イラン、仮想通貨採掘を9月より再開へ
9月よりマイニング再開
夏期の電力需要拡大を背景に暗号資産(仮想通貨)マイニングを一律禁止している中東イランで、国営電力会社Tavanirが予定通り9月22日から産業・鉱業・貿易省のライセンスを持つ採掘事業者のマイニングの再開を認可することがわかった。地元紙のFinancial Tribuneが報じた。
電力コストが安価なイランでは、仮想通貨マイニングが盛んに行われている。イラン政府は2019年7月、マイニング業者を法的に受け入れる方針を発表。マイナーは産業省からライセンスを取得することで事業を継続することが認められた。
現在、イランの産業省からマイニング・ライセンスを取得している事業者は30社近くいるものの、依然として未登録事業者も多数存在する。認可を受けている採掘業者の消費電力は全体に比べても少ないが未登録業者による大量の電力消費により、夏など電力消費量が上がる時期には停電が多発する事態が発生。
ライセンスを取得していないマイナーらは一日あたり2,000から3,000メガワットを消費しており、これは首都テヘランの1日消費電力の半分に相当するという。
イラン政府はこのような事態を受け、複数回にわたり大量の違法マイナーを摘発してきたが、事態は一向に改善しなかった。
違法マイニングによる電力消費はイランの電力グリッドに4,700億円相当の損害を与えるなど、停電問題が悪化するにつれ、国営電力会社Tavanirは違法マイナーを停止・摘発。過去12ヶ月間で212,373点ものマイニング機器を押収した。
しかし消費電力を抑えることにはにつながらず、21年5月にはハサン・ロウハーニー大統領が仮想通貨マイニングを禁止する措置を発表。電力需要が収まる9月22日まで電力の供給を一律停止する方針を表明していた。
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マイニング盛んなイラン
英ケンブリッジ大学が7月に公開した調査結果によれば、21年4月時点でビットコインネットワークのハッシュレート(採掘速度)の約4.6%がイランに起因する。世界的に見ても中国、アメリカ、カザフスタン、ロシアに次ぐ5位のハッシュレートを誇る。
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また、米政府から経済制裁を受けているイラン政府は外貨獲得手段として仮想通貨を国策として用いる方針も打ち出しており、国内のマイナーが採掘した仮想通貨・ビットコイン(BTC)を貿易資金として活用しているようだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します