「アルゴリズム型ステーブルコインなしでフォークする」 LUNAの復興プラン2が投票へ
Terraチェーンの復興プラン2
暗号資産(仮想通貨)「テラ(LUNA)」の開発を主導するTerraform Labsの共同創設者Do Kwon氏は17日、「リバイバル(復興)プラン 2」を発表した。
現在のテラのブロックチェーンをフォークするという点は前回のプランと同様。一方で今回は、アルゴリズム型ステーブルコインはなしの状態でフォークを行うとしている。Kwon氏は、テラはステーブルコイン「テラUSD(UST)」だけのものではないと主張。USTのディペッグは、ゼロから再出発するチャンスだと呼びかけた。
関連:初心者でもわかる「テラ(LUNA)」とは|仕組みと将来性を解説
今回発表されたリバイバルプラン2は、14日に公開したプランを改訂した内容。前回のプランに対するガバナンス投票は14日に始まっているが、本記事執筆時点で投票率が1.77%までしか達していない。この中で賛成に投票した人の割合は16.72%だ。過去の投票は数日以内に定足数(Quorum)に達するケースが多かったという。
コミュニティのフィードバックも考慮し、Kwon氏が今回提案したいという新しいプランの主な内容は以下。
- 新しいチェーンではアルゴリズム型ステーブルコインは発行しないようにして、現在のテラのブロックチェーンをフォークする。
- 現在のチェーンの名称は「テラ・クラシック(トークン名はLuna Classic:LUNC)」とし、新しいチェーンの名称を「テラ(トークン名はLuna:LUNA)」とする。
- 新チェーンのLUNAは、LUNCのステーカーと所有者、UST所有者、Terra Classicのアプリの開発者にエアドロップ(無料配布)する。アプリについてはWeb3.0領域に不可欠なもののみが対象。
- 上記2つのチェーンは共存させる。
- エアドロップのホワイトリストからTerraform Labsのウォレットを削除し、新しいチェーンは完全にコミュニティが運営する。
また、エアドロップの配分についても、前回から内容を変更した。大きく変わったのは、将来的に開発資金として利用される「コミュニティプール」への配分。前回は10%だったが、今回は25%に増加している。
今回の提案に対する投票は18日(アジア時間)に開始する予定。提案が認められれば27日にもバリデータとフォークのための調整を行うとしており、早ければ同日に新しいブロックチェーンをローンチするという。
*予備投票:予備投票では約90%の投票者がDo Kown氏の提案に反対しているようだ。
リバイバルが必要になった背景
テラを巡っては、レンディングプラットフォーム「Anchor Protocol」で今月7日にUSTの大口出金(1日で計14億ドル、通常の6倍)が発覚。また7日から8日にかけて、バイナンスなどで約360億円(2億8500万ドル)のUSTが売却されたこと等もきっかけとして、USTの価値が1ドルから乖離するようになった。
その後、価値の安定に使われるLUNAトークンの価格が暴落。USTの価値を安定させるために、大量保有するビットコイン(BTC)でUSTを買い支えるという思惑も広がり、仮想通貨市場全体に影響を与えた。
LFGの16日の発表によると、保有していた80,394BTCは313BTCへと減少してきた。
テラ・UST騒動の経緯は、以下の記事にまとめている。
関連:テラUSD(UST)のディペッグ騒動 Terraform Labs社や取引所の対応まとめ
ステーブルコインとは
価格が常に安定するように設計されている仮想通貨を指す。テラでは米ドルと1:1の割合で価値を安定させるUST以外に、他の法定通貨に連動したステーブルコインも発行されている。
▶️仮想通貨用語集
関連:初心者にもわかるステーブルコインとは|特徴やユースケースを解説
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します