ロシア富裕層、アラブ首長国連邦で仮想通貨を大規模売却か=報道
ビットコインなどの清算要求
アラブ首長国連邦(UAE)の暗号資産(仮想通貨)関連企業に、ロシア系の富裕層顧客から、仮想通貨ビットコイン(BTC)などの清算が多く要請されているようだ。ロイターが12日に報じた。
報道によれば、清算要求は数十億ドル(数千億円)規模のものも含まれるという。西側諸国からの経済制裁が強まるなか、資産の避難先を探す動きの一環と見られる。
ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁は、仮想通貨分野でも進行中だ。
欧州委員会(EC)は9日、仮想通貨を「証券」と分類し、制裁の対象にすると発表。米国では同日に、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)が、ロシアの仮想通貨を利用した経済制裁の回避を阻止するための関連法案を起草している。
また、G7は11日、仮想通貨も対象とした、ロシアに対する制裁をさらに強化するとの共同声明を発表した。
関連:G7がロシアに対する制裁強化で共同声明、仮想通貨も対象
取引所の対応に関しては、大手仮想通貨取引所のバイナンスはビザ・マスターカードの方針を受け、ロシア国内で発行されたビザ・マスターカードのカード対応を停止。また、コインベースは、ロシアの個人や企業に関連する2万5,000超のアドレスをブロックした事例も見られた。
関連:米コインベース、ロシア関連の2.5万超の仮想通貨アドレスをブロック
清算方法は様々
今回行われている仮想通貨の清算方法は様々だ。ロイターは関係筋の話として、仮想通貨をUAEの不動産に再投資する方法のほか、顧客側が法定通貨に交換して秘匿することを望むケースを紹介している。
一例として、UAEのある仮想通貨企業には、スイスから数十億ドル規模のビットコインの清算依頼が複数届いたという。一方、それらの依頼主が制裁対象かどうかは現時点では明らかではない。
UAEは、以前からロシアと深いつながりを有している国だが、ウクライナとの紛争についても中立的な立場を維持している。
また、同国は、仮想通貨に関しては肯定的なスタンスを見せている。21年12月には、ドバイ世界貿易センター(DWTC)が、デジタル資産、関連事業者、取引所など仮想通貨を包括的に扱う特区になることを発表。今年の3月には仮想通貨のライセンス制に特化した新たな政府機関を発表した。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します