- 既存ICO業界は崩壊するのか
- 最大手の中国マイニング企業ビットメインCEOのジハン・ウー氏が、海外メディアのインタビューに応じ、「現在のICOは金融バブルであり、1〜2年で弾ける可能性がある」と指摘、懐疑的な姿勢を露わにした。
既存ICO業界は崩壊するのか
中国の最大手マイニング企業のビットメイン社のCEOを務めるジハン・ウー氏は8月20日、海外メディアCOINGEEKのインタビューに答え、ICO分野に対し批判的な考えを述べ、注目を集めています
私は、ICOは”金融バブル”であると考えている。
最終的に1〜2年で弾けるだろう。ICOはいずれ消えて無くなるのではないか。
Wu氏は、投資家が証券に値するようなトークンを購入しても、(一部を除き)配当や、投票権を得られない上に、投機的な高まりによって売却益でしか利益を得ることのできない現在のICOモデルは、最終的に消滅していくと主張する一方で、既存の株式や債券などの金融資産が最終的にトークン化されたプラットフォームに移行すると考えていることを述べました。
Bitmain社は、マイニングに特化した集積回路(ASIC)の製造において世界最大の企業であり、2016年から2018年第一四半期にかけて、合計約2530億円の利益を叩き出し、2018年には1年で2200億円ほどの利益が見込まれていると予想されている、世界有数の仮想通貨関連企業です。
ビットコインマイニング市場においても、最も大きなシェアを誇るBTC.com(17.2%)、そして、3番目に大きなシェアを誇るAntPool(13.2%)を所有しており、合わせて40%以上のシェアを有しています。
このような、仮想通貨関連企業の中でも、最も大きい企業の一つであるBitmain社CEOのWu氏が、ICOの存続に関して意見を述べたことは非常に注目すべきものであると言えるでしょう。
「企業の格付けサービス」の提供を行うICOレーティングによると、2018年度において、すでに400以上ものICOプロジェクトが行われており、その中で200ものプロジェクトが1,000万円以上の資金調達に成功しています。
しかし、CoinopsyやDeadCoinsなどの失敗に終わった仮想通貨、トークンをリスト化しているウェブサイトでは、失敗した仮想通貨プロジェクトは既に1,000プロジェクトを超え、2017年だけでも、1,100億円相当の失敗、および、詐欺という結果に終わった仮想通貨プロジェクトが存在しているのが現状です。
Binance Labs責任者の見解
今年6月にも、世界最大級の仮想通貨取引所であるBinanceのプロジェクトの一環としてベンチャー支援を行うBinance Labsの責任者を務めるElla Zhang氏もBloombergへのインタビューに応じ、ICOに対して以下のように主張し、バブルが弾けることを示唆しました。
むしろ私たちは、バブルが弾けるのを望んでいる。
この市場は過剰評価されており、不条理に評価が高い。よって、このバブルが弾けることは、業界にとって中長期的に見た場合、良い影響を与えると考えている。
Zhang氏は、ICO業界には、詐欺行為が蔓延していると主張し、本当の意味で良いプロジェクトが台頭してくるのは、バブルが弾けた後になるのではないかと主張しています。
昨今のICO市場の高まりから、短期的に既存のICO形態がなくなることはないと考えられていますが、Wu氏のような厳しい見解もあとを絶たず、今後のICO業界の健全な発展が危惧されています。