2018年の仮想通貨業界重要発言まとめ|明るい2019年への鍵となるか

2018年の重要発言まとめ
低迷し続けた2018年の仮想通貨市場だが、この業界を前進させる良いニュースも散見された。2019年仮想通貨・ブロックチェーン業界の鍵となりうる重要発言をピックアップした。

2018年の重要発言まとめ

2018年は仮想通貨業界にとって苦しい一年だったと言えるが、価格が急落し、多くのICOプロジェクトやアルトコインが淘汰されていく中でも、イーサリアムの創設者であるヴィタリック氏やバイナンスのCEOであるCZ氏が言う通り、開発に専念する年となった。

振り返ってみると、ビットコインは2017年末の200万円台の最高値から2018年全体を通して長期的な下落を続けた。社会問題ともなった仮想通貨取引所コインチェックにおける仮想通貨ネム流出事件が発覚した1月下旬以降、ビットコイン価格は100万台への復帰に苦しんだ。

そして4月や7月には市場回復の兆しやトレンド転換に関する憶測が飛び交ったが、結果的には米SECのICO有価証券問題や6月に相次いだハッキングから顕著になった仮想通貨取引所の脆弱性などの不安材料が尾を引く形となってしまった。

その後、9月初頭に仮想通貨市場全体が急落した後は、ビットコインとしては珍しい低ボラティリティの期間が続いていたが、11月初旬時点で時価総額4位だったビットコインキャッシュのハードフォークが引き金となり再びボラティリティが高まった。

始めは新通貨の付与が期待視されていたが、ビットコインABC派とビットコインSV派の内部争いが激化して11月15日に決行されたハードフォークが不安材料となり仮想通貨市場全体が手痛い下落相場となった。重要ラインとしてキープされ続けてきた6000ドルのラインを割ったビットコインはその後一気に5000ドル、4000ドルのラインも切っていってしまった。

上記の通り苦しみが続いた仮想通貨市場だが、価格下落の中でも、NYSEを運営するインターコンチネンタル取引所がBakktの発足、ナスダックがビットコイン先物取引の開始、Van Eck社によるビットコインETFの申請やカストディ・サービスの企業がスタートを切るなど、苦しい状況でも業界全体を見渡すと確かな進歩の痕跡が見られている

そんな仮想通貨市場を、CoinPost編集部が厳選した重要発言を見ながら振り返る。

クリプト・ママ:Hester Peirce氏

「私がママになるとしたら、過保護な母親ではなく、過度に干渉しない母親になりたい」

この発言は、SEC(米国証券取引委員会)コミッショナーの1人で仮想通貨のママとも称されるHester Peirce氏が、Fintech Unbound Conferenceに登壇し、仮想通貨業界に対するSECの対応について言及した際のものだ。

同氏は、アメリカ証券取引委員会を過保護な母親に見立て、SECが仮想通貨業界を過度に規制していると指摘した。

2018年7月下旬、ビットコインETFの1つである「Winklevoss」がSECにより否決されたが、そのことに関しても同氏は、「SECの判断は、”本来の役割”の範疇を越えていると思う」と同委員会のウェブサイトで、この判決に公式的に不賛成であることを意思表明している。

アメリカSECのコミッショナーの1人で、仮想通貨界隈から「クリプト・ママ」と呼ばれるHester Peirce氏が米国のカンファレンスに登壇。新技術の過度な規制でイノベーションを妨げるべきではないと呼びかけた。
SECコミッショナーのHester M. Pierce氏は、公式サイトでビットコインのWinklevoss ETFの否決判断に疑問を呈し、SECの役割の範疇を越えていると指摘。このことで”Crypto Mom”と愛称が付き、フォロワー数も急増している。

SEC委員長:Jay Clayton氏

「ビットコインは有価証券ではない」

SECの委員長であるJay Clayton氏は、6月6日に行われたCNBCのインタビューにて、「仮想通貨とは、ドル、ユーロや円のような法定通貨に取って代わる『ビットコイン』の類。つまり、有価証券ではない」と言及し、本質的に通貨としてトランザクションに用いられる、ビットコインのような仮想通貨は、SECの元では有価証券としての規制対象ではない、と明確な姿勢を示した。

またClayton氏はICOについて、「有価証券でないICOをまだ見たことがない」とし、ICOのコインはSECが取り締まっている他の有価証券同様、セカンダリーマーケットで取引されるため、ICOの大多数がSECに登録するべきであると陳述した。

SEC委員長を務める同氏が、ビットコインのような仮想通貨が有価証券ではないと明言したことは、仮想通貨業界にとって非常に大きなニュースであった。

最近では、米国会下院議員Warren Davison氏とDarren Soto氏が『トークン分類法 2018』という米国初仮想通貨を法的に定義する法案を正式に提出しており、仮想通貨を有価証券から分離させる動きも出ている

本質的に通貨として用いられる通貨は有価証券に該当せず規制の対象ではないと言及。 また仮想通貨トークンの"ICO"ではなく"IPO"実施に関して言及し、米法律に則った新たな形が生まれる可能性を示唆した。
米SEC長官のClayton氏が国会上院の公聴会にて、ブロックチェーン技術・仮想通貨・ICOの現状と将来性について発言し、特にDLT投資の将来性を楽観視している。

VanEck社のGabor Gurbacs氏

「VanEckのMVISインデックスとナスダックが提携」

VanEckのMVISインデックスとナスダックがインデックス技術で提携し、仮想通貨市場に向けて、ビットコイン先物取引などのデジタル・アセット商品を提供する予定だ。

11月下旬にニューヨークで開催されたカンファレンス「コンセンサス」で、VanEck社のデジタル・アセット戦略部のディレクターGabor Gurbacs氏がナスダックとパートナーシップを結び、透明性の高く、規制と関しに準じたインデックスを推進し、ビットコイン先物のような商品を提供する予定だと発表した。

ベンチャー株式市場では世界最大規模を誇るナスダックが、ビットコイン先物取引市場に参入予定との一報で、機関投資家の本格的参入を期待した人々も多かったことだろう。

ナスダックCEO:仮想通貨取引所として仮想通貨業界に参入することを検討するだろう

時価総額が約960兆円と世界で2番目の規模を誇る証券取引所ナスダックは、この一年間、仮想通貨業界に高い関心を示していた。ナスダックのCEOであるAdena Friedman氏は、2018年4月下旬にCNBCの番組Squawk Boxにて以下のように発言した。

時間とともに、規制の整備が進み、私達から見ても、市場の人々から見ても、投資家達に公平な体験の提供が必要であると感じたら、私達ナスダックは仮想通貨取引所として仮想通貨業界に参入することを検討するでしょう。

ナスダックの2017年の終わりから現在にかけての動きは、以下の通りとなっている。

  • 2017年12月 仮想通貨先物取引、開始予定の発表
  • 2018年4月 仮想通貨取引所としての参入も検討
  • 2018年4月 仮想通貨取引所に技術提供を検討
  • 2018年9月 価格予想ツール開発
ナスダックのCEOを務めるAdena Friedman氏は、どの程度の時間がかかるかは不明ながら、仮想通貨の将来は確約されていると主張し、市場が充分に成熟したら仮想通貨取引所としての参入も検討すると語りました。
米有力誌ブルームバーグが、情報筋によると、世界2位の証券取引所ナスダックは来年の第1四半期にビットコイン先物の取引開始を検討していると報道した。また、最重要ビットコインETF企業とも提携し、仮想通貨インデックスの提携を行うことが明らかになった。

ビットコイン財団設立者:Jon Matonis氏

「大手金融機関の仮想通貨市場への参入は、ビットコイン価格を上昇させる」

金融経済学者で、ビットコイン財団の共同創設者であるJon Matonis氏はBussiness Insiderに対して、以下のように述べた。

大手銀行やゴールドマンサックスのような大手金融機関の仮想通貨市場への参入は、ビットコインの流動性を高め、最終的にはビットコイン価格を上昇させることになるだろう。

(大手金融機関の参入は)市場を成熟させ、極端な価格変動を減少させる助けとなるだろう

このMatonis氏の発言は、仮想通貨の課題の一つである流動性の欠如を象徴したものとなっている。

仮想通貨市場で短期的に価格が乱高下するの要因の一つとして、”流動性の欠如”により、大口投資家や機関投資家によって市場操作しやすくなっている点にもあると言える。大手銀行や大手金融機関の参入は、市場流動性を高め、ビットコイン(BTC)などの価格を中長期で上昇させることになると思われます。

日銀副総裁:雨宮 正佳氏

「日銀がデジタル通貨を発行する計画は現段階で無い」

4月16日、都内で開かれた「IMF-金融庁-日本銀行共催 FinTechコンファレンス」にて、中央銀行がデジタル通貨を発行する事は「民間銀行を通じた資金仲介などに大きな影響を及ぼす可能性」があるとの考えを示した他、日銀がデジタル通貨を発行する計画は現段階で無いとしつつも、新しく台頭する支払い決済などを始めとするフィンテックに対して、金融の安定にどう影響を与えるのかなどを含めて「深く理解していく必要がある」と語った。

それ以前にも日銀関係者から、デジタル通貨に関して度々言及されている。

以上のようなことからも、デジタル通貨への関心の高まりが見て取れる。

16日都内で開かれたカンファレンスで日銀雨宮副総裁が「日銀がデジタル通貨を発行する計画は現段階で無い」との考えを示しました。またデジタル通貨を発行した場合について、「一般家庭に中央銀行の口座を開設する事と類似しており、その場合は現行の金融システムを大きく乱す事になる」とも述べました。

衆議院議員:平井卓也氏

「ICOは自治体の資金調達には良いのではないか」

8月20日、東京都千代田区で開催された「JBA Blockchain Meetup Vol.4にて、自民党のIT戦略特命委員会委員長 平井卓也衆議院議員がICOについて触れ、「ICOは、自治体などで行うのは適しているのではないか」との旨を語った。

自民党のIT・フィンテックのキーマンである平井議員の、この意見は注目発言と言えるだろう。

同議員の今後の発言にも注目が集まる。

8月20日、東京都千代田区で開催された「JBA Blockchain Meetup Vol.4」にて、自民党のIT戦略特命委員会委員長 平井卓也衆議院議員がICOについて触れ、「ICOは、自治体などで行うのは適している」という旨の発言をしました。

ツイッター創業者:Jack Dorsey氏

「世界で統一された単一の共通通貨が台頭する。その通貨がビットコインだ。」

2018年3月21日にTwitterのCEO及び、Squareの共同創業者であるJack Dorsey氏は、The Timesに対して以下のように述べた。

最終的には、世界で統一された単一の共通通貨が台頭し、同様にインターネット上でも単一の共通通貨が使用されるでしょう。そして、私は個人的にその通貨がビットコインになるのではないかと考えています。

また同氏は、5月に行われた「コンセンサス2018」においても同様の発言をするなど、仮想通貨に対する将来性に一目置いている様子だ。

注目ニュースの発表 BitmainがCircle社に約120億円の出資: USDと価格が連動する仮想通貨の発表 Circle...
Twitter が、FacebookやGoogleに続き、仮想通貨関連の広告を廃止するのではないかと噂されている中、Twitter のCEOである Dorsey氏はThe Timesに対しビットコインが将来の共通通貨になると予想していることを明らかにしました。これは、ツイッターが仮想通貨の広告を禁止すると噂される最中の出来事で、複数の意味で注目されています。

ビットメインCEO:ジハン・ウー氏

「ICOは金融バブルだ。1〜2年で弾け、ICOはいずれ消えて無くなる。」

中国の最大手マイニング企業のビットメイン社のCEOを務めるジハン・ウー氏は、一貫してICOに懐疑的な立場をとっており、2018年8月20日の海外メディアCOINGEEKのインタビューにおいて、以下のように述べている。

私は、ICOは”金融バブル”であると考えている。

最終的に1〜2年で弾けるだろう。ICOはいずれ消えて無くなるのではないか

また、同年6月にはBloombergのインタビューに対して、「むしろ私たちは、バブルが弾けるのを望んでいる。この市場は過剰評価されており、不条理に評価が高い。よって、このバブルが弾けることは、業界にとって中長期的に見た場合、良い影響を与えると考えている。」と話している。

最大手の中国マイニング企業ビットメインCEOのジハン・ウー氏が、海外メディアのインタビューに応じ、「現在のICOは金融バブルであり、1〜2年で弾ける可能性がある」と指摘、懐疑的な姿勢を露わにした。

米国CFTC委員長:ジャンカルロ氏

「仮想通貨及び先物取引の規制には害のないアプローチを」

9月14日に、CNBCのインタビューにおいて、米国CFTC委員長ジャンカルロ氏が仮想通貨を含む商品先物取引についてコメントを残し、「国民がインターネットのような商品を楽しんでいるのは、規制当局が「害のない」アプローチをとっているためだ」と力説し、米CFTCはそのスタンスを取っているとした。

実際、米国が仮想通貨先物取引を許可した最初の国となっている。

米国CFTCのジャンカルロ委員長が9月14日、CNBCのインタビューにて、仮想通貨を含む商品先物取引について、商品を損ねない形(「害のない」アプローチ)で規制を実施することの重要性を強調した。英国FCAが最近下した先物契約の認可を念頭に置いたものと見られる。
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