DeFi大手Aave、機関投資家向けサービスをリブランディング
Aave Proの名称を変更
大手DeFiレンディングプラットフォームのAaveは、機関投資家向けのサービスの名称を「Aave Pro」から「Aave Arc」に変更すると発表した。Stani Kulechov CEOによレバ、当初、今月中に予定されていた同サービスのローンチは、数週間後になる予定だという。
「Arc=円弧」という名に込められた願いは、分散型金融分野に機関投資家の参入を促すためゲートウェイとなることだと説明した。
Arcの大きな特徴は、貸し手と借り手ともに顧客確認手続きを必要とする、許可型の流動性プールであること。そのため、一般ユーザー向けのパーミッションレス(許可は不要)の流動性プールとは別個に設置・運営される。
Arcは機関投資家の需要を考慮し、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、AAVE、USDCの4銘柄に対応する。
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厳正な監査を受けたスマートコントラクト
ArcはAave v2を基盤としている。機関投資家への提供を前に、ArcのスマートコントラクトはCegiN社、ConsenSys社、Diligence社、PeckShield社、Sigma Prime社による厳格な監査を受けたという。さらにCertora社により正式な検証も完了。
また、市場リスクのストレステストの結果、同プロトコルは、イーサリアムブロックチェーン上の混雑なども含め、耐性があることが報告された。
ホワイトリスト化のプロセス
Arcでは、厳格な規制遵守が求められる機関投資家のニーズに合わせ、「ホワイトリスター」と呼ばれる規制に準拠した仲介者が、ユーザーの身元確認およびマネーロンダリング対策面でのコンプライアンスを監査した上で、ユーザーの入会審査、および参加できる活動に対する許可を行う。ユーザーは、流動性の提供、流動性の借入、精算のいずれにも参加できる。
さらに、ホワイトリスターには、ユーザーの入出金に関連した許可/拒否権限、および、顧客を退会させる権限があり、規制リスクとコンプライアンスに対する監督業務を担う役割が与えられているという。
一方、ガバナンスの面において、Arcに関するプロトコルおよび流動性プールレベルの決定は、Aaveガバナンスが行うことに変わりはない。現在、Aaveガバナンスには7万以上のトークン保有者/代理人が参加しているとのことだ。
利回りの差
参加者の制限により、プライベートプールのArcと一般の流動性プール(パブリックプール)では利回りに差が生じる可能性が考えられる。この点についてCEOのKulechov氏は、両方のプールにアクセス可能な参加者は、その差を利用して裁定取引を行うこともできると主張した。
同氏は、分散型金融へ機関投資家の参入を促すには、まず、機関投資家が安心できるリスク許容度に合わせた方法を提供することが重要だとコメントしている。
Aaveについて
Aaveは分散型のレンディングプラットフォームで、フラッシュローン(Flash Loan)や信用委任(Credit Delegation)といったユニークなDeFiサービスを提供している。
DeFi Pulseのデータによると、Aaveプラットフォームにロックされている仮想通貨は、現在122億ドル(約1.35兆円)の規模で、プラットフォーム別の預け入れ金額(TVL)ランキングで1位となっている。
そのガバナンストークンであるAAVEは、現在、仮想通貨の時価総額27位に居座る。
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