金融市場大崩れでビットコイン反発をかき消す、売り優勢の局面続く
仮想通貨市況
26日のニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価が前日比809.28ドル(2.38%)安、ナスダック指数が514.11ドル(3.95%)安と崩壊。
東京株式市場でも日経平均株価が大幅安に。
5月3〜4日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での金融引き締めに対する警戒感が燻るほか、中国国内での新型コロナウイルスの感染拡大で北京など主要都市でロックダウン(都市封鎖)懸念が台頭。サプライチェーン(供給網)の混乱が波及するおそれがあり、中国株の上海総合指数は20日から26日にかけて大幅続落している。
ウクライナ情勢及びロシアへの経済制裁の長期化などを受け、地政学リスク及び世界経済の先行き不透明感が再び強まったことも背景にある。
これに伴い、暗号資産(仮想通貨)も厳しい。ビットコイン価格は前日比5.27%安の489万円(38,328ドル)と大幅反落した。
昨日の反騰分を陰線包み足で打ち消しており、短期間で38,000ドルのサポートライン(下値支持線)上に回帰した。
この水準を割り込んだ場合は、次のサポート34,000ドル(①)や昨年の最安値である28,000〜30,000ドル(③)まで見に行く可能性が高く、デリバティブ市場のポジションのロスカットを巻き込みながら、テクニカルの指標を度外視して急落するリスクも想定される。
足元こそ売られすぎ水準にはあるものの、先行指標として相関を強めるダウやナスダック指数が危険水域の正念場にあるため、不用意に手を出しにくい局面だ。(下図)
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暗号資産(仮想通貨)でエントリーのタイミングを探るのであれば、少なくともFOMC通過後の市場の反応は見定めたいところか。当面は大量ロスカットによる相場変動を警戒せざるを得ず、需給が整理された後の方が無難だと思われる。
26日には、米投資信託運用会社フィデリティ・インベストメンツが提供する401(k)プラン(確定拠出型企業年金)を通じて、今年半ばにもビットコインに投資できるようになることが報じられるなど好材料も散見されるものの、株式市場が暴落するなど金融市場の投資家心理(センチメント)悪化が著しい中では反応も限定的だった。暗号資産市場単体でトレンドを覆すには、よほどのことがない限り難しいだろう。
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先物トレーダーが活性化している兆候もみられる。The Blockのデータによれば、ビットコイン永久先物契約のOI(未決済建玉)は3月上旬頃から再上昇しており、ボラティリティ(価格変動性)拡大に注意が必要だ。
ここ2年間の市場シェア推移を確認すると、バイナンスとFTXが勢力を伸ばしていることが伺える。デリバティブ市場の需給を見るのであれば、この2つは抑えておきたい。
アルトコイン市場の動向
直近では、ドージコイン(DOGE)やエイプコイン(APE)トークンの先物取引では、ボラティリティ急拡大の影響で数百万ドル規模のロスカットを引き起こした。
ドージコイン(DOGE)
CoinGlassのデータによると、24時間で1億3000万DOGEがロスカットされ清算額は2,000万ドル規模に達した。この影響で、大手取引所バイナンスではDOGEの取引高がイーサリアム(ETH)を一時的に上回ったことが確認されている。
このような値動きは、DOGEの熱烈な支持者として知られるテスラのイーロン・マスクCEOが、Twitter社の巨額買収を発表したことに起因する。BTCとETHで導入されるTwitterの「投げ銭(Tips)機能」にDOGE決済が導入されるとの憶測のほか、エコシステム普及促進への思惑が広がった。
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エイプコイン(APE)
一時前週比40%以上高騰したエイプコイン(APE)は、開発企業Yuga Labsによる独自メタバース(仮想空間)の示唆のほか、高級NFTコレクティブル「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のエコシステムで、ネイティブトークンのステーキング機能について言及されたことも一因にあると考えられる。
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