はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨とAI(人工知能)の有益な交差点とは? ブテリン氏が4つの事例を解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨とAIのつながり

イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は30日、ブログで暗号資産(仮想通貨)と人工知能(AI)が交差する領域として4つの可能性を分析し、そのユースケースとリスクについて解説した。

ブテリン氏は、まず「表面的な雰囲気レベル」における仮想通貨とAIの相乗効果として、以下の点を挙げた。

  • 仮想通貨の分散化がAIの中央集権化とのバランスを取る
  • 仮想通貨が不透明なAIに透明性性をもたらす
  • AIはデータを必要としているが、ブロックチェーンはデータの保存と追跡に適している

一方、さらに深く掘り下げたレベルでの相乗効果について、同氏はこれまで「それほど多くない」と回答してきたが、この3年間でAIと仮想通貨が、それぞれより強力になったことから変化の兆しが見えると指摘した。

しかし、AIがどのように応用されるかについては、注意することが重要だとブテリン氏は警告する。

特に難しいのは、暗号技術ではオープンソースが真に安全なものを作る唯一の方法だが、AIではモデル(あるいはその学習データでさえ)をオープンにすることによって、敵対的な機械学習攻撃に対する脆弱性が大幅に増加することだ。

AIの特性と懸念

ブテリン氏は、AIに対する捉え方を以下のように表現した。

AIとは、アルゴリズムを明示的に指定するのではなく、大きな計算スープをかき混ぜて、ある種の最適化圧力をかけることで、自分が望む特性を持つアルゴリズムを生成するように仕向けるものだと考えることができる

同氏は、AIのアルゴリズムには、「非常に強力なことを行う能力」という共通する性質があると指摘。しかし同時に、その内部で何が起こっているのか知る・理解することに限界があるとして、強い懸念を表明している。

ゲームに例えた4つの分類

ブテリン氏は、AI とブロックチェーンの交差する領域を「ゲーム」に例えて、 4つのカテゴリーに分類した。

  • ゲームプレイヤーとしてのAI (最も実行可能性が高い)
  • ゲームのインターフェースとしてのAI(可能性は高いがリスクを伴う)
  • ゲームのルールとしてのAI(非常に慎重に検討する必要がある)
  • ゲームの目的としてのAI(長期的だが興味を掻き立てる)

ブテリン氏は、最初のカテゴリーである「ゲームプレイヤー」=ブロックチェーンの仕組みへの参加者としてのAIについて、オンチェーンの分散型取引所(DEX)で裁定取引に適用するというユースケースを示した。この概念は、新しいものではなく、すでに10年近くにわたって、裁定取引ボットによって実行されているため、最も実行可能性が高い。

このようなAIボットは、アービトラージにおいて人間の能力を大幅に上回っており、予測市場など他のユースケースに拡大すると同氏は予想している。

一般的に、基礎となるメカニズムは以前とほぼ同じように設計され続けるが、個々のプレーヤーがAIとなり、メカニズムがよりミクロなスケールで効果的に動作するようになるユースケースが、直ちに有望であり、最も簡単にうまくやれることだ。

インターフェースとしてのAI

ブテリン氏は、込み入ったオンラインの仮想通貨取引で、ユーザーがより安全にナビゲートできるインターフェースとしてのAIというアイディアを披露した。AIが詐欺を検出したり、複雑なトランザクションを解釈し、予想される結果をユーザーに示すなど、ユーザーの利益を保護するユースケースが考えられる。

その一例として、仮想通貨ウォレットMetamaskの詐欺検出機能を挙げた。

しかし、オープンソース環境では、敵対的な機械学習によって「詐欺の最適化」が起こる可能性もあるため、現時点ではリスクが高すぎると、ブテリン氏は指摘。AIは、ユーザーに「リアルタイムのチュートリアル」を提供し、間違いを防ぐことには有益だが、詐欺や悪意のある誤情報を広める者に対して、直接使用することには慎重になるべきだと述べた。

関連:MetaMask、ユーザーの「意図」を反映するルーティング技術をテスト

ルールとしてのAI

ルールとしてのAIに関してブテリン氏は、「最も危険で、最も慎重に取り組む必要がある」と主張した。

例えば、分散型自立組織(DAO)が主観的な意思決定を行う必要がある場合に、AIを使用するというケースが考えられる。しかし、AIモデルがオープンでない場合、内部の動作を検証できず、中央集権的なアプリと同様になる恐れがある。また、オープンである場合には、攻撃者が、モデルを騙すのに最適化した機械学習をローカルでシミュレートし、ネットワーク上で再現可能となるリスクを、ブテリン氏は指摘した。

最も難しいアプリケーション

ブテリン氏は、ブロックチェーンと暗号技術を使って、「単一の分散型で信頼できるAI(シングルトン)」を作ろうとする試みが最も難しいが、機能性の面や、中央集権化のリスクを回避する形でAIの安全性を向上させるという面で有望だと主張する。

しかし、基礎となる仮定が失敗するケースも多く発生する可能性も考えられることから、高い価値とリスクのある状況においては、慎重に行動するべきだと付け加えた。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
18:00
JPYC株式会社、次世代金融カンファレンスMoneyX 2026の企画・運営として参画決定
JPYC株式会社が、2026年2月27日に東京都内で開催される次世代金融カンファレンス「MoneyX」に共催企業として参画。ステーブルコインやデジタル証券など「通貨の進化と社会実装」をテーマに、産官学のリーダーが議論を行う。
17:48
仮想通貨のインサイダー規制導入、市場成熟へ IEO投資上限も提案|金融審議会
2025年12月10日公表の最新の金融審議会報告書で暗号資産(仮想通貨)が金商法の規制対象になることが明記された。IEO投資上限のほか、コード監査義務化、インサイダー取引規制など投資家保護を抜本強化する。交換業者への影響と今後の展望を詳解
17:11
シルクロード関連ウォレット、10年ぶりに突如活動 4.7億円相当のビットコイン送金
10年以上休眠していたシルクロード関連の仮想通貨ウォレット約312個が突如活動を再開し、約4.7億円相当のビットコインを送金。今年は5月にも大規模な移動が確認されている。米政府は押収資産を戦略準備金として保有する方針を示すも、売却疑惑も浮上。
14:59
SEC委員長、2026年に仮想通貨規制の大幅進展を予告 トークン分類制度など導入加速
SEC委員長が2026年の仮想通貨規制大幅進展を予告。トークン分類制度で3カテゴリーを非証券化、1月にイノベーション免除導入へ。前政権の法執行重視から明確なルール制定へ転換。
14:10
著名投資家レイ・ダリオ「中東は資本家のシリコンバレー」:国家によるAI・デジタル資産戦略を絶賛
著名投資家レイ・ダリオ氏がAIのハブとして急速に成長する中東を高く評価し、「資本家のためのシリコンバレーになりつつある」と述べた。一方、マイケル・セイラー氏は中東がビットコイン担保型デジタル銀行システムによって「21世紀のスイス」になる可能性を指摘した。
11:05
「ビットコイン・アフターダークETF」申請 夜間取引時間の高パフォーマンスに着目
ニコラス・ウェルスが米国夜間取引時間のみ仮想通貨ビットコインを保有する新たなETFを申請した。夜間の高リターン傾向に注目したものだ。ヘッジ型ETFも同時申請した。
09:50
プライバシー重視のステーブルコイン「USDCx」、Aleoのテストネットでローンチ
仮想通貨のステーブルコインUSDCを発行するサークルは、プライバシー機能を持つL1ブロックチェーンAleoのテストネットでUSDCxがローンチされたことを発表。ユースケースなどを説明した。
09:48
仮想通貨市場は政策待ち姿勢 ビットコインとイーサリアムに資金集中=Wintermute分析
Wintermuteの最新市場分析によると、仮想通貨市場は米FRBや日銀の政策決定を前に様子見姿勢を強めている。資金はビットコインとイーサリアムに集中し、レバレッジ水平は低位。先週金曜の急落後も市場は底堅さを保ち、質への選別が進む。レンジ相場継続の見通し。
09:05
プライバシー重視ブロックチェーン「Octra」、30億円規模のICO実施へ
完全準同型暗号技術を採用する仮想通貨プロジェクト「Octra」が2000万ドル規模のトークンセールを実施する。これまでも分散化重視で資金調達を行ってきた。
08:40
コインチェック、NACの新規取扱いを検討 NOT A HOTELとRWA領域で協業強化へ
コインチェックがNOT A HOTEL DAOの暗号資産NACの取扱い検討とRWA領域の協業強化を発表。NACの活用や共同サービスの開発方針について解説します。
08:20
「仮想通貨市場は次の10年間で最大20倍成長する可能性」Bitwise幹部
Bitwiseの最高投資責任者は、仮想通貨市場は次の10年間で10倍から20倍まで容易に成長する可能性があるとの見方を示した。ビットコインなどを例に挙げ、根拠を説明している。
06:00
仮想通貨トランプ(TRUMP)は「どこで買える?」買い方を初心者向けに解説
ソラナで発行されたトランプ大統領公式ミームコイン『TRUMP』について初心者向けに詳しく解説。Phantomウォレットやソラナ系DEXでの買い方、投資リスク、今後の見通しまで説明しています。
12/09 火曜日
17:40
リミックスポイント、エネルギー事業の中期経営計画を発表 3年で営業利益3.7倍目指す
リミックスポイントが2027-2029年度の中期経営計画を発表。エネルギー・蓄電事業で売上高692億円、営業利益91億円を目指す。日本蓄電池と提携し系統用蓄電所7カ所を共同運営。同社は242億円超の仮想通貨も保有し、多角的な事業展開を推進。
15:52
補正予算の国会質疑で仮想通貨税制が議題に 国民民主党が質問、高市首相は「与党税調で検討中」と答弁
補正予算の国会質疑で暗号資産(仮想通貨)税制が議題に。国民民主党は雑所得として最高税率55%が適用される現行制度を見直し、分離課税化を要求。高市首相は税制改正大綱に基づき与党税調で検討を進めていると答弁した。
13:35
米XRP現物ETF、全期間で純流入を記録 約1459億円に到達
米XRP現物ETFが上場以来全期間で純流入を記録し、約1,459億円に到達。仮想通貨ETF史上2番目の速さで8億ドルを突破し、機関投資家の継続的な買いが続いている
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧