大手退職金口座でビットコイン投資が可能に
米投資信託運用会社フィデリティ・インベストメンツが提供する401(k)プラン(確定拠出型企業年金)を通じて、早ければ今年半ばにも暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に投資できるようになることが明らかになった。
確定拠出年金(DC)とは、公的年金に加えて任意で加入できる企業年金の一種で、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う年金制度。運用結果に基づいて年金給付額が決定される。
フィデリティの採用により、加入者にとっては仮想通貨取引所の口座なしにビットコインにアクセスできること、また課税時期が給付時まで繰り延べられる課税繰延口座から投資できるといった利点がある。
26日付のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、新しいプランは従来の投資信託と同様の401(k)投資メニューとして選択可能になるという。なお、フィデリティの「Digital Assets Account(デジタル・アセット・アカウント)」のランディングページは既に公開されている。
全米最大規模の退職金口座の提供会社が、401(k)プランの運用先にビットコインを組み込むのはこれが始めて。フィデリティ・インベストメンツの確定拠出年金(DC)口座は、約23,000社の企業が福利厚生プログラムとして採用し、2,700万人以上の人々が使用している。調査会社のCerulliAssociatesによると、2020年には推定2.4兆ドルの401(k)資産を保有していた。
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拠出額の最大20%をビットコインに
Digital Assets Accountで積立てたビットコインは機関投資家向けプラットフォーム「Fidelity Digital Assets」で保管され、口座手数料は雇用主や投資額などの要因に応じて0.75%~0.90%の範囲で変動する。
将来的にはビットコイン以外のデジタル資産も利用できるようになると伝えられている。フィデリティの退職金提供プラットフォームのデイブ・グレイ責任者は特に若い従業員を抱える顧客からの関心が高まっていると、WSJに以下のように語っている。
多様な商品と投資ソリューションに対する投資家のニーズがある。我々は、仮想通貨が将来世代の投資に対する考え方を形作ることになると予想している。
フィデリティのDigital Assets Accountでは、口座残高の最大20%をビットコインに配分できる。従業員は拠出額に対して最大20%までビットコインの積立割合を設定できるが、雇用主が401(k)プランを導入する段階でより少なく範囲を調節できる。こうした仕様はビットコインの高いボラティリティ(価格変動性)を考慮したもの。
米国の労働省は今年3月に、401k口座で仮想通貨に投資することを慎重に検討するよう呼びかけた。仮想通貨のボラティリティやバリュエーションの信頼性、不確かな規制環境などの要素を理由に退職金口座での仮想通貨投資に対して懐疑的な見方を示していた。