通貨インフレ懸念でゴールド上昇継続も、ビットコインには資金流入せず
インフレ懸念高まる
新型コロナウイルスの感染拡大に対する景気刺激策として、中央銀行が史上最大規模の資金を注入するなか、中・長期的にはインフレリスクに対するヘッジ手段として注目を集めるとの見方もあるビットコイン(BTC)価格は停滞している。
BTCの価格は、6月末から9000ドル(約97万円)から9300ドル(約100万円)のレンジ相場を継続する一方で、ゴールド価格は上昇を継続。現時点で年初来19%高となっており、2011年以来初めて1800ドル(約19.3万円)に迫ろうとしている。
米国物価連動国債(TIPS)の動き
英フィナンシャルタイムズは先週、インフレが進むと有利になる米国物価連動国債(TIPS)へ、すでに50億ドル(約5400億円)超の資金が投じられていると報じた。TIPSは物価急上昇のリスクから投資家を保護する債権だ。
現在もコロナウイルスの感染拡大は収まらず、各国中央銀行による資金供給が継続しており、投資家の間ではインフレが起こるとの懸念が高まっているという。また他にインフレを起こす要因として挙げられているのが米ドル価格の低下。米国の物価指数は3カ月低下を続けた後、6月に再上昇し、8年超の期間で最も大きい上昇幅となった。
それでも現在はまだ、米連邦準備制度理事会(FRB)の指標となるインフレ率が1.7%まで下がっており、目標の2%を下回っている。
今後5年間の平均的な予想インフレ率は1.57%で、2008年の金融危機後の平均2.2%よりはるかに低い。市場が推測する期待インフレ率である「ブレークイーブン・インフレ率」は1.35%で、これも金融危機後の1.7%よりも低くなっている。一般的にブレークイーブン・インフレ率の上昇は、投資家が経済に対し楽観的な見方を示していることを表す。
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