はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

巧妙化するランサムウェア攻撃と金融サービス提供の現状=FinCEN勧告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ランサムウェア攻撃と金融システム

米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は10月1日、「ランサムウェアと身代金支払い円滑化のための金融システム利用に関する勧告」を発表し、高度化するランサムウェア攻撃を取り巻く状況について、金融機関に注意を喚起した。

ランサムウェアとは

ランサムウェアは、コンピュータシステムやデータへのアクセスを阻止するよう設計された、悪意のあるソフトウェア(マルウェア)の一種で、ランサム=身代金とソフトウェアを組み合わせた造語。多くの場合、攻撃者はITシステム上のデータやプログラムを暗号化し、情報の解読によるアクセス復旧と引き換えに、被害者に身代金の支払いを強要する。

さらに、データ復旧のための身代金要求に加え、窃取した個人や企業の機密ファイルを公開すると脅す「二重の脅迫」を行う場合もある。

ランサムウェア攻撃の標的と手口

ランサムウェア攻撃は、特に政府や金融機関、教育や医療部門で増加する傾向にあるとFinCENは指摘。中でも、小規模な自治体や医療機関のサイバーセキュリティ対策の脆弱性を狙った、当該機関に対するランサムウェア攻撃が増加しているという。

しばしばサイバー攻撃では、大規模なフィッシングおよびターゲットを絞ったスピアフィッシングなどの一般的な手口が使われている。具体例としては次のようなものがある。

  • 悪意のあるファイルのダウンロードや偽サイトへのアクセスを促す
  • リモートデスクトップ・プロトコル(RDP)の弱点やソフトウェアの脆弱性を悪用
  • 悪意のあるコードを合法的なサイト上にホストするマルウェア攻撃

ランサムウェア攻撃に対する最善の防御策として、サイバーセキュリティ対策と事業の継続性を迅速に回復させる対策を充実させることを、勧告では推奨している。

金融機関が果たす役割と仮想通貨利用

しかし、FinCENは、銀行や取引所などの金融機関/仲介業者が、身代金の支払い処理の面で重要な役割を果たしていることに対し、最大の懸念を示している。

身代金の支払い処理には、少なくとも一つの預託機関と、複数の金融サービス業者が関与する複数の段階を経ることが必要であると指摘。また、ランサムウェア攻撃では、犯罪者が好む支払い手段である「転換可能な仮想通貨」(convertible virtual currency=CVC) が使用される事例が多いという。

身代金を要求された被害者は、通常、電子送金やクレジットカード決済などでCVCを扱う取引所に資金を送金し、犯人が指定した金額のCVCを購入後、取引所のウォレットから指定されたアドレスに、送金する。そして、犯人は受け取ったCVCの資金洗浄を行うため、ミキサーやタンブラーを使って他のCVCに変換したり、規制が緩い国外の取引所やP2P取引所を利用するという。

身代金として要求されるCVCの中で最も一般的なのはビットコインだが、最近では、匿名性の高い仮想通貨(Anoniymity-Enhanced Cryptocurrency=AEC)での支払いを要求したり、AECでの支払いに対し割引を提供するなど、インセンティブを与えるケースも見られるとのことだ。

身代金決済を助ける新たなビジネスが誕生

さらにFinCENは、ランサムウェア攻撃の蔓延により、その被害者に保護や緩和サービスを提供するビジネスが誕生していると指摘している。例えば、電子情報の科学捜査および事件対応(DFIR)を行う企業や、サイバー保険を提供する保険会社(CIC)などだ。

DFIR企業や CIC、および CVCを提供する金融サービス業者(MSB)の中には、顧客の資金を受け取り、要求された身代金の支払い業務を請け負う企業もある。そして、身代金支払いの際に送金業務に関連した活動を行うMSBは、FinCENに登録することが義務付けられている同時に、不審行為に関する報告書(Suspicious Activity Reports=SAR)の提出など、銀行秘密保護法(BSA)の対象となると忠告した。

また、財務省の外国資産管理局は、同日、被害者に代わり身代金の支払い業務を行う際、制裁リスクの対象となる可能性を指摘する勧告を発表した。

高度化するランサムウェア攻撃

勧告によると、より多額の身代金を手に入れるために、ランサムウェア攻撃は大企業をターゲットにするケースが増加しているという。また、攻撃の効果を高めるため、犯罪者同士が協力し、リソースを共有するようになっていると指摘。攻撃に利用可能なコードやツールがあらかじめ用意されたキットの販売や提供、犯罪のテクニックやアドバイス、不正に入手した情報などを共有するプラットフォームが存在するという。

また、より高度な攻撃手法として、不正コードがコンピューターのハードドライブ上ではなく、メモリに書き込まれるため、市販のウィルス及びマルウェア対策ソフトで検出されない「ファイルレス・マルウェア」による攻撃についても警告した。

出典:FinCEN

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
13:00
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者、ステーブルコインの展望を語る|CoinPostインタビュー
Visaアジア太平洋地域デジタル通貨責任者ニシント・サンガヴィ氏がCoinPostの独占インタビューに応じ、ステーブルコイン決済戦略の拡大、CBDCとの共存、米国ジーニアス法の影響について詳しく語った。4つのステーブルコインと4つのブロックチェーンをサポートし、2億2,500万ドル超の決済を実現。今後5年間のアジア太平洋地域におけるデジタル通貨の展望と、Visaが果たす役割について解説。
11:15
テクノロジー大手アリババが預金トークン決済を開発 中国当局のステーブルコイン懸念に対処か
中国アリババが預金トークン決済システムを開発している。当局によるステーブルコイン規制を回避することも背景とみられる。AI活用サービスも発表した。
10:30
ビットコイン急落、45日ルール通過とFOMC利下げ見送り観測で売り圧力が最大化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは足元で強い売り圧力に晒されているが、ヘッジファンドの45日ルール通過により解約売りの終了が期待される。ビットコイン長期保有者が直近1カ月で12兆円相当のBTCを売却したことは心理を悪化させていた。
09:50
トランプ一族関連のアメリカン・ビットコイン、売上高99億円に増加 決算発表 
トランプ一族の仮想通貨マイニング企業「アメリカン・ビットコイン」が2025年7~9月期決算を発表した。前年同期比で黒字転換し、ビットコイン保有量は4,090BTCに到達している。
09:35
ジャック・ドーシーのCash App、ステーブルコイン決済機能を導入
決済アプリのキャッシュアップがステーブルコインの送受信機能を含む11の新機能を発表した。ライトニングネットワークを使用したビットコイン決済機能も拡充している。
08:50
ソニー銀行の米銀免許申請、通貨監督庁にICBAが否認を要求
ソニー銀行が米国で信託銀行の国家免許を申請したことについて、米組織ICBAが強く反対すると表明。通貨監督庁に書簡を送付して反対理由を説明し、ソニー銀行の申請を認可しないように要求した。
07:45
バイナンス、ブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」を取引担保として受け入れ
仮想通貨取引所バイナンスがブラックロックの「BUIDL」を取引所外担保として統合した。BUIDLはBNBチェーンで新シェアクラスも立ち上げる。
06:50
ビットマイン、45億円相当のイーサリアムを追加購入 新CEOにHSBC元幹部を任命
ビットマインが3000万ドル相当の仮想通貨イーサリアムを追加購入した。同社は新CEOにHSBCアジアTMT投資銀行部門の元責任者を任命した。
06:25
ビットコイン長期保有者が1カ月で12兆円相当BTCを売却、初期投資家も2400BTCを取引所へ送金
ビットコインの長期保有者が過去1カ月で約81万5,000BTCを売却し、2024年1月以来の高水準となった。初期保有者のオーウェン・ガンデン氏も2400BTC以上を売却している。
05:50
ストラテジーのセイラー会長、6900億円相当のビットコイン売却の噂を否定
ストラテジーのマイケル・セイラー会長が47000BTCの売却憶測を否定した。オンチェーン上の動きは保管業者の入れ替えによるもので、実際に購入ペースを加速させていると説明。
11/14 金曜日
21:20
CourtYard(コートヤード)でトレカをNFT化|使い方を初心者向けに徹底解説
トレーディングカードをNFT化して取引できるCourtYard(コートヤード)の使い方を解説。アカウント開設からPolygon上での取引方法、ガス代準備、リスクまで初心者向けに図解で詳しく紹介します。
21:00
ビットコインウォレットのおすすめは?種類・選び方・アドレス作成手順まで解説
ビットコインウォレットの種類や違い、安全な選び方を徹底解説。ハードウェア・ソフトウェアの比較からアドレス作成、セキュリティ対策まで初心者にもわかりやすく紹介します。
17:19
米ビットコイン現物ETF、過去2番目の規模の純流出 リスクオフが加速
11月13日、ビットコイン現物ETFは8.7億ドル(約1,340億円)の純流出を記録し、過去2番目の規模に。イーサリアムETFも3日連続で流出。FRB当局者の慎重発言を受け、仮想通貨と米国株が同時に下落。専門家は健全な調整との見方も。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧