シンガポール中銀、DeFiやデジタル資産の実現可能性を検証 JPモルガンらが協力へ
ブロックチェーンの可能性を検証
シンガポール金融管理局(MAS)は5月31日、デジタル資産の可能性やユースケースを探る共同イニシアチブ「Project Guardian」を開始したことを発表した。
ブロックチェーンやスマートコントラクト、DeFi(分散型金融)といった技術は、金融取引の自動化が可能で、金融サービスにおける効率性や流動性を向上させたり、金融包摂を推進できたりする可能性があると説明。Project Guardianでは米金融大手JPモルガンやシンガポール最大手銀行のDBS銀行らと協力し、リスクを管理しながら、資産のトークン化やDeFiの実現可能性を探るという。
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MASはシンガポールの中央銀行および金融規制当局。金融業界と協力しながら、シンガポールが国際金融の中心地となれるようにも取り組んでいる。2019年には、MASとJPモルガンが、クロスボーダー決済のための、ブロックチェーンを使用したシステムのプロトタイプを開発したことも分かった。
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今回の共同イニシアチブでは、金融の安定性や完全性に関わるリスクを管理しながら、以下の4点からユースケースを開発・実験すると説明している。
- オープンで互換性のあるネットワークの構築(パブリックブロックチェーン活用)
- DeFiにおける信頼性の高い環境の構築
- 資産のトークン化
- 企業が利用できるDeFi環境の構築(規制による保護や管理を導入できるか調査)
Project Guardianでは、まずDeFiの可能性を探るとした。最初は大規模な資金調達市場で債権と法定通貨をトークン化し、テストで許可型のプールを作成。パブリックブロックチェーン上のスマートコントラクトで、安全な貸借が行えるかを実験していくという。
MASのフィンテック部門の責任者は、今回の発表で以下のようにコメントした。
MASはデジタル資産のエコシステムにおけるイノベーションや発展に注目している。
今回の実験的な試みを通して、デジタル資産に対する我々の理解を研ぎ澄ましていきたい。Project Guardianの知見は規制にも役立つだろう。
また、JPモルガンのOnyxの最高経営責任者は、以下のように述べている。
JPモルガンはこれまでも、ブロックチェーンを基盤にした金融サービスソリューションの開発を継続してきた。パブリックブロックチェーンへ入金が利用できるようになることは、我々の次のステップだ。
MASと協力し、トークン化資産の入金をパブリックブロックチェーンに導入することは、大きな一歩になる。
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