ヴィタリック氏、イーサリアムのスケーリングソリューション「EIP4844」を紹介
取引手数料をさらに低下させる改善案
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は19日、スケーリングソリューションの一つ、「EIP4844」という提案を紹介した。
このEIP(イーサリアム改善案)は「proto danksharding(プロト・ダンクシャーディング)」とも呼ばれており、シャーディング実装前の段階で、イーサリアムのガス代(取引手数料)を大きく下げることが期待されている。
シャーディングとは
ノードを幾つかのグループに分割して、同時並列でトランザクションの検証作業を行う技術。イーサリアムの送金遅延や手数料増加など「スケーラビティ問題」に対する解決策の一つ。 データベースを水平方向に分割、検証作業を並列化することで処理能力の大幅向上が見込める。
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開発の背景
背景として、現在イーサリアムのネットワークが混雑し、取引手数料が高くなる傾向がある。シャーディングはこの問題を改善するものだが、実装されるには、まだ相当な時間がかかることが予想されている。
そこで、短期、中長期の解決策として、メインチェーンの外で取引を実行するレイヤー2ソリューション「ロールアップ(RU)」が開発されているところだ。
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レイヤー2(L2) とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
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しかしロールアップを導入しても、イーサリアム以外の一部仮想通貨チェーンと比較して、手数料が高くなることもまた想定されており、さらなるコスト減が望まれていた。今回ヴィタリック氏が紹介したEIP4844は、これを叶えるものとなる。
EIP4844の仕組み
HashHubのブロックチェーンエンジニアの「const/コンスト」氏は、このEIP4844について解説し、見解を示している。
コンスト氏は、次のように説明した。
EIP-4844では、L2がL1に書き込むのに使える専用のトランザクション(blob transactions)を導入します。書き込まれたデータはblobと呼びます。L1に書き込まれたL2のデータは一定期間取得できればよいため、blobは一定期間で破棄されます。これによりノードはディスク使用量を抑えられます。
各ノードが負担するコストが小さいために、L2がL1(メインチェーン)へ書き込むコストも低くなり、結果としてL2のトランザクション手数料を削減できるという。
現在、イーサリアムのスケーリングソリューションとして様々なプロジェクトが開発を進めている。代表的なロールアップソリューション「Optimism」は18日、シリーズBラウンドで1.5億ドル(約170億円)を資金調達したと明かした。
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