イーサリアムのL2技術開発企業「Matter Labs」、50億円超を資金調達
イーサリアムの処理能力向上へ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のレイヤー2ソリューションを開発するMatter Labsは8日、5,000万ドル(約56億円)の資金調達を行なったことを発表した。
今回のシリーズBとなる資金調達のリード投資家は、米大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)。調達した資金は事業の成長に使うと説明しており、具体的には技術チームの拡大などに利用するとした。最近まではイノベーションに関する取り組みに特化してきたが、これからは事業開発やマーケティング、コミュニティやエコシステムの構築にも力を入れていくという。
Matter Labsは、イーサリアムの処理能力をサポートするために、ゼロ知識証明(Zero Knowledge Proof:ZKP)の技術を活用していることで知られる企業。今年6月には「zkSync(ジーケーシンク)2.0」というソリューションのテストネットをローンチしたことが分かった。
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ゼロ知識証明とは
証明(Proof)プロトコルの一種。証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズムのこと。
例えば、送金者、受取人、送金額などの取引内容を第三者に明かすことなく、その取引が不正でないことを証明することができる。
▶️仮想通貨用語集
今回の資金調達では、仮想通貨取引サービスなどを提供する「Crypto.com」、イーサリアムのソフトウェア企業「ConsenSys」らも出資。他には、DeFi(分散型金融)の「AAVE」やNFT(非代替性トークン)プラットフォーム「Rarible」、それ以外にも70超のプロジェクトの創設者やリーダーらも出資したという。
a16zのジェネラル・パートナーは今回の発表で、以下のようにコメントを寄せた。
Matter Labsは、セキュリティや分散性、構成可能性を犠牲にせずにスケーラビリティの問題を解決しようとしている。
イーサリアムのスケーラビリティをサポートすることによって、Web3.0(分散型ウェブ)の可能性を広げてくれるだろう。
zkSyncとは
Matter Labsが開発するzkSyncの主な特徴は以下の3点。zkSyncは、イーサリアムのネットワークの混雑を緩和するためのソリューションだ。
- 極めて低い送金手数料
- イーサリアムメインネットレベルのセキュリティの高さ
- ユーザーが資産を完全にコントロールできる
zkSyncのv1(バージョン1)は、決済利用のために開発され、2020年7月からイーサリアムのメインネットで利用されている。ウォレットやdApps(分散型アプリ)など多くのプロジェクトがzkSyncのv1を導入しているという。
また、zkSynのv2は、スマートコントラクトに対応したソリューション。今回の発表では、これからローンチされるテストネットについて、DeFiやNFT、ゲームや取引所など150を超える幅広いプロジェクトが、導入に向けた事前登録を済ませているとした。
Matter Labsは「今回の資金調達は、zkSyncのために行なった」とも説明している。
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