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JPモルガンのダイモンCEO、「銀行界はクラリティー法案を拒否」と明言

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • ダイモン氏、現行クラリティー法を銀行は拒否と明言
  • 上院審議に複数の優先案件が競合、成立確率57%

法案拒否を宣言

JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモン氏は5月29日、フォックスビジネスの番組「Mornings with Maria」に出演し、米国の仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」の現行案について「銀行はこのような状態では受け入れない」と明言した。

ダイモン氏は現行法案が仮想通貨企業に対し、銀行水準の保護措置を講じないまま預金への事実上の利息支払いを許容していると批判した。「ステーブルコインを巡るリスクは心配していないが、このまま成立すれば最終的に破綻するだろう」と述べ、その場合はJPモルガンとして一切関与しない姿勢を示した。また、マネーロンダリング対策(AML)や銀行秘密法(BSA)への対応も不十分だと指摘した。

ステーブルコインへの利回り付与をめぐる対立は、法案審議を繰り返し停滞させてきた。コインベースは今年1月、利回りに関する制限条項を理由に上院銀行委員会の採決予定日前日に法案への支持を撤回し、委員会審議を遅延させた。

その後、5月に入ってパッシブな保有報酬を禁止し、取引利用など行動に連動した報酬を容認する条文が法案に盛り込まれ、上院銀行委員会は5月15日に賛成15・反対9で可決した。

関連記事:【速報】米クラリティー法案、上院銀行委員会を通過 本会議手続きへ前進

米上院銀行委員会は日本時間15日、仮想通貨市場構造法案「クラリティー法」のマークアップで採決を実施し、法案を委員会通過させた。民主党からは二名の議員が賛成したが、本会議での支持は条件付きとし、60票確保に向けた交渉は続く。

対立激化

コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏をめぐっては、銀行業界トップとの摩擦が相次いで表面化していた。ダイモン氏は2026年1月のダボス会議でアームストロング氏と直接対峙し、強い言葉で批判したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。同氏は今回のインタビューで、アームストロング氏がワシントンで数億ドルを投じて法案成立を後押ししようとしていても、銀行業界はその働きかけに応じることはないと強調した。

一方で、ダイモン氏はブロックチェーン技術の有用性自体は認め、クロスボーダー送金などの用途でステーブルコインに一定の価値があるとしている。ただし「政府が慎重に対処しなければ深刻な問題になる」と述べ、現行法案の設計に強い懸念を示した。

なお、3月3日のCNBCインタビューでも同氏は、残高保有に対する利息と取引連動の報酬を明確に区別し、「残高に対して利息を支払うなら、それは銀行の範疇になる。銀行として規制されるべきだ」と語っていた。

成立見通し、8月前は困難との分析

現在は上院銀行委員会案と上院農業委員会案を統合するスタッフレベルの作業が進んでおり、統合が完了して初めて上院本会議での審議が可能となる。

投資銀行TDコーウェンのワシントン・リサーチ・グループ、マネージング・ディレクターのジャレット・セイバーグ氏は今週のノートで、クラリティー法をめぐる政治環境が悪化しており、8月の夏季休会前の成立は困難との見通しを示した。

セイバーグ氏は、民主党の支持を遠ざけている要因はいずれもトランプ政権をめぐる倫理・利益相反問題だと指摘した。具体的には、トランプ大統領とIRSが和解し17億7,600万ドル規模の基金が設立されたこと、予測市場・仮想通貨業界がCFTCに影響を及ぼすよう働きかけ経験豊富な規制当局者が排除されたこと、2026年1〜3月にトランプ大統領の代理として約3,600件の株式取引が行われたことを示す財産開示資料が公開されたことの3点を挙げた。「大統領に適用される利益相反基準の条項が法案に含まれない限り、民主党が法案を支持することは政治的に困難だろう」と述べた。

関連記事:米クラリティー法の8月前成立に暗雲、政治環境悪化が影響

投資銀行TDコーウェンは、政治環境の悪化を理由にクラリティー法の8月休会前成立は困難との見方を示した。民主党の支持獲得に必要な利益相反条項をめぐる対立が続いており、成立が遅れれば法制化は2027年以降にずれ込む可能性がある。

また、上院本会議におけるフィリバスター(議事妨害)回避に必要な60票確保には少なくとも民主党7名の支持が不可欠だ。予測市場ポリマーケットが算出するクラリティー法の2026年中成立確率は現在57%で、成立の可否は依然として五分に近い状況だ。

来週上院が審議を再開しても、複数の優先案件が審議時間を奪い合う見込みだと報じられている。

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