はじめに
ブロックチェーンの活用事例として、Microsoft Build で発表のあった、Xiaomiのサプライチェーン・ファイナンス (SCF) を紹介します。
・参考:Real World Blockchain – Customer Scenario Showcase
抱える課題
Xiaomiは、スマートフォンなどの家電製品をグローバルに展開する、中国の総合家電メーカーです。
製品の生産・販売は、多くのパートナーやサプライヤーとの、グローバルなサプライチェーンのもとで進められています。
しかし、現状のサプライチェーンでは、データの連携や透明性の確保は不十分でした。
そのため、銀行取引やファクタリング (売掛債権を用いた資金調達方) といったサプライチェーン上のファイナンスの改善が難しい状態でした。
そこで、既存のSCMやERPに、ブロックチェーンによるデータ共有を組み合わせることで、取引に関する透明性や信頼性の向上を行いました。
参照元:https://mybuild.techcommunity.microsoft.com/sessions/77348?source=sessions#top-anchor
サプライチェーン・ファイナンス(SCF)とは
ここで簡単に、サプライチェーン・ファイナンスについて説明をします。
サプライチェーン・ファイナンスとは、サプライチェーンにおいて、物理的な「物」の管理だけでなく、金融機関との取引や資金繰りといった、資金の流れも含めて最適化することを言います。
特に最近では、デジタル化やFintechの発展のもと、既存にはない資金調達が可能になるという点での着目が大きくなっています。
例えば、日本では、サプライヤーの売掛債権を電子記録債権化し、それを元に資金調達を可能にするソリューションなどが存在します。
・参考:https://www.tranzax.co.jp/solution/sf/
今回のXiaomiの取り組みも、既存の「物」を管理するサプライ・チェーン・マネジメントに、銀行との資金の流れも取り込むことで、ファイナンスも含めた最適化を行なっています。
ブロックチェーンによる解決アプローチ
Xiaomiが構築した、ブロックチェーンを活用したサプライチェーン・ファイナンスの構成は下図のようになっています。
ブロックチェーンには「発注 (PO)・事前出荷 (ASN)・納入 (GR)・支払」といった一連の情報が書き込まれて、共有されます。
このとき、発注元とサプライヤーだけでなく、発注情報などを銀行とも共有することで、迅速なファイナンスを可能にしています。
また、システム構築の特徴としては、サプライチェーン・ファイナンスの構築が、既存のSCM (SAPを用いたERPシステムなど)に追加する形で行われています。
これにより、システム構築にかかる費用を大幅に削減しています。
既存のSCMとの連携には、Azureが得意とする、(Logic Apps、PowerApps、Microsoft Flowといった) システム連携を容易にする機能 を使うことで実現しているとのことです。
▼関連情報はこちら
参照元:https://mybuild.techcommunity.microsoft.com/sessions/77348?source=sessions#top-anchor
Azure BlockchainによるSCF導入のメリット
Azureによるブロックチェーンを活用し、SCFを実現したメリットとして、具体的に2つをあげています。
- ファクタリングや銀行取引といったプロセスの短縮 (週単位から日単位へ)
- 最小限のITコストでの、サプライチェーンの多層化の実現