ソラナ(SOL)のボット問題、「3つの改善策」の1つ目がまもなく実装へ 送金詰まりの解消目指す
ソラナ、3つの改善策
暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)のブロックチェーンを開発するSolana Labsは28日、ネットワークの安定性向上に向けた3つの改善策の開発状況について進捗報告した。
ソラナのメインネット(Beta)ではボット(bot)由来の大量トランザクションにより、過去数回に渡ってメインネットの大規模な送金詰まりが発生。
今年5月には、NFT(非代替性トークン)を発行するトランザクションが急増したことでバリデーターのメモリ使用料を圧迫し、7時間に渡ってネットワークが停止した。
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こうした状況に対処するため、Solana Labsは①通信プロトコルをUDPからQUICに変更、②トランザクションの優先順位付けにステークウェイトQoSを追加、③需要が高いほど手数料を引き上げる「手数料市場」の3つの対策を導入しようとしている。
これら3つの実装は、いずれもソラナ・メインネット(Beta)の性能向上を目的としている。
28日のリリースによると、ユーザーにとって最も関心が高いであろう手数料市場(Fee Markets)の実装は「開発中」とされており、その前に「QUIC」の起動が前提条件となるという。
QUICは、米Google社が自社のWebサービスで大量アクセスを効率良く処理するために開発したもの。ソラナはQUICを使用可能にすることでバリデーター(検証者)のデータ処理を最適化する狙い。QUICの開発状況は「テストネットでテスト中」とされ、「メインネット(Beta)での実装を間近に控えている」と説明されている。
Stake-weighted QoS
現在QUICと並行して開発されており、QUICの実装後に導入予定の「Stake-weighted QoS」は、ソラナ・ネットワークの帯域幅の利用法を、現状の先着順でなく、より本質的な要求に対応させる処置だ。
具体的には、QUICを使って検出可能となる(IP)に基づいて、異常なトラフィックが発生した場合にバリデーターが特定の接続先のトラフィックを制限したり、優先順位を付けたりできるようになる。その際、SOLのステーキング量の多いノードほど効率的な通信チャネルを使用できるという。
Stake-weighted QoSは、22年1月にボットが秒間200万以上のパケットをネットワークに送り込み、ソラナがパフォーマンス障害に直面した際に対抗策として提案された。
手数料市場
手数料市場(Fee Markets)は、先述した2つのアップグレード後の実装予定とされる。Solanaの手数料は現在固定であり、取引に必要な署名ごとに0.000005SOLが課金される。そのためボットは一早くブロックに取り込まれる事を期待して、無数のトランザクションを発行し、多くのトラフィックを発生させている。
Fee Marketの導入後、ユーザーは取引の実行時に、任意の「追加料金」を指定できるようになる。但し、イーサリアム・ブロックチェーンで顕在化してきた手数料高騰の弊害を防ぐため、「スマートコントラクトの計算量に対する手数料割合(highest fee÷compute unit)」の比率が高い順番に処理される仕組みとなる。また、アカウント毎の優先トランザクションの使用上限も設けられる。
例えば、NFTの発行を目的に高い手数料を指定した際、アカウントの更新上限に達していた場合は以降のトランザクションは直近のブロックで更新されず、次のブロックに格納される。一方で他のアカウント向けに発行されたトランザクションは、たとえ低い手数料であっても、直近のブロックに記録される設計だ。
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