難局続きのビットコイン市場、小口投資家の関心に回復傾向も
世界情勢と仮想通貨市況
米ニューヨーク株式市場は、原油高などエネルギー価格の高騰を受けて大幅続落した。企業コスト増からインフレ(物価高)が加速するとの景気後退懸念が強まった。暗号資産(仮想通貨)市場と相関係数の高いナスダック市場の下落率は、前営業日比3.62%安(-482.48ドル)に達した。
ウクライナ情勢を巡り好転の兆しが見えぬ中、さらなる経済制裁の一環で米国がロシアからの原油禁輸措置に言及した。これに対し、ロシア側が報復措置として欧州への天然ガス供給の停止を示唆したことで、資源の供給不安に拍車がかかった格好だ。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比+2.9%の446万円(38,653ドル)で推移している。
ロイターの報道によれば、米バイデン大統領は9日(米国時間)までに暗号資産(仮想通貨)に関する「大統領令」に署名する用意がある。
財務省など各政府機関同士における権限明確化に向け、仮想通貨規制に関する調査を義務付けるほか、金融安定監視委員会(FSOC)には犯罪利用のリスクに関する調査を指示する方針だ。
欧米諸国の経済制裁を受けて自国の法定通貨ルーブルが暴落し、デフォルト(債務不履行)危機にあるロシアが、一部制裁逃れに暗号資産(仮想通貨)を利用しているとの見方もある中、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁らは、監視を強める必要が高いことを提起している。
オンチェーンデータ
暗号資産分析プラットフォームIntoTheBlockによれば、0.1〜1BTCを保有する小口投資家の保有量は、前月比+1.72%の780,000BTCとなり、過去最高に達した。
IntoTheBlockは、保有期間の観点から「相場の上昇期間と比例して、リテールの関心が戻りつつある」と言及した。
年末年始の下落で冷え込んでいたが、回復の兆しは見受けられる。
一方、10,000〜100,000BTCを保有するクジラ(大口投資家)は前月比-1.74%と保有量を減らしており、欧州に関する相場の不確実性が嫌気された可能性も考えられる。
Glassnode Insightsは最新のレポートで、ここ最近の暗号資産(仮想通貨)市場は「均衡状態」にあると言及。先物市場では20年12月以来、BinanceとFTXのシェアが2倍以上に上昇したと指摘した。
先物OI(未決済建玉)のBinanceのシェアは15%から30%に、FTXは6.7%から14.8%まで成長した。
先物取引量の優位性ではさらに顕著だ。Binanceは、現在取引されているすべての先物取引量の約50%を、FTXは9.2%に達するという。
これは現物取引だけでなく、デリバティブ(金融派生商品)を利用したリスクヘッジ需要が拡大していることを如実に示していると言えるだろう。
2月14日の前回レポートでGlassnode Insightsは、米FRB(米連邦準備制度)の金利引き上げやウクライナ情勢を巡る地合い悪化に伴い、2022年末までの先物プレミアム水準が著しく減少。「年率6%」で取引されている点、プットオプション選好の強まりを指摘していた。
機関投資家の資金フロー
資産運用会社CoinSharesが先月末に開示した週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、2月28日までに3,600万ドルの流入超過となった。
着目すべきは露ルーブル(RUB)/米ドル(USD)ペアを扱うビットコイン取引所の出来高で、前週比121%増となった。ウクライナ情勢悪化に伴う経済制裁の影響で流入があったことを示している。
地政学リスクの影響か、エリア別に見るとアメリカ大陸の金融商品には9500万ドルの流入があったのに対し、ヨーロッパ大陸の金融商品では5900万ドルの流出が見られたという。
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