ブロックチェーン活用で「米証券決済機構」を介さず有価証券決済 Credit Suisseら、ウォール街で実証実験

有価証券決済にブロックチェーンを活用

ビットライセンス取得済みのステーブルコイン発行企業Paxos社が、ウォール街の1000兆ドル規模の取引市場に参入する。有価証券の取引をブロックチェーンを応用する形で、ほふりを経由せずに決済する実証実験に取り組む。すでに大手金融企業2社が協力に名乗りを上げた。

ニューヨークを拠点にするPaxos社は28日、米証券取引委員会(SEC)から「No-Action Letter」を受け取ったと発表。ブロックチェーンを基にした新たな決済サービスの実証実験する許可を得たという。

Paxos社のプロダクトマネージメントの責任者Melayna Ingram氏によれば、まずは欧州の2つの銀行が本プラットフォームに参加を表明いており、取引所外で注文を引き合わせるダークプールの取引において、有価証券の決済をブロックチェーンで行うという。

今回の実証実験に参加するのは、Credit Suisseとソシエテジェネラルの大手2社だ。有価証券が既存の清算機関以外で取引されるのは初めてだとPaxos社は説明している。

ウォール街の株式市場には、世界最大級の証券保管振替機関としてDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)があり、1000兆ドル規模の有価証券の清算・決済を処理している。Paxos社の決済サービス「Paxos Settlement Service」の一環として、参加企業は米証券決済機構(NSCC)を介さず、Paxos社のブロックチェーン上で有価証券の取引や決済を行うことができるようにするという。

Ingram氏は、「我々は約18カ月間、本サービスの開発に取り組んできた。初期の設計や市場での活用について他社に協力してもらい、数多くの大手企業に売買を行ってもらった」と語っている。

実証実験では取引は少量に抑える。まずは参加企業が取引する有価証券の数も限定し、1日の取引単位も10万を上限とするとIngram氏が説明。Paxos社はウォール街でより速い処理が期待される。一般的には取引の執行から決済や清算まで数日かかることがあるが、Ingram氏は、現金や有価証券の所有者の変更は即座に行えると解説している。

Credit Suisseのデジタル資産市場担当のトップEmmanuel Aidoo氏は、「ブロックチェーンの利用によって、有価証券の決済のプロセスは大幅に改良できると信じている。我々は『Paxos Settlement Service』による効率化の恩恵を最初に受けることができるだろう」と期待を示した。また「今回の新しいサービスは、当社のデジタル資産市場戦略において、重要で大きな出来事だ。将来、多く資産クラスで本サービスが利用されるだろう」と語った。

実証実験の間は、Paxos社はサービスに対する手数料を課さない。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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