仮想通貨バブルの後には何が待ち受けているのか?

現在、非常に多くのICOが行われていて、その結果、仮想通貨が本来強みとするべきであった稀少性が失われている
数多くの仮想通貨の中でも、実用性のある稀少性以外の強みを持つ、価値のある通貨が成功する。
ブロックチェーン技術は仮想通貨だけではなく、他の多くの分野・ビジネスにおいて実用的です
仮想通貨は、長期的に見て淘汰されてしまうものが大半であると考えられますが、その中でも非常に少数の仮想通貨及び、ブロックチェーン技術は将来的に見ても有望です。

Joe Pinder氏(以下、Pinder氏)は、セキュリティー企業であるGemaltoのCTO(最高技術責任者)のオフィスの戦略ディレクターです。

彼の一個人としての意見では、最近の仮想通貨の大流行は異常であるとし、ブロックチェーン技術は現存するどの通貨よりも長期的に見て重要であると主張しています。

もしあなたが投資会議や、業界を長期的に分析する人と話したとしたら、この全体的な仮想通貨市場バブル長く続かないことは明白になるでしょう。

7月には、30ものICOがあり、各々が新しい仮想通貨トークンを発行しました。そして、8月には50以上ものICOがあり、マーケター(商品開発・販売促進を行う人)や投資家はフロイド・メイウェザーからパリス・ヒルトンまで多岐に渡りました。

この熱狂的になっている人の中には、憶測に基づいて行動している人が多く見受けられますが、仮想通貨の価値が稀少性から生み出されるという根本的な前提から逸脱してしまっているのは明らかです。

勝ち残るべき者

端的にいうと、2017年の夏からという短い期間で100以上もの新しいデジタル商品(トークン)が発行されたことを考えると、稀少性という根本的な概念及び、その稀少性から生み出されていた価値は、崩壊し始めていることがわかります。よって、この新しく発行された通貨は、ビットコインやイーサリアムのような主要な仮想通貨の価値を守るために失敗に終わるべきだと思っています。

仮想通貨の中で、時価総額が2番目に大きいイーサリアムは、発行されてから2年ほどが経過したので、ある程度の総量を持ち合わせています。そして、最近のほとんどのICOは、ERC-20というイーサリアム上に発行されるトークンによって行われており、新規の仮想通貨トークンを購入する際にはイーサリアムが使われています。

よって、投資家は、 ICOに参加する際には、まずイーサリアムを購入する必要があるのです。

しかし、あまり知られていない仮想通貨のバブルの崩壊はいずれ起きることであり、その影響は多くの人を貶めるでしょう。一方、その裏側で機能しているブロックチェーン技術は、今後多くの分野のシステムの中で価値を提供し続けるでしょう。

すでに日本では電力事業にブロックチェーン技術が採用され、その実験が行われています。この実験は家庭で残った電力を世帯間でシェアできるようにするなどの目的があります。そのデータはブロックチェーンで管理され、誰でもアクセス可能にすることができます。

2018年初めに福島で大規模なブロックチェーンを使用した実験が行われる エネルギー分野で、ブロックチェーン技術...

しかし、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨のような特殊な通貨や実用性があり本質的な価値のあるトークンは、現在の価格では買う必要はないにせよ、長期的に見たら価値を持ち続けるでしょう。

もし仮想通貨の根本的な価値が、デジタル普遍商品の稀少性以外にあるとしたら、それは実用性のあるサービスにトークンを活用できるところにあります。

先日、発行されたIOTAはモノのインターネット(以下、IoT)に焦点を当てている、数ある仮想通貨の中でも数少ない実用性のあるトークンです。

しかし、IOTAを使用してIoTアプリケーションを開発するのは得策とは言えません。

なぜなら、先日IOTAは、7日間で価格が2倍になったり、1ヶ月で価値が500倍になるなどしていて、コストとしての計算が非常に予想しにくいからです。また技術に問題があったりなど、改善する点があります。

IOTAは長期でみて、非常に魅力的な可能性を秘めた通貨ですが、将来を確約するのは、投機によって引き起こされる変動性を抑えられるかどうかにかかっています。これは、実用性のあるトークンの実質的な価値と取引価格のギャップによって引き起こされていると考えられます。

IOTAについて詳しくはこちら↓

IOTA(アイオタ)は、Tangleという革新的な技術を用いてIoTサービスの安全性を高めることを念頭に設計された仮想通貨。IOTA独自技術の仕組みや、IoTに与える影響などについて解説。

トークンを使用しないブロックチェーン技術

ブロックチェーン技術と仮想通貨を切り離して考えることも非常に重要になってきています。

仮想通貨なしで、ブロックチェーン技術を運用するのは現実的に可能なのです。

Metrognomoでは、データの存在証明を提供することで、商取引を促進するサービスを提供する目的であり、ネットワークでのブロックの承認支払いの仕方こそ異なりますが、IOTAに先行して、同様のアプローチを取っています。

もう一つの例が、Quorumです。彼らは、JPモルガン・チェースによって承認され、イーアリアム・ネットワークの最小限のフォークで派生したもので、企業間での支払いを促進しています。

また、JPモルガン・チェースはQuorumZcashを利用したプライバシー技術を統合した決済処理サービスを開始しました。

JPモルガンがZcashのプライバシー技術を統合したイーサリアムブロックチェーンQuorumを利用し、決済処理ネットワークを開始したことを発表しました。「ビットコインは詐欺だ」と発言したJPモルガンを含めた他の銀行役員もこの技術を賞賛しています。

よって、ブロックチェーン技術は、仮想通貨の価値を正当化するものではなく、ビジネスやシステムのセキュリティを高める上でも、非常に実用的であることが見て取れます。

短期間で成り上がろうとしている人の投機的な資金の流れを除くと、ブロックチェーン技術の未来は明るいです。

What comes after the cryptocurrency bubble?

Oct 18, 2017 by Joe Pindar

参考記事はこちらから

CoinPostの考察

所々で仮想通貨は現在バブル状態であり、いずれ崩壊すると言われています。

数え切れないほど増えた仮想通貨の種類も、ビットコイン、イーサリアムなどの価値ある通貨は生き残り、他の通貨は成功せず失敗に終わると考えられていることもあります。

また、これらの仮想通貨に使われているブロックチェーン技術は他の分野においても実用的であり、仮想通貨が崩壊したとしても、問題はありません。

むしろ、利用範囲が広いため、ブロックチェーンは将来多くの分野で活躍する可能性が高いです。特徴であるセキュリティー面やコストを削減できるなど、それらを応用できる分野は数多くあります。

10/16-10/18にRippleが主催したSwellというカンファレンスでもブロックチェーン技術の将来は有望であると議論されていました。

実際に仮想通貨がバブル状態なのかは定かではありませんが、ブロックチェーン技術の将来は明るいでしょう。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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