
夏相場のリスクを警告
仮想通貨調査会社10xリサーチが7月22日、「1,950億ドルのビットコイン資金流入が示す今後5カ月の展望」と題したレポートを発表した。ビットコインが2024年以来最強のブレークアウトを記録したが、オプション市場の過熱感から夏相場(夏枯れ相場=夏季の取引量減少による価格低迷)の調整リスクを警告している。
レポートによると、年末ビットコイン価格予想は14万1,861ドルに設定されている。この目標達成には年初来資金流入額1,950億ドルに加えて追加で2,810億ドルの資金流入が必要で、720億ドルごとに1万ドルの価格上昇が見込まれるとの試算を示した。
現在の資金流入ペースが継続すれば、年間で3,460億ドルがビットコインに流入する計算となる。

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オプション市場では9月満期で14万ドル、12月満期で15万ドル・17万ドル・20万ドルの大量建玉が確認されており、市場参加者の強気姿勢が鮮明になっている。しかし同社は、コール需要がプット需要を大幅に上回る現状を「ポジション過密化のサイン」として警戒感を示している。
さらに、コインベース株についても詳細な分析を実施し、ビットコインに対して22%の割高状態にあると指摘した。同社株価は歴史的評価レンジの上限付近で取引されており、PER(株価収益率)145倍という高い評価水準から「中立からショート推奨」にスタンスを転換。
先週の米国クリプトウィーク(米下院の仮想通貨週間)は終了し、今後の注目材料は7月30日のFOMC会合となるが、その後は米議会夏期休会により政策面での材料が乏しくなると予想している。歴史的に8月・9月は季節的に弱気な相場環境となりやすく、「ビットコインと仮想通貨関連株の調整が可能性として高まっている」との見解を示している。
クリプトクアントの登録アナリストShayanMarkets氏は22日、ビットコインが2024年7月以降最大の取引所純流入を記録したと分析した。機関投資家による史上最高値圏での利益確定売りとリスク管理の必要性を指摘し、この資本ローテーションがアルトコイン相場を押し上げる可能性があると述べた。
過去の事例では、取引所への大量流入は深い調整局面の前兆となることが多い。取引所供給量増加により市場ボラティリティが高まり、需要急増時にアルトコインを含む仮想通貨全体に大きな価格変動が及ぶ見通しだという。
