米初の仮想通貨取引所制裁、ランサムウェア攻撃に加担と指摘
初めて仮想通貨取引所を制裁対象へ
米財務省の外国資産管理局(OFAC)は21日、ロシア拠点の暗号資産(仮想通貨)取引所「SUEX OTC S.R.O.(以下、SUEX)」を、特定国籍業者(SDN)に指定し『制裁対象』に加えたと発表した。
特定国籍業者とは、米大統領が国家の安全保障を脅かすと判断し、制裁対象にすると指定した企業等を指す。SUEXはランサムウェア攻撃における金融取引に加担しており、少なくても8つの攻撃から違法な利益を得たとOFACは指摘。米国が特定国籍業者に仮想通貨取引所を指定したのは初と報じられている。
ランサムウェア攻撃とは
企業などのコンピュータを強制的にロックしたり、中にあるファイルを暗号化したりして、元の状態に戻すことと引き換えに身代金を要求する攻撃。この身代金に仮想通貨が利用されているケースが多いとされている。
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米国では今年、米最大規模の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプライン社を初め、ランサムウェア攻撃の被害が急増。この事態を受け、バイデン政権は仮想通貨取引の分析・調査を強化することを発表するなど、対策を行なっている。
ランサムウェア攻撃の中には、ロシア拠点の犯罪集団によるものが多いと指摘されており、バイデン大統領とロシアのプーチン大統領が6月に開催した会談では、ランサムウェア攻撃についても重点的に語られた。
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今回米財務省が発表した文書では、「SUEXの取引を分析したところ、全体の履歴の40%超が違法行為に関連していた」と指摘。SDNに指定されたことで、米国の企業らはSUEXと事業を行うことが禁止され、違反すれば刑罰が課されるという。
また財務省のウェブサイトには、SUEXに関連する仮想通貨アドレスも掲載。そこにはビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)、米ドルとペッグしたステーブルコイン「USDT」のアドレスを複数記載した。
海外メディアによると、米財務省のアデエモ副長官は記者会見で以下のように話したという。
我々は仮想通貨取引の大部分が合法的なものだと認識している。
しかしながら、犯罪者が一部の取引所やP2P取引サービス、ミキシングサービスを利用していることも否めない現実だ。
OFACの取り組み
近年、OFACは仮想通貨関連の摘発を強化している。OFACは米国の安全保障に関わる組織や人物に対し経済制裁を管理する機関で、これに違反する形で仮想通貨を利用する団体らを摘発してきた。
今年4月には、ロシア政府の指示で2020年の米大統領選挙に不正関与しようと試みた16の団体などに対する制裁措置を発表。関連組織が、身分証明書の偽造などの違法サービスに対する支払いを行う際に仮想通貨を利用したと指摘し、取引に使った仮想通貨アドレスをブラックリストに加えた事例がある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します