仮想通貨ウォレット「メタマスク」、ボット対策の取引機能を提供開始

フロントランニング防止と手数料削減

米Web3ソフトウェア企業Consensys(コンセンシス)は6日、 暗号資産(仮想通貨)ウォレットのMetaMask(メタマスク)で、同社が開発した新技術「スマート・トランザクション」が利用可能になったと発表した。

トランザクションの失敗にはコストがかかり、ストレスになります。私たちはWeb3をできるだけストレスのないものにしたいと考えています。スマート・トランザクションを紹介します: 有害なMEVからユーザーを守り、コストのかかるオンチェーンでの失敗を大幅に削減する新機能です。

スマート・トランザクションは、すべてのメタマスクユーザーにオプション機能として提供される。スマート・トランザクションを利用すると、トランザクションはチェーン上で承認されるまで、非公開となり、ボットによるフロントランニングを防止することができる。

また、すべてのスマート・トランザクションが事前にシミュレーションされるため、トランザクションの成功率が向上し、ガス代(手数料)の削減につながる。

さらに、トランザクションの状況は開始から終了まで、リアルタイムで直接メタマスクウォレットに表示される。

なお、スマート・トランザクション機能は無料で利用可能となっている。

関連:仮想通貨ウォレット「メタマスク」の使い方、送金、セキュリティ対策を徹底解説

スマート・トランザクションの機能

スマート・トランザクションが提供する機能は以下の通り:

  • 最も高いトランザクション成功率:ベータテストで、業界基準を大幅に上回る99.5%を達成
  • 手数料の削減と予期せぬ費用発生の回避:ガス代をより適切に予測、フロントランニングを防止、トランザクションの失敗を排除
  • トランザクションの可視化による安心感:ウォレットのダッシュボードで、トランザクションの状況をリアルタイムに把握可能

コンセンシスの先端研究部門SMGを率いるジェイソン・リネハン氏は、スマート・トランザクションを使用することにより、顧客体験が大幅に向上すると見ている。

スマート・トランザクションを使用することで、ユーザーは、署名したトランザクションと、それがブロックチェーン・ネットワークに送信された時の処理を、自動的に適切に管理できるようになる。 ユーザー体験をアップグレードするのにこれ以上の方法はない。

MEVから保護

リネハン氏は、「取引の取り消し、取引の滞留、そして明らかに略奪的なMEVのフロントランニングやサンドイッチ攻撃などによって、毎年4億ドルが無駄になっている」と指摘する。

スマート・トランザクションは、ユーザーがMEV攻撃による影響を回避できるように設計されている。

MEV(Miner Extractable Value:最大抽出可能価値)とは、ブロックチェーン上で取引の順序を操作することで得られる収益で、フロントランニングやサンドイッチ攻撃が知られている。

フロントランニングは、注文を見た攻撃者が先回りして自身の注文を処理することで、攻撃対象者をより不利なレートで取引させる手段。サンドイッチ攻撃とは、分散型取引所(DEX)における一種のフロントランニング手法で、他のユーザーの注文の前に自身の大規模な買い注文を入れ、売り注文で挟むことで利益を得る。

攻撃者はメムプール(mempool=未確認トランザクションのプール)でトランザクションが保留されている状態を利用するが、スマート・トランザクションは、コンセンシスのSMGが新たに開発したメムプール仮想化テクノロジーを利用し、仮想メムプールを設けることでMEVの被害防止に貢献する仕組みとなっている。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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