仮想通貨市場は上昇一服、機関投資家の資金フローは流入超過に転じる
仮想通貨市況
5月31日の米株式市場ではダウ平均株価は7営業日ぶりに反落。前営業日比222ドル84セント(0.7%)安となった。
米原油先物価格の上昇がインフレ及び金融引き締めへの警戒感を高めたとの見方がある。背景には、ロシアへの経済制裁を協議する欧州連合(EU)が、ロシア産石油について今年末までに90%の輸入停止で合意したことなどが挙げられる。
1日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比+1.1%の410万円(31,793ドル)で推移した。
目先34,000ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)を抜けていきたいところであるが、ETH/USDは上値を重くして前日比-2.7%と上昇を一服しており、とりわけアルト市場のセンチメント改善は容易ではない。
機関投資家の動向
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、計8,700万ドルの流入超過に。
内、北米からの流入が7,200万ドル、ヨーロッパからは1,550万ドルだった。相場低迷に伴い、ビットコイン(BTC)の運用資産(AuM)は、21年7月以来の最低水準にある。
個別アルトでは、DeFi(分散型金融)にフォーカスしたプロトコルであるAlgorand(ALGO)が、2000万ドルの流入となった。
その他銘柄では、ソラナ(SOL)が180万ドル、トロン(TRX)が40万ドルとなっている。TRXプロトコルへの預け入れ総額を示す「Total Value Locked(TVL)」は59億ドルに達し、TVL930億ドルのイーサリアム(ETH)、108億ドルのBNBチェーンに次ぐ3番手に付けている。
先月5日には、トロン(TRX)基盤の分散型アルゴリズムステーブルコインである「USDD(Decentralized USD)」がローンチされた。
関連:トロン基盤のステーブルコイン「USDD」がローンチ TRX前週比+35%に
オンチェーンデータ分析
データ分析企業のGlassnodeが週次レポートを掲載した。
暗号資産(仮想通貨)市場と相関を強めていた株式指数は先週、「S&P500」が安値から7.4%上昇し、「NASDAQ」は9.6%上昇した。ビットコイン(BTC)は28,261ドルまで下落後、一時30,710ドルまで回復した。
オンチェーンデータ分析では、ビットコインの「Accumulation Trend Score(7MA)」の累積傾向から、機関投資家が本腰を入れた買い集めフェーズに移行しつつあることを指摘した。
ネットワーク上の既存のエンティティは、BTC保有量を大幅に増やしていることを示している。
さらにウォレットコホートを分析すると、100BTC未満のエンティティと10,000BTCを超えるクジラ(大口投資家)のエンティティが特定された。100BTC未満のエンティティは、テラ(LUNA)の非営利組織である「Luna Foundation Guard(LFG)」が、「TerraUSD(UST)」の準備金として蓄えていたビットコインを市場に放流した金額とほぼ同額を吸収したという。
下落トレンド長期化にあたり、ネットワークのトランザクションアクティビティは中・長期投資を見据えた保有者クラスによって支配されつつある可能性がある。
アルトコイン市場の動向
イーサリアム(ETH)のL2ソリューションを開発するOptimismは1日、ガバナンストークン「OP」をローンチ。条件を満たしたユーザーの適確アドレスに対して、第1回のエアドロップ(無料配布)を実施した。
Optimism(OP)は、米コインベースやバイナンスなどの大手取引所に上場するなど、用意周到な展開を見せている。
Optimismは「Rollup(ロールアップ)」という技術を活用するEVM(イーサリアム仮想マシン)互換のあるブロックチェーン。慢性的なスケーラビティ(拡張性)問題を抱えるイーサリアムのトランザクションを安価かつ高速化するなどの役割を果たす。
関連:イーサリアムL2「Optimism」、OPトークンをローンチ
Optimismは今年3月、米Paradigmが主導するの資金調達ラウンドで1億5,000万ドルを調達し、プロジェクトの価値は16億5,000万ドルと推定された。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します