米上院議員が語る「ビットコインマイニングが炭素削減に貢献できる理由」
「自然エネルギーや電力網をサポートできる」
米国のTed Cruz上院議員は8日、テキサス・ブロックチェーン・サミットで暗号資産(仮想通貨)ビットコインのマイニングが、自然エネルギーの活用や電力網の支援などの恩恵をもたらしうると話した。
このイベントには、仮想通貨データ企業Coin Metricsの創業者であるNick Carter氏も参加していた。Carter氏は、Cruz議員の見解に同意。「自分が政治家から聞いた中で、最も見識のある意見」だとして、発言内容を紹介している。
Cruz議員は、テキサス州西部で行われている天然ガスの焼却処分(フレア)は、米国全体のフレア量の半分を占めていると指摘。「天然ガスのエネルギーを利用できる場所まで運ぶための設備がないため、無駄になっている」と述べた。
議員は続けて、焼却処分するかわりに、その場所に発電所を設置し、天然ガスから生み出される電力を使ってビットコイン(BTC)をマイニングすることを提案。このことでまず環境に貢献できるという。ガスを燃やして空気中に放出することは、二酸化炭素排出などの面で環境負荷があるが、ガスを電力に変換することで、その排出量を減らすことができるとする格好だ。
さらに、ビットコインのマイニング設備について、電力網から柔軟にオン・オフできることも利点として挙げた。突然の停電や、自然災害などで電力が不足する際には、マイニングを停止して、その分の電力を直ちに地域に戻すことが可能であり、緊急時のために必要な余剰電力を保持しておけると説明している。
また、太陽光や風力など自然エネルギーが豊富でも、送電線がないために、そのエネルギーを利用することが経済的に不可能な場所がたくさんあることに言及。
ビットコインマイニングを導入した場合、インターネット接続さえあれば、そうしたエネルギーを利用して価値に引き換えることができると語った。
Carter氏は、以上のようなCruz議員の見解は、自分が何か月も仮想通貨マイナーや電力の専門家に取材して得られた結論と同じだと評価している。
Carter氏のプレゼンテーション
Carter氏も同じイベントで、仮想通貨マイニングがもたらせる恩恵に関するプレゼンテーションを行った。その中でCrusoe社の見積もりも紹介。Crusoe社は、フレアガスのエネルギーを、AIやディープラーニング、仮想通貨マイニングなどを動かすために変換するソリューションを提供する企業だ。
フレアガスをただ燃焼し続ける場合と、そのエネルギーをデーターセンターに活用する場合を比較すると、メタンガスを98%、CO2eを63%、一酸化炭素を95%削減できるという。
またCarter氏のプレゼンテーションによれば、太陽光や風力などは安定供給が難しいという課題がある。さらに、安定した電力を提供するためには、より多くの施設を建設する必要があるが、これは経済的に見あわない状況だ。
仮想通貨マイニングの施設は、自然エネルギーが主に日中に生み出す余剰な電力を買い取ることで経済的にこれをサポートし、必要な時にいつでも停止して、マイニングに使っていた消費電力を電力網に戻すこともできるという。
こうして仮想通貨マイニングは、自然エネルギーの供給量不安定という問題を解決することで、自然エネルギーの活用をさらに促進できると主張する形だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します