金融資産の5%をビットコインにした場合の優位性=金融大手フィデリティ関連レポート
FDAが最新レポートを公開
米金融最大手フィデリティの暗号資産(仮想通貨)関連子会社「Fidelity Digital Asset(FDA)」が、ビットコイン(BTC)をポートフォリオに加えた方が、より大きな利益を得ることができるの見解を示した。
FDAはBTC投資をテーマにした最新版のレポートを公開。ポートフォリオにBTCを加える比率を変えたシミュレーションをもとに、最終的にポートフォリオ全体の5%をBTCにすることを推奨している。
実際に年利比較を行ったのが以下のグラフ。ブルームバーグとYahoo Financeのデータだ。0%〜3%の幅でBTCをポートフォリオに追加した場合の利益を色で分け、年初来、1〜5年後、2015〜2020年と期間を分けて示している。
0%というのは株を60%、債権を40%の割合で保有した場合で、1%BTCを追加した場合は株が59.5%、債権が39.5%となる。
レポートの考察パートでは「ポートフォリオの5%をBTCにすることを検討してはどうか」と提案。10%では高すぎるが、1%では低すぎると主張した。他の資産と逆の値動きをしたり、相関性が低い資産を所有すると、ポートフォリオを多様化するメリットが大きくなる。
BTCと他資産との相関性
FDAが掲載したBTCと他資産との相関性は以下の通りだ。2015年から2020年9月までの相関係数の平均は0.11で、他の資産とほとんど相関性がないとしていている。
BTCを加えることでポートフォリオを多様化でき、株や債権と相関性が低いことから利益を増やすことができるが、FDAは金融業界でBTCが普及すればするほど、他の資産との相関性が高くなるとも指摘している。
さらに2018年の代替資産の市場規模が13.4兆ドル(約1413兆円)であるというデータを引用し、投資家がポートフォリオにBTCを5%を加えた場合は、それだけでBTCの時価総額が6700億ドル(約70兆円)増えるとも試算した。
SNSの影響
FDAは今回のレポートで、個人投資家についても言及。ツイッターやYouTubeなどのSNSの影響によって、個人投資家がBTCやその他の仮想通貨のことを知り、普及を促進しているとの見解を示した。
その影響力の大きさを示す根拠の1つとして分析企業「The TIE」のデータを引用し、BTCに対する話題の内容が、仮想通貨の価格に影響を与えている可能性があると主張。以下がそのグラフだ。
BTCについて、ツイッター上の肯定的または否定的な投稿を調査し、1日のセンチメントをスコア化。右軸を基準にしたオレンジ線がそのスコアで、左軸を基準にした緑色の線は30日間のBTC価格の変化を表している。
センチメントスコアが50以上であれば、過去20日と比較してその日に肯定的な話題が多かったことを表し、50以下であれば、否定的な投稿が多かったことを示している。センチメントは概ね価格変動と同じ動きをしていることが明確だ。
FDAは個人投資家が情報収集のために、従来の情報伝達手段に比べて情報の拡散力が高く即座に伝わるSNSを多く利用するようになっていると説明。仮想通貨の普及は今後もSNSによって促進されると主張した。
参考資料 : FDA
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します