米財務省、仮想通貨取引所「Garantex」を制裁対象へ ダークネット「Hydra」の取引に関与
仮想通貨取引所を制裁対象へ
米財務省は5日、同省の外国資産管理局(OFAC)が、世界最大規模のダークネット市場「Hydra Market(Hydra)」と暗号資産(仮想通貨)取引所「Garantex」を制裁対象に加えたと発表した。
今回の制裁はウクライナ情勢に直接関係するものではなく、サイバー犯罪を取り締まるための取り組み。Garantexにおける1億ドル(約120億円)超の仮想通貨取引が、Hydraなどのダークネット市場に関連するものだったという。
OFACはこれまでもサイバー犯罪に関与する仮想通貨取引所を制裁対象にしてきた。昨年9月には、ロシア拠点の仮想通貨取引所「SUEX OTC S.R.O.」を制裁対象に加えたと発表。仮想通貨取引所を制裁対象にしたのは、これが初めての事例だった。その後11月には、仮想通貨取引所Chatexも制裁対象に指定している。
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今回の捜査は、ロシア拠点のHydraをターゲットにしたもので、サイバー犯罪や危険薬物取引などの違法行為が拡大するのを防ぐために実施。米国の司法省やFBI(連邦捜査局)らの組織に加え、ドイツの警察当局も協力した。ドイツでも警察当局が5日にHydraのサーバーを停止させ、2,500万ドル相当(約30億円)のビットコイン(BTC)を押収したという。
Hydraは2015年に立ち上げられたダークネット市場。これまでランサムウェア攻撃、ハッキング、仮想通貨の盗難、違法薬物の取引などを行えるようなサービスを提供してきた。米財務省はダークネット市場の決済では仮想通貨が多く利用されているとした上で、その理由は「犯罪者が仮想通貨を使えば身元を隠せると誤解しているためだ」と説明している。
ランサムウェア攻撃とは
企業などのコンピュータを強制的にロックしたり、中にあるファイルを暗号化したりして、元の状態に戻すことと引き換えに身代金を要求する攻撃。この身代金に仮想通貨が利用されているケースが多いとされている。
▶️仮想通貨用語集
OFACの捜査によると、ランサムウェア攻撃の利益である800万ドル相当(約9.8億円)が、Hydraの仮想通貨アカウントを経由していた。ブロックチェーンのリサーチャーによると、2019年にロシアの仮想通貨取引所が直接受金し、違法利用されたビットコインのうち、86%がHydraから送られたものだったという。
GarantexはHydraの取引に関与していたために今回制裁対象に加えられた。上述した1億ドル相当の取引のうち、260万ドル相当(約3億円)がHydra関連の取引。2019年に設立されたGarantexは、最初はエストニアで事業登録していたが、最近は事業の大半をロシアで行っていた。2022年2月には、エストニアの規制当局から事業認可を取り消されている。
米国のジャネット・イエレン財務長官は、今回の発表に際し、以下のようにコメントした。
ロシアを拠点にしたサイバー犯罪やランサムウェア攻撃に対する世界的な脅威は、米国にとって大きな懸念事項だ。
今回の我々の行動は、犯罪者がダークネットやロシア、その他のどこの場所にも隠れることはできないというメッセージになるだろう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します