足元不安定な仮想通貨市場、日増しに強まるリセッション懸念も重石に
仮想通貨市況
6日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.2%安の268万円(19,885ドル)と下落した。
ビットコイン(BTC)市場は上下に荒い値動きが続く。
連休明け5日のニューヨーク株式市場では、ダウが前週末比129ドル(0.42%)安と下落。ダウの下げ幅は一時740ドルを超え、ビットコインなど暗号資産も軒並み下落した。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化に伴い天然ガスの供給懸念が強まり、エネルギー高を背景に欧州の主要株価指数が下落したことも下押し圧力となった。
海外アナリストのCapo(@CryptoCapo_)氏は、2022年以降一貫して弱気目線を継続。BTC価格は三角保ち合い下放れから1BTC=15,800〜16,200ドルまでの下落を下値目処に据えており、その後相場が反転するシナリオを描いている。
また、ホエールアラートにおける大手取引所FTXへのイーサリアム送金に警戒感を示した。
同氏の弱気予想は、ドル円以外の主要通貨に対してドルが買われ米ドルインデックス(DXY)高騰を招いていることも根拠にある。ドル指数は2015年以来7年ぶりにレンジを上抜け、2002年12月以来の水準に達した。
米金融当局はリセッション(景気後退)のリスクを認識しながらも、元凶となっているインフレ抑制を重視する姿勢を強調している。
CPI(米消費者物価指数)などのインフレ指数が落ち着かない限り、FRB(米連邦準備制度)の金融引き締め懸念は継続することから、マクロ経済動向に影響されやすい株や仮想通貨といったリスク資産投資家にとって厳しい相場環境は今後も続くものと見られる。
暗号資産(仮想通貨)大手ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)の破産で悲観のピークは通り過ぎたところで、肝心の金融市場がリスク回避局面にあることで、買いが継続しにくい市場環境にある。
昨今では、大手マイナー(採掘業者)のビットコイン大量売却事例も相次いで確認された。
米マイニング企業のCore Scientificは5日、6月度に230億円(1.67億ドル)相当のビットコインを売却したことを発表。6月22日には、ナスダック上場のマイニング企業Bitfarmsが、85億円相当にあたる3,000BTCの売却を発表した。インフレ局面で電気代が上昇する中、事業コスト捻出、及びバランスシート強化のため、現金化を急いでいるとの見方がある。
関連:米仮想通貨マイニング企業、6月度に230億円相当のビットコインを売却
オンチェーンデータ
昨年11月に100万/日水準にあったビットコイン(BTC)のアドレスアクティビティ(週平均)は、現在までに13%減の87万/日となった。
取引所のネットポジションは、17年6月以来最大のアウトフローとなった。LUNAの崩壊をもたらした22年5月や昨年の暴落局面である21年5月には、ネットポジションで大幅なインフローを観測していた。
通常であれば、取引所における売り圧力減少を示すアウトフロー増加は中・長期目線での投資行動を示唆することから好感されやすいが、今回のケースは一概には言えないか。
昨今の暗号資産(仮想通貨)市場で相場の不確実性が高まる中、経営破綻や債務不履行など信用リスク懸念が波及しており、取引所やレンディングサービスでの保管ではなく、コールドウォレットなどでの自己管理需要が高まっているとの見方もある。
機関投資家の動き
資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、暗号資産(仮想通貨)投資信託などのデジタル資産に対する機関投資家の資金フローは、前週の過去最大の流出超過を経て流入超過に転じた。
ただし流入した6,400万ドルの内、5100万ドルがProSharesの「インバース型ビットコインETF(上場投資信託)」となっており、引き続きリスク回避の動きにある。
インバース型とは、原指数変動率がマイナス倍率になるよう設計された金融商品。米シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物指数のインデックス連動に負の倍数をかけて算出されるもので、機関投資家の弱気感情を示している。
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