エンジニアが語る仮想通貨Stellar(ステラ)、着実だが”速さ”にはとことんストイックなコミュニティ 2019/12/10 19:30 高地 明 他のブロックチェーンのコミュニティとは、また異なるスタンスを持ったStellarですが、エンジニア目線でみるその独自の魅力とは。 Stellarのユニークな活用例なども紹介しつつ、今回はStellarコミュニティがエンジニアを惹きつける理由や、一見地味ともとれる大々的なPRを行わない背景についてお話ししていきます。 Stellarのユニークな活用例 Stellarのトークンのおもしろい活用例でいうと、土地の所有権をリアルな地図と何ヘクタールかの割合をマップして、その金額をトークンで示すというサービスもあったりします。地元の不動産会社と連携して、最終的には所有者を証明する契約書等をブロックチェーンにのせて、土地の所有者を証明したり、ここを買いたい人は何トークン必要ですといったことが分かるような仕様になっています。 これは、リアルとのギャップを埋めるために、ブロックチェーンやトークンが使われている良い例でしょう。 また、特定の場所にいくことでトークンがもらえるといったサービスもおもしろいと思います。海外にあるARのアプリで、指定された場所に行くとコインが湧いている泉があって、それを押すことでトークンがもらえるというようなサービスがありますが、そういったものはマーケティングにもうまく活用できるはずです。 お店に来てもらう導線として、空中にトークンを浮かばせ、それをアプリで取得すると10円引きになるといったようなイメージです。ただ、その場合もトランザクションは発生するので、それを実際にするとなると、Stellarのような高速性と手数料の安さを兼ね備えたブロックチェーンが必要になってくるでしょう。 コミュニティは速さへとことんストイック 実はStellarのノード数は、BitcoinやEthereumと比べると、それらの約40分の1程度しかありません(※2019/11 Bitcoin: 9490、Ethereum: 8106、Stellar: 256)。日本では1、2個くらいしかないのですが、ノード数が増えて、より近くのノードと通信出来るようになれば、ネットワークのパフォーマンスはより上がっていくと思います。 そのようなノードの少なさの背景には、ノードを立てることによる経済的メリットがないところがあるでしょう。では、Stellarでノードを立てる動機はどのようなものかというと、Stellarを発展させたい、Stellarを使っている以上ノードを提供したいといったもので、そのような広がり方も個人的には好きな部分です。 でも、一方で速さへはとことんストイックなのが、Stellarのコミュニティの特徴でもあります。例えば、Stellarのトランザクションは基本的に5秒以内で処理されるのですが、それが8秒かかったのが少し続いた程度でも、コミュニティのチャットでは何が原因だったのかと熱を上げたディスカッションが始まります。 一般の利用者は、その程度の遅れはさほど気にしないと思うのですが、Stellarのコミュニティではパフォーマンスモニターをチェックしている人がいたりして、5秒のラインが本当に強く意識されています。そんな速さへの一貫したストイックさも、魅力を感じる部分です。 ネットワークの遅延の次に問題となるのが、ノードのディスク増大問題だと思います。利用ユーザー数が増えてくるとトランザクション量も増加してきて、ディスクサイズを圧迫し始めます。Stellarにはメモ機能というものがあり、トランザクションに対してテキストデーター28byteのデーターが残せれるようになっており、このサイズでさえ、将来的なディスク問題の対処方法として、削減する案がでています。 これらからわかるように、速さにストイックなコミュニティが懸命に対策を講じています。エンジニア目線でみると、そんなコミュニティのとことんなストイックさに心強さを感じますし、そこがStellarがエンジニアを惹きつける魅力の1つになっていると思っています。 地道に一歩一歩なのがStellar 日本人が買えないというのは、Stellarの1つ弱みでもあると思っていました。そういった文脈でいうなら、今回のコインチェックへの上場はいい流れであるでしょう。 Stellarはとても優れたプロダクトなのですが、まだ知名度が低いのは難点ともとれるかも知れません。ヨーロッパなどでStellarを使ったサービス開発をしている人たちに話を聞いていても、知名度の低さは指摘されます。 でも、Stellarの共同設立者であるジェド氏としては、世の中に知名度を上げて派手さを求めるよりも、コツコツとファンを作っていって、着実にサービスを発展させていくことを望んでいるようで、それはそれでいいのではないかという結論で落ち着きます。 本当に興味を持ってコミュニティに入ってきた人にはコミュニティの中で支援をして、興味がない人に対しての押し売りはしないといった、コミュニティを大事にしながらの地味な姿勢には好感が持てます。 そういった、他のメジャーなブロックチェーンとは異なる、地道に一歩一歩と進んでいくスタンスはとても大事なものだと思っていて、そこがまたユーザーを惹きつける魅力にもなっていくのではないでしょうか。
エンジニアが語る仮想通貨Stellar(ステラ)、着実だが”速さ”にはとことんストイックなコミュニティ
高地 明
他のブロックチェーンのコミュニティとは、また異なるスタンスを持ったStellarですが、エンジニア目線でみるその独自の魅力とは。
Stellarのユニークな活用例なども紹介しつつ、今回はStellarコミュニティがエンジニアを惹きつける理由や、一見地味ともとれる大々的なPRを行わない背景についてお話ししていきます。
Stellarのユニークな活用例
Stellarのトークンのおもしろい活用例でいうと、土地の所有権をリアルな地図と何ヘクタールかの割合をマップして、その金額をトークンで示すというサービスもあったりします。地元の不動産会社と連携して、最終的には所有者を証明する契約書等をブロックチェーンにのせて、土地の所有者を証明したり、ここを買いたい人は何トークン必要ですといったことが分かるような仕様になっています。
これは、リアルとのギャップを埋めるために、ブロックチェーンやトークンが使われている良い例でしょう。
また、特定の場所にいくことでトークンがもらえるといったサービスもおもしろいと思います。海外にあるARのアプリで、指定された場所に行くとコインが湧いている泉があって、それを押すことでトークンがもらえるというようなサービスがありますが、そういったものはマーケティングにもうまく活用できるはずです。
お店に来てもらう導線として、空中にトークンを浮かばせ、それをアプリで取得すると10円引きになるといったようなイメージです。ただ、その場合もトランザクションは発生するので、それを実際にするとなると、Stellarのような高速性と手数料の安さを兼ね備えたブロックチェーンが必要になってくるでしょう。
コミュニティは速さへとことんストイック
実はStellarのノード数は、BitcoinやEthereumと比べると、それらの約40分の1程度しかありません(※2019/11 Bitcoin: 9490、Ethereum: 8106、Stellar: 256)。日本では1、2個くらいしかないのですが、ノード数が増えて、より近くのノードと通信出来るようになれば、ネットワークのパフォーマンスはより上がっていくと思います。
そのようなノードの少なさの背景には、ノードを立てることによる経済的メリットがないところがあるでしょう。では、Stellarでノードを立てる動機はどのようなものかというと、Stellarを発展させたい、Stellarを使っている以上ノードを提供したいといったもので、そのような広がり方も個人的には好きな部分です。
でも、一方で速さへはとことんストイックなのが、Stellarのコミュニティの特徴でもあります。例えば、Stellarのトランザクションは基本的に5秒以内で処理されるのですが、それが8秒かかったのが少し続いた程度でも、コミュニティのチャットでは何が原因だったのかと熱を上げたディスカッションが始まります。
一般の利用者は、その程度の遅れはさほど気にしないと思うのですが、Stellarのコミュニティではパフォーマンスモニターをチェックしている人がいたりして、5秒のラインが本当に強く意識されています。そんな速さへの一貫したストイックさも、魅力を感じる部分です。
ネットワークの遅延の次に問題となるのが、ノードのディスク増大問題だと思います。利用ユーザー数が増えてくるとトランザクション量も増加してきて、ディスクサイズを圧迫し始めます。Stellarにはメモ機能というものがあり、トランザクションに対してテキストデーター28byteのデーターが残せれるようになっており、このサイズでさえ、将来的なディスク問題の対処方法として、削減する案がでています。
これらからわかるように、速さにストイックなコミュニティが懸命に対策を講じています。エンジニア目線でみると、そんなコミュニティのとことんなストイックさに心強さを感じますし、そこがStellarがエンジニアを惹きつける魅力の1つになっていると思っています。
地道に一歩一歩なのがStellar
日本人が買えないというのは、Stellarの1つ弱みでもあると思っていました。そういった文脈でいうなら、今回のコインチェックへの上場はいい流れであるでしょう。
Stellarはとても優れたプロダクトなのですが、まだ知名度が低いのは難点ともとれるかも知れません。ヨーロッパなどでStellarを使ったサービス開発をしている人たちに話を聞いていても、知名度の低さは指摘されます。
でも、Stellarの共同設立者であるジェド氏としては、世の中に知名度を上げて派手さを求めるよりも、コツコツとファンを作っていって、着実にサービスを発展させていくことを望んでいるようで、それはそれでいいのではないかという結論で落ち着きます。
本当に興味を持ってコミュニティに入ってきた人にはコミュニティの中で支援をして、興味がない人に対しての押し売りはしないといった、コミュニティを大事にしながらの地味な姿勢には好感が持てます。
そういった、他のメジャーなブロックチェーンとは異なる、地道に一歩一歩と進んでいくスタンスはとても大事なものだと思っていて、そこがまたユーザーを惹きつける魅力にもなっていくのではないでしょうか。