド・サックス氏の特別政府職員としての任期制限超過疑惑について倫理調査を開始した。130日の上限を超過している可能性を指摘し、詳細な勤務日数報告を要求している。
13:35
米SECが承認、BTCやXRP投資のマルチ仮想通貨投資信託のETF転換
米SECがグレースケールのマルチ仮想通貨ETPを承認し、ビットコインやイーサリアムなど5銘柄への一般投資家アクセス投資が可能になった。新たな包括的上場基準も同時に導入されている。
13:02
ポリマーケットでの裁定取引で年間60億円の利益発生か 研究者ら分析
分散型予測市場ポリマーケットでミスプライシングを利用した裁定取引により年間60億円の利益が発生しているとの論文が発表された。研究者による分析を解説する。
12:04
FRB利下げ決定も仮想通貨の市場反応は限定的、BNB前週比9.2%高で1000ドルの大台迫る
FOMCでは米FRBが0.25%利下げを決定したが、暗号資産(仮想通貨)への影響は限定的だった。主要アルトコインでは、BNBが前週比9.2%高の1,000ドル目前に。背景としては、バイナンスの規制環境の進展の兆しとMegadropなどの需要が挙げられる。パウエル議長は年内2回の追加利下げを予想するも慎重姿勢を維持。
11:03
業界の行方を決める「天王山」に臨む──ビットバンク廣末氏が描く未来戦略
ビットバンク廣末紀之CEOが語る、預かり資産1兆円規模への成長と今後の展望。金商法への移行と分離課税実現に向けた2025年後半は業界の「天王山」。
11:00
ビットコイン・トレジャリー企業の勢い減速か、4社に1社が純資産割れで取引=K33報告
K33リサーチなどが報告したところによると、ビットコイン・トレジャリー企業の4分の1が純資産価値を下回る時価総額で取引されており、業界の統合が進む可能性が指摘された。
10:02
ヴィタリック、イーサリアムの開発計画をプレゼン
ヴィタリック・ブテリン氏は、仮想通貨イーサリアムの開発計画についてプレゼンを行った。大阪で開催されているイーサリアムのカンファレンスEDCONに登壇した。
09:40
フォワード・インダストリーズ、最大5900億円規模の資金調達でソラナ戦略を推進
米上場企業フォワード・インダストリーズが最大40億ドル規模のATM増資で仮想通貨ソラナトレジャリー戦略を推進する。DeFi Development Corpもソラナ買い増しを発表した。
08:45
トランプ・ジュニア出資のサムザップ、750万ドージコインを初購入
米ナスダック上場のサムザップメディアが750万ドージコインを200万ドルで公開市場から初回取得したと発表した。
07:20
米SEC、仮想通貨ETF上場手続きを大幅簡素化へ
米証券取引委員会が、ナスダック、Cboe BZX、NYSEアルカの3大取引所による包括的上場基準を承認。今後、仮想通貨を含むコモディティベース株式の上場プロセスが大幅に簡素化される見通しである。
07:10
SBI新生銀行、トークン化預金「DCJPY」の導入を検討へ
SBI新生銀行は、円建てトークン化預金DCJPYの導入を検討すると発表。JPモルガンらが参加するプラットフォームを活用し、トークン化預金での多様な外貨の取り扱いも検討する。
06:50
仮想通貨取引所Bullish、NY州からビットライセンス取得 米国展開へ
機関投資家向け仮想通貨取引所ブリッシュが17日にニューヨーク州金融サービス局からビットライセンスと送金業ライセンスを取得したと発表した。
06:25
マネーグラム、ステーブルコイン送金サービス開始 
国際送金大手のマネーグラムが9月17日にクロスミントと提携しステーブルコインを活用した新たな送金サービスを南米コロンビアで開始すると発表した。
06:02
カルシ、予測市場エコシステムハブ開始 ソラナとベースと提携
予測市場プラットフォーム大手Kalshiが17日、ソラナとベースとの提携によるエコシステム支援ネットワーク「カルシエコ」の開始を発表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧