軟調続くイーサリアムに悲観予想相次ぐ、LINKが前週比22%高となった背景は
仮想通貨市況
昨日の米国株式市場は、NYダウが前日比269.24ドル(0.81%)安、ナスダックが88.96ドル(0.73%)安と反落した。
経済協力開発機構(OECD)が、「世界経済の見通し」を大幅に引き下げたことなどが市場心理を冷え込ませた。NY原油先物相場の大幅上昇や米長期金利が再び3%台に乗せたことも重石となった。
ドル・円相場は2002年以来の134円台を突破するなど、円安に歯止めが効かない状況に陥っている。
米ドルの相対価値を示すドル・インデックス上昇は、株やビットコインなどのリスク資産にとってマイナスだ。ビットコインは前日比1.52%安の405万円(30,215ドル)と弱含む。
一方、Cryptoquantに投稿したProfessor Satoshi氏によれば、米最大手取引所「コインベース Pro」のネットフローにて、38,000BTCの外部送金が確認された。
Coinbase Proにおける大口投資家の買いと、長期保有を前提としたコールドウォレットへの送金が示唆される。
イーサリアム相場
今年4月以降10週連続陰線を記録するイーサリアム(ETH)相場については、アナリストらの悲観予想が後を絶たない。著名投資家のピーター・ブラント氏は7日、ETH相場のダウンサイドリスクについて指摘した。
現在ディセンディングトライアングルを形成しており、1,700ドルのサポートを割り込んだ場合は1ETH=1,268ドル(170,000円)がターゲットになると予想した。
一貫して弱気シナリオを維持しているのはil Capo Of Crypto(@CryptoCapo_)氏だ。
「1ETH=1700ドル台」のサポートライン(下値支持線)を守り切れることに懐疑的な見方を示し、テクニカル分析上の買い場は980ドル〜1,200ドル(131,000円〜161,000円)との見立てを示している。同水準は2018年の最高値である1,420ドルを下回る価格帯である。
一方、デリバティブ大手BitMEXの元CEOであるアーサー・ヘイズ氏は1日、ETHの底値予想について以前の見立て1,300ドルから変更。「1,700〜1,800ドルで底を打つ可能性が出てきた」と上方修正した。イーサリアムは、合意形成アルゴリズムをPoWからPoSへと変更する過去最大のアップグレードを控える。
データ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOは、前回のバブル崩壊時である2019年と比較して、イーサリアムのエコシステムは大きく成長したことを指摘。市場供給量の内、半数近くがDeFi(分散型金融)やETH2.0(合意レイヤー)などにデポジットされていると主張した。現物の浮動数が限られることは、すなわち需給面での大幅な改善を意味する。
旧イーサリアムチェーンとの統合を果たすための「The Merge(ザ・マージ)」は順調に進捗しており、8日までにRopstenテストネットでの実行を成功させたことがわかった。
The Mergeとは
イーサリアムチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムをPoWからPoSに移行する大型アップグレード。現在利用される旧チェーンと新たなビーコンチェーンの統合することを目指す最終段階のプロセス。
関連:イーサリアムRopsten、PoSチェーンとの統合を完了
関連:待望のPoSへ、イーサリアム大型アップグレード第一弾「The Merge」を詳細に解説
アルトコイン相場
UpbitやBithumbなど複数の韓国の大手取引所にて、ライトコイン(LTC)の上場廃止が発表されたことがわかった。匿名性を多構えるライトコインのプライバシー機能「MimbleWimble」の実装が、韓国当局に定める匿名性通貨の規制要件に引っ掛かったことにあるとみられる。
同国では2019年から、モネロ(XMR)やダッシュ(DASH)、ジーキャッシュ(ZEC)の取り扱いが廃止された例があり、日本も追従する可能性がある。
その他の銘柄では、分散型オラクルネットワークのチェーンリンク(LINK)が、前週比22.4%高と上昇した。
8日に”Economics 2.0”の始まりを謳うロードマップ発表が材料視され、ステーキングについて、2022年下半期を目処に実装予定であることがわかった。
オラクル業界のグローバルスタンダードにするための重要なマイルストーンの1つとされ、APR(年換算利回り)約5%が予定される。
過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します